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学芸大学飲食アワード 2022~もっとも輝いていた今年オープンの飲食店を勝手に表彰!

学芸大学飲食アワード2022

学芸大学飲食アワードとは

その年にオープンした飲食店で、もっとも輝いていた店を勝手に表彰する学芸大学飲食アワード。筆者・ひろぽんの完全なる独断で決定されます。選ばれたからといって、何かがもらえるわけでも何かいいことがあるわけでもありません。

この記事では学芸大学飲食アワード 2022授賞店を紹介するとともに、2022年の学芸大学における飲食事情を振り返ってみたいと思います。

これまでの授賞歴

※このように記事化して発表しはじめたのは2019年以降

選定者プロフィール

ひろぽん

2013年8月より学芸大学住人。学芸大学で巡った飲食店の軒数は約500軒(2022年末時点)で、そのほとんどをブログにて紹介。単なる飲んだくれのおっさん。BABYMETALファン。

学芸大学飲食アワード 2022

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立呑み 鉄砲玉

2022年8月5日にオープンした立呑み 鉄砲玉に学芸大学飲食アワード 2022を授与します。おめでとうございます!

授賞理由

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学芸大学の立ち飲みの歴史

2000年代、飲食の最先端と言われていた街・恵比寿では立ち飲みがブームとなっていました。2003年 立呑、2004年 18番・あぶどりバリ鳥、2005年 buri・Standing Wine Bar Q、2006年 ガポスがオープン。渋谷、目黒、中目黒などにも立ち飲みが次々とでき、学芸大学の隣町・武蔵小山で晩杯屋が生まれたのも2009年。

一方……。

長年、学芸大学の飲食店には地元民しかいませんでした。年齢層も高め。店も人も動きません。"昔ながら"が良くも悪くもこの街の形容詞となっていました。

ところが、2000年代後半から東横線高架下の耐震工事が始まり、2012年、高架下リニューアルが完了。少しずつ街が動き出します。これまでなかったような勢いのある飲食店が続々登場し(花の12年組。後述)、その2012年にはBOOZE・学大角打という立ち飲みのできる店ができました。ただ、前者はしばらくしたら椅子の店になり、後者はあくまでも椅子がメイン。同年にオープンしたアオギリ(現呑家)の立ち飲みも、座り席が空くまでの待機スペースでした。

歩み始めたばかりのこの街で、立ち飲みはまだ少し早かったようです。

その後、2015年に日本酒専門店 圭、2016年に晩杯屋という立ち飲み屋がオープンしましたが、どちらも長くは続きませんでした。2017年、街に若者が目立ち始め、2019年、立ち食い寿司の寿し一花星がオープン。しかし、寿し一花星も椅子を置くようになり、完全な立ち飲みにはなりませんでした。

2020年、コロナ禍。他の街からさらに若者が流れてきます。そして2022年。

立ち飲みが根付かなかった"昔ながら"のこの街は、もう昔ながらではありません。人が動き、街が動く。そんなタイミングで、あの晩杯屋 学芸大学店でも腕を振るっていた職人が本格派の立ち飲み屋をオープンさせました。それが立呑み 鉄砲玉。

後年、学大飲食の歴史を振り返ると、おそらくこう言われるはずです。

「確かに圭や晩杯屋もあったけど、学大の立ち飲みは鉄砲玉から始まった」

と。

こう見てくると、立呑み 鉄砲玉は学大飲食の歴史に名を刻んだ一軒と言っても過言ではないでしょう。

※2005年~2008年、根室食堂という立ち飲み居酒屋がありました。2012年以前にこれ以外の立ち飲みがあったかどうかはわかりません

学大住人が望んでいた店

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シンプルながらも手の込んだハイクオリティな料理の数々。こういう類の店にありがちなできあいメニューはありません(できあいを使うことがダメというわけではなく)。

店は客の話をうまく受け返し、知らない客同士でも盛り上がり、店は一体と化します。

もちろん下町の立ち飲み屋に比べれば少し高いかもしれませんが、今のこの街にあってこの値段はなかなかできることじゃありません。

うまくて安くて楽しい。多くの学大住人が望んでいた店。学大住人が毎日でも通える店。

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壁にメニューが貼られているのみ。他に何もありません。椅子もありません。一切飾らないので、ごまかしがききません。いや、ごまかしません。こういう店を何と言うか。本物と言うのです。

