学芸大学飲食アワードとは
その年にオープンした飲食店で、もっとも輝いていた店を勝手に表彰する学芸大学飲食アワード。筆者・ひろぽんの完全なる独断で決定されます。選ばれたからといって、何かがもらえるわけでも何かいいことがあるわけでもありません。
この記事では学芸大学飲食アワード 2021授賞店を紹介するとともに、2021年の学芸大学における飲食事情を振り返ってみたいと思います。
これまでの授与歴
- 2020年 該当店なし(全飲食店)
- 2019年 寿し 一花星
- 2018年 Chef's Marche
- 2017年 スタンドバインミー
※このように記事化して発表しはじめたのは2019年以降
選定者プロフィール
ひろぽん
2013年8月より学芸大学住人。学芸大学で巡った飲食店の軒数は約500軒(2021年末時点)で、そのほとんどをブログにて紹介。単なる飲んだくれのおっさん。BABYMETALファン。
学芸大学飲食アワード 2021
POP Gastronomy
レインカラー
ワイン食堂レインカラー(休業中)、大衆酒場レインカラーに続く3号店として2021年9月2日にオープンしたポップガストロノミーレインカラーに学芸大学飲食アワード 2021を授与します。おめでとうございます!
授賞理由
イタリアン、アジアン、和食……ジャンルに捕らわれることなく、アイデアと手間ひまを詰め込んだ酒場メニューがずらり。ガストロノミー(美食)の考えを落とし込んだ大衆酒場・ポップガストロノミーレインカラー。
この数年、特にコロナ禍以降、多くの若者が他の街から学芸大学に来るようになりました。そんな若者たちを惹きつけている飲食店の内の一軒がポップガストロノミーレインカラーです。
地下にあるので、通りから店内の様子はまったくわかりません。けど、階段を下り扉を開けると、店内は若者たちの熱気に溢れ返っています。まさに今の学芸大学をそのまま詰め込んだかのような様相です。
おいしい、おしゃれ、連日満席。それだけではなく学芸大学の"いま"が肌で感じられる点を評価し学芸大学飲食アワード 2021に選びました。
次点
WR.、黒澤惣三商店 炭火、韓国屋台とパンチャンショップ ベジテジや 学芸大学店。これらの盛況ぶりも印象的でした。特にカフェのWR.は週末ともなると店頭に人だかりができるほど。今年オープンの店ではインスタグラムでもっともよく見かけたのがWR.だったかもしれません。
2021年学大飲食トレンド
新規出店数
2017年は50軒、2018年は47軒、2019年は54軒、2020年は48軒の飲食店がオープンしました。2021年は60軒でした(すべて筆者調べ)。学芸大学の歴史上、もっとも多く飲食店がオープンした年かもしれません。
2021年はリニューアル・業態変更の年
これまでの学芸大学の飲食トレンドを振り返ってみると、
- 2020年「学大ドミナント」
- 2019年「酒場」
- 2018年「重から軽」
でした。
2021年は「リニューアル・業態変更」がキーワードだったと思います。2021年のリニューアル・業態変更は以下の通りです。
- 学大市場の全面リニューアル
- まぜそばラーメンwith→居酒屋うぃず
- うたげカフェ→居酒屋宴
- カラオケbarハブマン別館→アニソンcafe&barはぶまん
- 琉球食堂ハブとマングース→酒と華ききょう
- 焼肉万里 別邸→Dr.Meat 和牛博士
- 金谷丸→とんかつ宗
- 油鶏角打倶楽部→タコス会議
- おにぎり屋 伽和寿(Cha'伽和寿が店内休業中に新業態)
- アミューズメント居酒屋 呑りすけ(ラーメン店・昌㐂の二毛作)
- 魚角→BEX BURGER(2022年1月オープン)
- えさけ→洋食ノスリ(閉店)
- からやま→東京ひつじ食堂(閉店)
業績が芳しくなく業態を変えたと見えるケースもあります。一方、居酒屋うぃず、居酒屋宴などは実態に沿った店名にすることで、わかりやすくアピールしようという狙いがあったと思います。いい方向でのポジティブなプチリニューアルでした。
いずれにせよリニューアル・業態変更が多かった背景には、やはりコロナがあったと思われます。助成金が得られたことで、思い切ったリニューアルがしやすかったのでしょう。自粛期間中にリニューアル作業ができたということも大きかったと思います。
また、多店舗展開していて体力があるからリニューアルできる、逆に言えば、そういう会社が運営している飲食店が学大に増えている、という側面もあるかもしれません。
カフェの出店ラッシュ
"カフェ"を少し広めに捉えるなら、以下の出店がありました。
- WR.
