学芸大学駅から徒歩3分。西口商店街のauのある角を右折。鳥忠の隣に丸はし総本店というそば屋があります。店頭のメニューをチラッと見ただけでも、その種類の多さに驚かされます。
階段を下った地下1階が店舗。店内はとても広く、テーブルが約8席でカウンター席もあります。13時ごろだったでしょうか。私が入ったあとも、次から次へとお客さんがやってきます。
メニューを見ました。すごい。何でもあります。そば、うどん自体にもいろいろあるのですが、丼物、カレー、雑炊、鍋……。ただ、私はそれほど悩みません。なぜなら、迷ったらカツ丼セット。そう決めているからw ヒレカツ丼とせいろのセットを注文しました。
待っている間、店内の様子を観察します。子供、お母さん、おじいちゃん、おばあちゃん、サラリーマン。老若男女。ご常連も多いようです。お店は家族経営? 厨房奥には男性、手前には女性二人、そしてフロアには姉妹と思しき女性二人。この姉妹がまあかわいい。
ヒレカツ丼とせいろのセットがやってきました。
まずはそばをそのまま頂きます。そばの香りはそれほど強くありませんが、コシは強い。ツルっとして喉越しもいい。よく見たら氷がひとかけら混ざっていました。氷水で締めてるのか。とても爽やかで上品なおそばです。
ツユはカツオがしっかり香ります。ダシ由来の甘みも出ています。醤油の角は取れていて、まるみを感じます。こりゃいいツユだ。このそばにもよくマッチしてる。
ヒレカツというのが珍しいですね。3枚乗っていました。とても柔らかいです。女性でもお年寄りでも食べやすいだろうなぁ。そういうことを考えて、ヒレカツにしてるのかな。卵の閉じ具合もいいし、ダシの濃さもちょうどいい。オーソドックスですが上等です。
レジでお勘定をしてもらいながら聞いてみました。
「丸はしさんって他でも見かけたことがあるんですけど、『総本店』と言うくらいですから、ここから暖簾分けを?」
つーか、おい。妹さん? 遠目でもかわいいと思ったけど、間近で見たら、めっちゃ美人じゃん!w あえてたとえるなら、常盤貴子、あるいは浅田真央。そんな感じの美人さん。やっべ、なんかドキドキしてきたw
「ご存じなんですか。嬉しいです。13軒がここから暖簾分けしています。けど、もう廃業しているお店もあるので、今はもっと少ないです」
「そうなんですか。ごちそうさまでした」
「ありがとうございました」
もっと聞きたいことはいっぱいあったのに、緊張してうまく話せなかったよw
帰って調べたところ、丸はしというそば屋は、平塚、新丸子、白楽、日吉(矢上川店)、渋谷(東/並木橋近く)にあります。すべてが暖簾分けかどうかはわかりませんが、学芸大学という地に本家があり、ここから多くのお店が派生したということが、なぜか誇らしく。別に丸はしの人間でもなければ、学大歴が長いというわけでもないのですが、勝手にねw
「大正7年創業 100年めざして」
大正7年は1918年。1918年といえば、実業家・渋沢栄一らによって田園都市株式会社が設立された年。1920年、五島慶太が武蔵電気鉄道(現・東急東横線)の常務に就任します。碑文谷駅(いまの学芸大学駅)が開業したのは1927年。
田畑が整備され、鉄道が敷かれ、街ができて、人が集まる――学芸大学駅界隈の変わりゆくさまをずっと見守ってきた丸はし総本店。2年後、2018年に創業100年です。
丸はしを作ったおじいちゃん、おばあちゃん、100年後もまだ丸はしはお客さんで賑わってますよ。メニューもいっぱいあって、おいしくて、ちゃんとお店を守ってますよ。それに娘さんはみんなべっぴんさんでw 安心して下さいね。
※2018年11月6日追記:大正7年に初代が上野広小路で創業。昭和31年、2代目店主が学芸大学で開業。ということのようです。まあ、趣旨は変わりませんので、上記はそのままにしておきます。追記以上
SHOP DATA
- 丸はし総本店
- 東京都目黒区鷹番3-19-5
- 03-3712-9457
- 公式
創業100年を超えた丸はし総本店
2019年7月、創業101年目の丸はし総本店。
私が知る限り、創業100年を迎えても大々的にイベントごとをしていた様子はありませんでした。
メニューが変わっていました。セット物のそばがハーフに。値段は据え置きです。実質的な値上げではあるのですが、それよりも女性やご年配の客が多くなり、量を減らして食べ切れるようにしたという意味合いが強い気がします。
レトルトっぽいカレーに、冷たいそばがちょこん。100年という旅路はさすがに疲れるか……。
2024年、丸はし総本店が創業106年を迎える時、紙幣が変わります。新紙幣の一万円札は渋沢栄一です。丸はし総本店はこの新紙幣をどのような面持ちで迎えることになるんだろう。
丸はし総本店のワンちゃん
2016年1月21日追記
丸はしの方がカブで出前に行く姿は普段からよく目にします。ですが、その日はスペシャル。信号待ちでカブと私の自転車が横並びに! この信号は青になるのに少々時間がかかります。この間隙をぬって話しかけました。
「丸はしさんですよね」
「はい」
「裏のワンちゃんを最近見かけないんですけど……」
ま・めぞんの脇道を入った、丸はしの裏手にかわいい犬がいるのですが、最近、姿を見ません。
「そうですか。寝てるんじゃないですかね」
「ああ、元気は元気なんですね。よかった」
「犬がお好きなんですか?」
「犬も猫も。猫は飼ってます」
「そうですか。あの犬はもう15年になりますねぇ」
「へー」
信号が青になりそうです。
「すみません、突然。また近いうちにうかがいます」
「どうもー」
聞きたいことはもっともっとたくさんあるのですが、こんな場面ですから、ライトな話題にしておきましたw ほんと、お忙しいところ、あんなところですみません。ありがとうございました。
2017年1月9日追記
2016年の間に、このワンちゃんはなくなりました。レツちゃんといったそうです。
で、#学芸大学フォトコンテスト で応募した写真の被写体、そば屋「丸はし」のワンちゃんですが、さっき見に行ったら……。レツちゃんっていうんだ。そうかぁ。しばらく見ないと思ったら……。レツちゃん、キミのおかげで賞もらえたよー。ありがとうー。 pic.twitter.com/Z17ogu8zOk
— 後藤ひろし(ひろぽん/ごっきー) (@gokky_510) 2016年12月8日
ちなみに、この写真に賞をくれたのはヒグマドーナツ。学大でもっとも新しい店(当時)からの、学大でもっとも古い店の写真への賞、ということか。いいね。