学芸大学飲食アニュアルレポートとは
2013年8月より学芸大学に住む、学芸大学で約500軒の飲食店を巡ってきた筆者・ひろぽん(後藤ひろし)。2022年までは「学芸大学飲食アワード」を発表してきましたが、2023年からは「学芸大学飲食アニュアルレポート」と題して、その年の学大飲食事情をレポートしています。
目次
2024年の新規出店数
2024年は89軒の飲食店がオープンしました(※)。2023年は71軒で過去最高だったのですが、これを大幅に上回り、最多オープン記録を更新。今年開業した高架下のGAKUDAI PARK STREET(5軒)、GAKUDAI COLLECTIV(7軒)が記録更新の一助になっています。
※12月中にオープン予定の店を含む
年間飲食店開店数
- 2024年 89軒
- 2023年 71軒
- 2022年 64軒
- 2021年 60軒
- 2020年 48軒
- 2019年 54軒
- 2018年 47軒
- 2017年 50軒
2024年の学大飲食トレンド
これまでの学芸大学の飲食トレンドを振り返ってみると、
- 2023年 バー
- 2022年 立ち飲み
- 2021年 リニューアル・業態変更
- 2020年 学大ドミナント
- 2019年 酒場
- 2018年 重から軽
でした。
今年は間違いなく「カレーとカフェ」の年だったと言えます。
カレー
カレー店と言ってしまうのは少し憚られるITO Kitchen・すぱいす暮らしは横に置いておいて、学芸大学にはVOVOVOLLON(旧VOVO)とチェーン店(多店舗展開)のカレーハウスCoCo壱番屋 東急学芸大学駅東口店・アジアンダイニング&バー SITA 学芸大学店しかカレー店はありませんでした。
ところが、2024年、一気に4軒がオープンしました。
- 表面張力
- Spice Hut
- VIBES curry&diner
- Curry Kiosk CARMA(カーマ)
何か要因があって増えたというわけではないのでしょうけど、街が若くなってきていることを示唆しているようにも感じます。
カフェ
"カフェ"(自称含む)を広く捉えると、23軒がオープンしました。例年に比べ出店数は圧倒的に多く、出店率も高かったです。
- かふぇ り どぅ あんぐいゆ
- Before Holiday
- coffee house Meets
- HIMONYA FIVE COFFEE
- UNI COFFEE ROASTERY 東京 学芸大学駅
- オーガニックさつまいもカフェ 芋菓
- botanical terrace(ボタニカルテラス)
- 113CAFE
- GOOD CHEESE GOOD BAKE
- Taisuke Endo
- jian Chai & tea 学芸大学
- 純喫茶tooスナック ちゃぼ
- 秘密の紅茶部屋
- GAKUDAI COUNTER BOOKS
- BLOOM.by SWELL COFFEE ROASTERS
- meaningress
- CrunK VINTAGE CAFE
- LB coffee
- LAZZY coffee
- モヒロコーヒー
- waccawacca
- 親子カフェ ぷっぷ
- 日常
数年前からカフェなどの軽飲食は増えがちだったのですが、これは軽飲食のほうが物件を選びやすい(軽飲食のみ可物件が多い)ということだと思われます。実際、23軒中9軒が非飲食物件(これまで飲食ではなかった物件)に入りました。
その他、ネオスナックのようなカラオケバーが一気に増えたのも特徴的でした。
印象的だった飲食店
2024年オープンで印象的だった飲食店が2軒あります。
でん芭
「ありがとう」
そう呟いた学大住民も多かったはず。
住人が求めているものは、ごくごくありきたりな普通の日常。毎日でも通いたいと思えるような飲食店。それを体現してくれているのがでん芭です。実際、地元の方々が席を埋め尽くす人気店となっています。
家庭居酒屋 でん芭(学芸大学)は地域密着型の安くておいしい居酒屋。こういう店を待っていたんです。
まつのみ
最高だ。立地も雰囲気もブラッディメアリも店主も。
勢いで、店主がバカンスの留守中に立ちました。来てくださったみなさん、ありがとうございました。
まつのみ(学芸大学)は文字通りの隠れ家バー。シックでオシャレなのに激安。締めのラーメンもあります。ブラッディメアリは必飲!