逡巡することなく、立呑み 鉄砲玉を学芸大学飲食アワード2022に選びました。

次点

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大人気焼き鳥店・鳥せんの2号店・警視鳥

これらも大いに賑わい、SNS上でも目立っていました。

2022年学大飲食トレンド

新規出店数

2017年は50軒、2018年は47軒、2019年は54軒、2020年は47軒、2021年は59軒の飲食店がオープンしました。2022年は64軒でした(すべて筆者調べ)。学芸大学の歴史上、もっとも多く飲食店がオープンした年です。

※過去最高記録は2023年が塗り替えました。

2022年は立ち飲みの年

これまでの学芸大学の飲食トレンドを振り返ってみると、

  • 2021年「リニューアル・業態変更」
  • 2020年「学大ドミナント」
  • 2019年「酒場」
  • 2018年「重から軽」

でした。

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立ち飲みスペースもあるANOTHER8 CORNER

2022年は「立ち飲み」がキーワードだったと思います。2022年にオープンした立ち飲みの店は以下の通りです。

鉄砲玉、luluは立ち飲みだけの店、それ以外は立ち飲みスペースもある店です。来年1月には1Fが立ち飲みの西口アオギリもオープン。

若者が増え、他所から学大へ飲みに来る人が多くなり、街が流動的になって、サッと入ってサッと飲んでサッと出られる店がウケるようになりました。つまり立ち飲み、というわけです。

※潮騒は立ち飲みスペースがなくなりました

2022年 学大飲食トピックス

客層の変化

  • 若者
  • 女性
  • 他所からの客

こうした客が増えたと飲食店店主は口をそろえて言います。私の実感もまったく同じです。

「学大飲食 花の12年組」の10周年

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10年経っても連日満席のアオギリ(現呑家)

2012年は学芸大学という街が大きく変わった年で、この年にオープンした今でも続く店はどこも大人気店です。私は勝手に「学大飲食 花の12年組」と呼んでいるのですが、今年で10周年を迎えた花の12年組は以下の通りです。

10周年イベントで盛り上がったお店も多かったようです。

※ヌケがありましたら教えてください

突如増えた焼き鳥

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警視鳥の雪月見つくね

2021年はハンバーガー屋が一気に増えたのですが、2022年は焼き鳥屋が増えました。来年早々にもう一軒できます(大衆酒場レインカラーの業態変更)。今年オープンした焼き鳥屋は以下の通りです。

学大内の移転

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広くなったクレープciel

今年、以下が学芸大学内で移転しました。

学大内ではありませんが、炭火串焼き 中村屋は大井町へ、ビストロUrushiは本郷三丁目へ移転します。すべて物件事情によるものです。要は建物の老朽化。古い物件で営まれている飲食店も多いので、今後もこのような移転が絶えないでしょう。

他所から移転してくる人気店

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cazeの名物料理・ラザニア

人気店が他所から移転してくるというパターンも多く見受けられました。

  • momomo(高円寺から)
  • CHUM APARTMENT(目黒から)
  • caze(三軒茶屋から)
  • ちむどんどん(自由が丘から)

※ちむどんどんは"独立"のような形ですが、スタッフがそのまま移ってきたので実質的に移転

活発だったダイニングイノベーション

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魚屋ナチュラルスタンド潮騒 Shiosai

やきとり家すみれ 学芸大学店の運営会社は株式会社すみれなんですが、同社が属する飲食グループ・ダイニングイノベーションがこの1年で2軒の新店をオープンさせました。

まさかそこをやりますか上昇気流

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1FはANOTHER8 CORNER、2Fはびゃく

今年の株式会社上昇気流案件は、

数としては多くないのですが、「まさかそこを!」と驚かされました。

ANOTHER8 CORNER、びゃくはもともと美容室だった一棟。これを2フロアで分けました。

立呑み 鉄砲玉は上昇気流物件の中でもっとも狭い物件です。こんな物件を上昇気流が抑えるとは夢にも思いませんでした。

早期閉店

開店から1年と経たず閉店する飲食店も増えました。正直、「さもありなん」と思わせる店も少なくなく……。

  • おはぎの家走
  • とんかつ宗(むね)
  • 鴇田
  • 肆参
  • 神のからあげ
  • 吉田
  • BEX BURGER
  • TACOS PEAKS
  • Dr.Meat 和牛博士の焼肉
  • マルカ鷹番マーケット
  • 至福のキューバサンド(元住吉に移転)

