おっぱい2号店は立ち飲み屋
学芸大学駅から徒歩1分。東口の恭文堂書店を曲がった筋に立呑み 鉄砲玉という立ち飲み屋があります。2022年8月5日にオープンしました。
オーナーは早川貴子ちゃん(株式会社シゲキがほしい)。店主は旦那の正木勇貴君。つまりはおっぱいラーメンの2号店です。
某物件。現在、この街で一番注目されてる物件。あまたの店が2号店、3号店として狙ってる。あそこもあそこもあそこもあそこも。上昇●流も狙ってるらしい。そりゃそうなるわね。俺も近年まれにみる良物件だと思う。
— 後藤ひろし(ひろぽん) (@gokky_510) January 17, 2022
ニュープラスワンが閉店しテナント募集が出た瞬間から、「絶対にここでやるべきだ」と2号店出店を考えてる飲食店店主に言って回ってました。
一方で貴子ちゃんからはずっと前から「2号店を出したい」「どこそこの物件でやりたい」などなど、いろいろな話を聞いていました。
けど、まさか株式会社上昇気流(※)が抑えるとは。まさかおっぱいラーメンが入るとは。
それにしても、なぜみんなここでポーズを取りたがる?w
※株式会社上昇気流は飲食店の独立・開業支援を行う会社。学芸大学で上昇気流が絡んでいるのはBistro11、囲炉裏バル カルボ、大衆酒場レインカラー、小野田商店、Grolla(グロッラ)、ばりき屋、鳥せん、トラットリア夷、ひとひら、びゃく、Another8 corner。
立ちカウンターは10人ほどでいっぱい。
学芸大学で立ち飲みは無理、というのが定説でした。立ち飲みを始めても、必ずすぐに椅子を置くようになる。腰を落ち着けて飲みたいという地元民が多い学芸大学では、立ち飲みは難しかった。
そんな中の例外が日本酒専門店 圭、そして晩杯屋 学芸大学店でした。残念ながら経営上のあれこれで、両者とも2019年に閉店してしまったのですが。
その晩杯屋 学芸大学店でも働いていた正木君が晩杯屋イズムを背負って学大で立ち飲み屋。私自身もそろそろ学大で立ち飲み屋もいいんじゃないかと思っていたので、こういうお店ができてとても嬉しい。
気取らない。飾らない。それがいい。
レギュラーメニュー。
ドリンク。
その日のおすすめ。
このラインアップ、この値段、この色。いいねぇ。飲み屋の王道。
そりゃね、下町の老舗に行きゃこれより1割安いかもしれないよ。けど、今のこの学芸大学にあって、この値段はなかなかできることじゃありません。
※以下、複数回分の写真が混ざっています
学芸大学はオシャレ? くらふとびーる? しゃらくせぇ。映えとは関係ない無骨なポテサラにホッピー。これよこれ。
豚の唐揚げ(どろソース)はガッツリでいいつまみ。からしをたっぷりつけるといい塩梅。
長野産くらかけ豆をダシに浸した枝豆より美味しい浸し豆。香ばしくて妙にうまい。
黒バイ貝は濃厚。煮貝がレギュラーであるというのも面白い。
イカの塩辛は大葉に隠れた大根おろしと共に。
鯛ちくわ磯辺揚げ。濃厚でみっちりと詰まった鯛ちくわもおいしいのですが、すごいのが海苔。老舗海苔問屋で仕入れた海苔を店で炊いて佃煮にしています。これだけでいいアテになります。
巨大でパリッパリなピーマン。甘めの肉味噌もいい。
秘傳ラー油メンマ。店で炊いているメンマは大きくて歯ごたえがあって、一度箸をつけたら止まりません。
チーズそぼろはちょっとシャレにならない。やばい。絶対に頼んでください。おいしすぎて思わず笑っちゃいました。
麻辣ソース焼きそばはまったり濃厚。アテになる焼きそばです。麺は学芸大学の製麺所・坂本製麺。
一味唐辛子をこれでもかというほどかけると、それはそれはもう。
牛モツ煮込みは甘みがしっかり出ています。
「別に特別なことしてないですよ。使ってるのは味噌とうまみ調味料をちょっとだけ。野菜を長時間煮込んでますけどね」