話題の飲食店
2024年にオープンした飲食店でよく話題に上がっていたのは、
- キッチンラボ
- シン・246(にょろ)
- MUSIC BAR ちん
です。
キッチンラボ
モーニングやランチを始める飲食店が増えました。ただ、住人たちからはこんな声をよく耳にします。
「いや、それじゃない」
どうも住人が求めているものではなさそうです(良し悪しではなく)。
そんな中、珍しく住人たちが「ここはいい」「そう、こういうの!」と褒めるランチの店が現れました。それがキッチンラボ。
気取らない、お手頃な普通の昼飯――この街で生活をしている人は、こういう飲食店を求めているということなのでしょう。
キッチンラボ(学芸大学)は安くてボリュームのあるランチ限定の定食屋(&弁当)。お姐さんの優しい人柄が定食を一層おいしく感じさせます。
246(にょろ)
2024年1月にタボさんが亡くなり、4月から常連でもあったはるちゃんが246(にょろ)に立つようになりました。バーにおいて人が変わるということは店自体が変わるようなもの。ですから、当サイトでは4月以降の246(にょろ)を新店と捉えています。
そんな246(にょろ)ですが、タボさん時代は飲んだくれと変わり者(笑)が集うディープなバーでした。ところが、果てしなく優しいはるちゃんが立つことで一般開放され(爆)、普通のお酒好きも来るように。結果、「246(にょろ)に行くようになった」という声を耳にする機会も増えました。
この街でもっとも急な階段です。行かれる際はお気をつけを。
オレとお前と酒とケツ。学芸大学のバー「246(にょろ)」に行ってみな。酔っ払いとケツだらけで最高だからよ
MUSIC BAR ちん
若い子たちは行く店なんざ、なんぼでもある。けど、おじさん・おばさんは行くところが限られてきます。そんな人たち(私含む)のオアシスができて、喜んでいる人も多々。
MUSIC BAR ちん(学芸大学)はロックから懐メロまで流れるミュージックバー。優しくて柔らかい店主に癒されます。
ネット上でも評判のいい飲食店
ネット上の口コミなどを見ていて、「ああ、地元の人間にも愛されてそうだなぁ」と感じる今年オープンの飲食店は、
どこも駅から離れた地ですが、近隣の方々のハートをしっかりと掴んでいるように見えます。
今年オープンに限らず話題になっていた飲食店
今年オープンではない飲食店で、よく話題になっていたのは、
とにかくもうACU。女性がみんな口を揃えてACU、ACUと。今年は特にこの店名をよく耳にしました。ACU自体は変わってないはずなんですけどね。なんでだろう。
また、夏終わりごろからでしょうか、週末の七宝麻辣湯 学芸大学店に行列ができるようになったのにも「なぜゆえ今ごろ?」と驚きました。
閉店した飲食店
今年は57軒が閉店しました(リニューアル/業態変更・移転含む)。過去最多は2023年の68軒でした。
参考X#学大開閉店情報(←飲食以外も含む)
今年閉店した飲食店には興味深い傾向がふたつあります。
駅から離れた場所
まず、駅から離れた飲食店の閉店が多かったということです。
この並びを見る限り、共通して何かがあったという感じでもなさそうです。たまたまでしょう。
テイクアウト系
次に、テイクアウト系の閉店も多かったです。
- BOBA TOKYO
- ロミユニ
- 天婦羅 巴
- 芋菓(リニューアル移転)
- フロレスタ 学芸大学店
- 築地 銀だこ 学芸大学駅前店
- とんかつ新宿さぼてん 学芸大学駅西口店
- 茶寮ベーカリー 碑文谷店
テイクアウト系の閉店はここ数年で目立っています。つまり、学芸大学からテイクアウト系が減ってきているということです。
家賃の高騰は客単価が低めの飲食店にとっては一層厳しく、その典型がテイクアウト系ということなのかもしれません。
ちなみに、テイクアウトがメインの飲食店はピーク時(2021年ごろ)で85軒ありましたが、2024年12月末現在は67軒です。