- パーラー ゐ恋
- コーヒーカロ
- 玉奎珈琲(Tamakei Coffee)
- monaca(モナカ)
- 目黒ひいらぎ 学芸大学東口店
- HIMONYA CASE
- OIMO cafe himonya STAND
- バナナライフ 学芸大学店
- Season's Cafe
- 春菜
- ビスキュイセック(Biscuits Sec)
- いぬごや
- 香港冰室
- 和食カフェDONDON(ドンドン)
- ベーカリーカフェ FARINA・DIXANS 碑文谷店
- Low Alcoholic Cafe MARUKU(マルク)
2020年は7軒ほどでしたが、2021年は17軒です。また、劇的に増えたというだけではなく、新規出店数58軒の内の17軒ですから、約30%がカフェ系ということになります。新規出店におけるカフェ率も上がっています。
カフェ系がこれだけ多く出店した理由は大きくふたつあると思います。
まず、街に若い人が増えたということです。若者が増えると、若者にウケそうなお店が増えます。たとえば洋服屋(古着屋)、カフェ、スイーツ店、韓国料理店などです。韓国料理店も2軒できました。
もうひとつは物件事情によります。カフェ系17軒中10軒は新築物件もしくはこれまで飲食が入ってなかった物件です。「軽飲食は応相談」という物件がよくあるため、飲食店開業を目指す人にとっては物件の選択幅が広がり、おのずと軽飲食が多くなります。
ちなみに新規出店全59軒中23軒が非飲食物件での出店もしくは新築物件でした。
個人店(その一軒だけ)の減少
- 2017年 30軒/50軒
- 2018年 29軒/47軒
- 2019年 28軒/54軒
- 2020年 20軒/48軒
- 2021年 18軒/59軒
個人店の出店数が減って来ていて、個人店の率も下がってます。家賃が高騰しており、個人では出店が難しくなってきているという現状が見えます。
2021年 学大飲食トピックス
突然、なぜかハンバーガー
- MAVERICK HAMBURGER TOKYO
- L.A.GARAGE 3
- Burger POLICE
- BEX BURGER 学芸大学店(2022年1月オープン予定)
学芸大学にハンバーガー店は1軒もなかったのですが、2021年~2022年年始に一気に4軒できました。やきとり家 すみれや鳥貴族がハンバーガーを始めたのが典型ですが、ハンバーガーはコロナ禍における全国的なトレンドでもありました。
バーの出店がない
例年は5軒くらいのバーがオープンしています。2021年はgirl's bar prism(プリズム)、茉莉花(matsulica)だけでした。
2021年に閉店したバーは1軒(BUNDA.42)。バーが閉店しなかった=バーに適した物件が空かなかった=バーの出店がなかった、ということだと思います。
※アニソンカフェ&バー はぶまんはもともとカラオケバー。アニソン特化のプチリニューアル
牡丹ビルの飲食店がゼロ
ある期間、駅前の牡丹ビルの飲食店がゼロになりました。コロナ禍における大手チェーンの大型店舗の難しさを物語っているように感じました。いや、そもそも大型店・チェーン系総合居酒屋が難しいといったほうが正確かもしれません。全国的に見てもそうですし、学芸大学は特に。
短命記録
ワイン食堂 AWABI-アワビ-がほぼほぼ営業せずに閉店。SALMON'sキッチンの約2ヶ月という学大飲食店短命記録を塗り替えました。いずれも食材特化型です。学芸大学では過去、馬、芋、カニ、羊なども短命に終わりました。学大で食材特化型飲食は難しい? とても興味深いところです。