気取らない。飾らない。それでいいのよ。それがいい。
ダシがしっかりきいたフワフワなダシ巻き玉子。こういうスタイルの店で、手のかかるダシ巻き玉子を出す。ありがちな業務用食品は一切使わない。シンプルながらもしっかり手をかける。割烹料理店(高知)に生を受けたという矜持。
こういうのを貼るというのが飲み屋の様式美。
焼酎は明るい農村(芋)と情け嶋(麦)。
自家製ポン酢サワー。いわゆる醤油・柑橘・ダシのポン酢で割ったイカれた酒。
お茶のパックで仕上がる玄米茶割りは香ばしくて飲みやすくて危険。飲み干したら、そのままジョッキを渡して焼酎を注いでもらいます。このお茶パックひとつで3杯分はいけるそうな。
グレープフルーツを絞るのも楽しい。
コーヒー割にはシロップを入れます。甘いの大好き。
サントリーカップワインが妙にうまい。魚にもよく合います。ぜひ、まぐろやウニなど濃い目の味の魚介と一緒に試してみてください。
立呑み 鉄砲玉の名物・まぐろ
正木君は直近までおぐろのまぐろ(池袋界隈に3店舗)で働いていたので、まぐろがエグい。
ある日は長崎のまぐろ。
ひと切れ食べて慌てて日本酒を注文。
別日は大間。
まぐろはレギュラーでいつもありますが、その時々によって違う魚もあります。カンパチ刺しもうまい。
〆鯖があったら絶対頼んでください。
目鯵なめろうがあったらラッキーです。最高。作ってる様子を見るのも楽しい。
箱で出てくる生うにもうまそう(お隣さんのを撮らせてもらいました)。
巨大なクマ海老フライ。
「バッター液、濃くなかった?」
「カキフライはサクッと揚げたいから薄め、エビフライは食べ応えを出したいから濃いめにしてます。それにこうすると火の入りがゆっくりになるので、頭がカラッとなるまでしっかり揚げても身がプリプリに仕上がるんです」
バッター液の濃さを指摘する人なんていないでしょう。私が指摘しなければ、正木君は黙って普通にエビフライを揚げていただけ。
誰も気付かないかもしれない。けど、そこにこだわる。手を抜かない。これすなわち職人。
飲んで食べて2000円
酒2杯、つまみ1品で1100円以内に収められますから、せんべろ酒場と言っても過言ではないでしょう。もう少しつまんで飲んでも1000円台、結構飲んだなと思っても2000円台。最高かよ。
オシャレな街()に鳴り響く銃声
当たり前ですが、オシャレな店やクラフトビールの店をディスってるわけじゃないですよw それはそれで素晴らしい。けど、そんな店ばかりになってもねぇ。
この街のいいところは、そこらへんのバランスです。どれほど街が賑わうようになっても、急激な変化に抗うような店が現れ、なだめてくれる。
こんなことを言うと、昭和おじさんの懐古主義と思われるかもしれませんが、そしてそれを否定はしませんが、まあ見てなさいって。この店はおじさん・おばさんだけじゃなく、若者たちでも溢れかえるはずです。祐天寺ばんがそうじゃないですか。
歳・性別関係なく、こういう店にホッとする人間も多いってことです。
鉄砲玉(てっぽうだま)とは、行ったきりで戻ってこない人間のこと。転じて、そのような役割を果たす者。
日本のヤクザ社会において、所属する組織にとって敵対する者を暗殺する実行犯のことを指すヤクザ用語である。近年では敵対組織へのヒットマン(殺し屋)を意味することが多い。
15でこの世界に飛び込んだ岸和田生まれが、2012年にみずからの店を構え、2014年、学芸大学へと乗り込んできました。それから8年。懐に隠し持っていたハジキで放った凶弾・鉄砲玉。
その一発は色めくこの街をうがつ。
※追記:学芸大学飲食アワード2022授賞店となりました
SHOP DATA
- 立呑み 鉄砲玉
- 東京都目黒区鷹番3-3-19
- 03-4400-8974
- 公式