2024年 学大飲食トピックス
世界で15位
自サイトの既存記事でランキング形式のまとめ記事を作るにあたり、明確な基準があるわけでもなく、なんとなく選んでみたというだけのこと。まとめ記事なんてそんなもんです。それを大仰に取り上げるテレビやらなんやらも、適当にネタにしているだけ。
これに対し、学大住人のみなさんは冷静でした。「すごーい!」と浮かれていたのは私の周りでは一人だけw
「どこがクールやねんw」
「住人がクールだと思ってる、と思われるのヤだわーw」
そう笑いながら酒を飲む、そんな夜が数日続きましたとさ。
前年の「奥目黒」しかり、1年に1回、ヘンテコリンな扱いをされますなw ちなみに奥目黒もクールも、その内容自体はまっとうです。
何のことかわからない? わからなくて大丈夫です。
※飲食中心の内容だったので取り上げました
学芸大学の飲食店数が600軒を超える
このサイトにおいて、「学芸大学の飲食店」の定義はざっくり「学芸大学駅を最寄り駅とする飲食店」です(例外もあり)。
その上で、2024年2月、学芸大学の飲食店数が600軒を超えました。12月末時点では634軒です(2、3軒の誤差あり)。
参考学芸大学の全飲食店リスト(約600軒)~エリア・ジャンル絞り込み機能付き
高架下リニューアル
GAKUDAI PARK STREET(手前)はふわりと、GAKUDAI COLLECTIV(碑文谷公園方面)はひっそりと開業しました。
学大インバウンド
その兆しは2017年に感じていました。コロナおよびコロナ直後の2021年・2022年、グッと増えました。そして2023年、溢れかえるようになりました。
学大以外の地域から学大に遊びに来る人の増加――これを学大インバウンドとでも命名しておきます。今年もすごかった。この傾向は今後も続くでしょう。
×(かける)
飲食店+α・何か×飲食。そんな店が多くオープンしました。基本的には「〇〇もあるカフェ」といった感じです。
- botanical terrace(観葉植物×コーヒー)
- CrunK VINTAGE CAFE(古着×カフェ)
- LB coffee(サロン×カフェ)
- GAKUDAI COUNTER BOOKS(本×カフェ)
- 日常(日用品×カフェ)
- waccawacca(雑貨×カフェ)
- おやこカフェ ぷっぷ(知育玩具/子供×カフェ)
※上3つは本業+飲食ちょこっと、といったニュアンス
ちなみに、今年オープンした店以外ではBOOK AND SONS(本×コーヒー)があります。あとは不定期的に、endress(古着屋)が店頭でコーヒーやワインを販売したり、MAD PUCCA BARがアパレル展示販売したり? それくらいでしょうか。
※インヤンレスト(韓国家具・食器×カフェ)が今もカフェ営業をしているかどうかは不明
とんかつがゼロ
が閉店。テイクアウト専門のとんかつ 新宿さぼてん 学芸大学駅西口店も閉店。この街からとんかつ店がなくなりました(イオンスタイル碑文谷内にはある)。
惜しまれつつ
特にこの2軒は多くの人に惜しまれつつ閉店しました。個人的には七甲山 学芸大学店、ネルソンズの閉店が寂しいです。
訃報
2024年1月に246のタボさんが、2024年4月に味楽のご主人が亡くなりました。お二人とも突然のことでした。ご冥福をお祈りいたします。
2025年の学大飲食予想・展望
バレはじめる学芸大学
メディアやSNS等で目立っている今どきの飲食店に他地域からの客が押し寄せています。けど、もうそろそろバレはじめるんじゃないかと予想します。
「おい、地元民が集ってる店がいいらしいぞ!?」
と。
地元民しかいないような飲食店もフューチャーされ、他地域からの客が押し寄せるなんてことになりそうな。実際、その気配がチラホラとすでに。
にわかに活気づく五本木交差点