2号店(3号店)

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ZETABの2号店・BAR ニューナポリ

2号店(3号店)の出店が多いというのはここ数年の傾向で、今年も同様でした。

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ちょっとニュアンスはズレるのですが(リニューアルだったり)、以下も2号店(3号店)として挙げていいかもしれません。

復活

物件探しに難航してなかなか再開できなかった魚謙はシネマカフェ跡で、コーヒーシグマは店舗兼自宅の建て替えで復活。特に前者は復活を待ち望んでいた人も多く、連日賑わっているようです。

月曜日定休が多くなった

学芸大学の飲食店でもっとも多かった定休日は火曜日です。水・木もそれなりにあります。ところが、新たにオープンする店のほとんどは月曜日が定休日です。学大飲食の"常識"が変化しつつあります。

平和軒ショック

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今年も多くの老舗が閉店しました。特に平和軒、とんこつ麺 砂田の閉店は寝耳に水。ファンも多かったので、惜しむ声も大きかったです。また、そば処 入船は学大で創業した飲食店としてはもっとも古いお店でした(※)。

今年閉店した老舗は以下の通りです。

※入船は大正12年創業。丸はし総本店は大正7年に初代が上野広小路で創業し、昭和31年、2代目店主が学芸大学に移転。

おくやみ

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今年、深夜食堂きんちゃん(2019年閉店)の中平均さん、とんこつ麺 砂田の砂田茂治さんが亡くなりました。ご冥福をお祈り申し上げます。

2023年の学大飲食の注目ポイント

どうなる? 庄や跡

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庄や 学芸大学店が10月19日に閉店。当記事執筆時は業態変更のための工事が徐々に進んでいるように見えます。どうなるのか注目です。

新しいアオギリとレインカラー

年内オープンに間に合いませんでしたが、来年早々に西口アオギリがオープン。また、2月頃には大衆酒場レインカラーが焼き鳥屋に業態変更。大人気店の新たな挑戦に各所から期待が寄せられています。

大人気店閉店で難民続出?

はっきりとしたことはまだわからないのですが、来年中にある店が閉店するかもしれません(閉店すること自体は決定)。私含め、多くのファンがいるお店。本当に閉店するとなると、その話題で持ちきりになることでしょう。難民もいっぱい出そう。

東口商店街の出口

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来年夏過ぎ、東口商店街の出口にビルが建ちます。1Fは店舗物件です。往来の激しい好立地なので、飲食店が入ると面白そうです。

おわりに

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学芸大学飲食年表

2012年が学芸大学の最初のターニングポイントだったというのは先述の通り。次は2017年でした。前年にオープンしていた鳥せん、ひとひらが大人気となり、あつあつ リ・カーリカ、スタンドバインミーといったオシャレなお店が続々登場。この街に若者が増え出しました。

そして2022年。これまた先述の通り、ますます若者が増え、女性が増え、他所からもどっと人がやって来るようになりました。

オシャレな新しい飲食店が続々とできる一方、まだまだ老舗も残っていて、店も人も新旧がいいバランスで共存する今の学芸大学は、2000年前後の中目黒に状況が似ています。私はこれをポジティブな意味で「学大の中目化」と呼んでいます(今の中目黒のようになりつつあるという意味ではない)。

ここの詳細を書き始めるとさらに長くなってしまうのでやめておきますが、とりあえず来年、学大飲食がどうなるのか楽しみにしていましょう!

今年が激しすぎたので、ちょっと落ち着くかなとも予想してるのですがw

学芸大学の全飲食店リストバナー