オープン延期
コロナ禍においては不確定要素が多いためか、予定よりもオープンが遅れるということが散見されました。なかなか人(スタッフ)が集まらないということもあったかもしれません。
たとえば、ベーカリーカフェ FARINA・DIXANS 碑文谷店、girl's bar prism(プリズム)、Bar de Opincho(バル デ オピンチョ)などなど。
やきとり天国ショック
約30年間、地元の人たちに愛されてきた居酒屋・やきとり天国が建物の建て替えのため閉店しました。また、学芸大学でもっとも歴史の古い飲み屋・中川も閉店しました。
その他、2021年に閉店した老舗は以下の通りです。
- コーヒーシグマ
- ニュープラスワン
- 雑伽屋
- 舌雅
- でんでぢ
- 三井商店
関係者がお亡くなりになりやむなく閉店、物件事情により閉店を余儀なくされた、そんなケースが多かったです。
二葉屋が閉業
客側の話ではなく飲食店側の話ですが。
平和通り商店街の二葉フードセンターが閉業。中に入っていた八百屋・二葉屋(2月27日)、鮮魚須永(9月30日)も閉店しました。
私もしょっちゅう行っていたので寂しい限りなのですが、学芸大学の多くの飲食店がここへ仕入れに来ているのをずっと見てきました。新たな仕入れ先を見つけるのに骨を折った店も多いだろうと想像します。
2022年の学大飲食の注目ポイント
移転
1月から2月にかけて2つの人気店が移転します(居酒屋まんぼう・クレープCiel)。どちらも必要性のある移転なのですが、それは差し置いても、いろいろな意味でとても面白い移転だと思います。楽しみです。
QWANに続け!?
インスタグラマーの影響なのかなんなのか、秋ごろからQWANが大爆発。いい店なので、そうなるのも理解はできるのですが、お店が対応に苦慮するほどの異常ともいえる人気っぷりでした。
学芸大学に来る人が増えていますから、こうして"発見"されて、人気が急上昇する店も出てくるかもしれません。
Kukai Terrace(クーカイ・テラス)
2022年1月、デザイナーズ物件・Kukai Terrace 学芸大学が五本木交差点に竣工予定です。建物がおしゃれですから、きっと若者にウケそうなおしゃれなお店が入るのでしょう。そしてそれが飲食店なら、Five Trees→いりこ屋→Kukai Terraceというラインができ、五本木商店会の雰囲気が少し変わるかもしれません。
ニトリ目黒店で人の流れに変化?
2022年春、目黒通り沿いにニトリ目黒店(仮称)がオープンする予定です。徒歩20分弱と少し遠いですが、学芸大学駅が最寄り駅です。目黒駅方面から来る人が多いと予想されますが、ニトリ~目黒郵便局or中央中通り~学芸大学駅の人の流れも少し変わるでしょう。これがきっかけとなり、目黒通りや中央中通りに新たな飲食店ができるかもしれません。
おわりに
飲食店の営業自粛で街が静まり返っていた2021年上半期。オリンピックムードの中、コロナがとてつもなく広がっていた夏。自粛期間の終焉が見え始め、異様なほど街に人が増えた9月。ほとんどの飲食店が通常営業を再開し、街が落ち着きを取り戻した秋冬。いろいろなことがあった2021年でした。
そして2022年。一般的には来年の飲食は厳しい、閉店する店も激増すると言われています。ここではその理由に触れませんが、さて、学芸大学はどうでしょう。
来年もこの街を、この街の飲食を見つめていきたいと思っています。学芸大学飲食アワード2022もお楽しみにっ!