五本木交差点に新築ビル・DEARc1学芸大学が竣工し、3軒の飲食店がオープンしました。いずれもおしゃれな若者にウケそうな店です。
対面のPACOはすでに人気店。五本木通り/三宿通りを少し北へ行ったところのDJバー・The sun rises againと駅方面へ行ったところにあるFIVE TREESは、人と人・店と店をつなぐハブ的な存在として大きな影響力・集客力を持っています。
2025年は五本木交差点に大勢の若者たちが集結しそうな予感がします。
ブックオフvsユニマット
どうなるのか興味深い大型物件がふたつあります。ひとつは10月20日に閉店したブックオフ跡。もうひとつは6月30日に閉業したドギーズアイランド跡。
どちらも大型なので賃料も高いです。さて、いったい何が入るのか。どちらが先に埋まるのか。ブックオフ跡vsユニマットビル――野次馬根性で見守りたいと思います(飲食とは限りませんが)。
イオンスタイル碑文谷に動き
2024年12月13日、イオンスタイル碑文谷内(2F)に銀座コージーコーナーがオープンしました。来年早々、2軒の閉店(&新店・リニューアル)が予定されています。イオンスタイル碑文谷が何かしらのテコ入れを考えているということなら、これだけではなく、他にもいろいろな動きがあるかも?
ポツンと一軒
住宅街に忽然と飲食店ができることが多くなりそうな気がします。自宅の一階を店舗にして貸す(orみずから運営)ということもあるでしょうね。今年もそんな飲食店が1軒できました。
駅周辺が飽和状態になり、少し離れた場所で出店する飲食店が増えるというパターンはどの街においてもありがちです。2025年は駅から徒歩5分~10分くらいの立地に注目してみたいと思います。
※気づきづらい、見つけにくいので、ぜひぜひ情報をお寄せください
今までになかったタイプ
今年で言えば、みんなのランドやおやこカフェ ぷっぷがそれに当たるでしょうか。2025年にはお酒の美術館 学芸大学駅店、この街の食堂という飲食店ができます。
ジャンルではなくタイプの話。2025年は今までの学芸大学にはなかったようなタイプの飲食店が多く現れると思います。具体的にどうと言うのは難しいのですが。
二葉の行列
新築ビルがほぼ完成しました。2025年春、二葉が戻ってきます。特にオープン直後は大行列になるでしょう。
所感・総括
多けれど穏やかだった飲食店のオープン
2024年の学大飲食は過去最多のオープン軒数でした。確かに多かったです。けど、昨年ほど「多いなぁ」という感じはしませんでした。
たとえば昨年。オープン日からしばらく行列が続いた麺也 時しらず・Goûter(グテ)。オープン直後からメディアでよく取り上げられていたコーヨーハイツ・焼鳥やおや HANARE・目黒三谷。派手にオープンした飲食店がたくさんありました。
一方、今年はTaisuke Endoの店頭に高価な開店祝い花がきれいにずらりと並び、オープン記念割引期間に東京油組総本店 学芸大学駅前組に行列ができていたくらい。その他はどこも穏やかにオープン日を迎えていました。
そんなこともあって、数の割に「多い」という印象が強くなかったというのが、振り返ってみて感じることです。
淡い期待
他地域からの客が多い飲食店が増えてきています。そんな中、でん芭とキッチンラボに対する地元からの評判がいいというのは先述の通りです。2025年にはこの街の食堂というランチメインのお店がオープンします。
揺り返しということでもないのでしょうけど、来年は住人に向いた、住人のための、住人が本当にデイリーに利用できる飲食店(※)がもう少しできるかもなぁ。なんて淡い期待を含んだ予測を書き記したところで、学芸大学飲食アニュアルレポート2024を終えたいと思います。
今年一年、お世話になりました。いつも情報をお寄せいただいてありがとうございます。来年もよろしくお願いいたします。
※そうでなきゃいけない、そうあるべし、と言ってるわけではありません