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すぱいす暮らし(学芸大学)のカレーはラビリンス。繊細かつ大胆なスパイス使いで、一度ハマると抜け出せない迷宮のよう。

学芸大学東口商店街の裏手に広がる十字街。まさに十字路となっている一帯で、数多くの飲食店が軒を連ねています。

あちこちから賑やかな声が漏れ聞こえてきます。路面店だけではなく、怪しげなビルの2F、3Fにもお店があります。表から見るだけでは何屋なのか見当のつかない店もあります。初めてやって来た人が十字街を迷宮のごとく感じたとしても、むべなるかな。

spicekurashiの画像

そんな十字街の入り口にすぱいす暮らしというお店があります。2016年4月27日にオープンしました。

もともとBAR 翠という居酒屋で、土日のランチだけ印度料理 翠(SUI/すい)を開いていた女性店主が、すぐ近所に自分の店舗を構えるようになります。それがすぱいす暮らし。

すぱいす暮らしは基本的には夜の営業です。日曜日のみランチ営業をしています(2018年7月現在)。今回はランチでうかがいました。

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ここは「鮨 しお」があった場所。隣のボヤにより少し焼けてしまったのですが、とてもきれいになりました。写真では見えづらいですが、カウンターの向こうにはテーブル席もあります。

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ランチはカレーが2種ありました。

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こちらはチキンカレー。チキンが3種入っています。モモと手羽元と、もうひとつは胸肉かな? 連れが食べちゃったのでわかりませんでしたw

トマトの酸味がきいていて、パクチーの香りがフワッと漂います。スパイシーなんですが辛くはありません。カレーを食べているというよりも、スパイス料理を食べているという感じ。そもそもカレーとは……と語り出すと大変なのでやめときましょうw とにかく、繊細にスパイスが重ね合わされたおいしいカレーです。

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こちらはポークカレー。クローブがガッツリ大胆に使われています。スッと爽やかな味わい。クローブに慣れていないと、もしかしたら「なんじゃこりゃ」と戸惑うかもしれません。それくらい尖ったスパイス使い。ブロック状の豚肉はよく煮込まれていてホロホロです。これもうまい。

いずれにも自家製のぬか漬けがピクルス的に添えられています。雑穀米(ジャスミンライスに15種類の雑穀を混ぜているのだそう)はなかなかのボリュームで、腹ペコ男子でも満足のいく量だと思います。

ランチにはラッシーかチャイがついてきます。ラッシーにはシナモンだったかな。チャイはこれまたがっつりクローブがきいています。結果としてわかったことですが、チキンにはチャイ、ポークにはラッシーがいいかもしれませんね。味の変化が出るので。

ですが、日によって(あるいは週、月ごとに)カレーの内容は異なるかもしれません。上の説明はあまり参考にならないと思います。「今日はどんなカレーなんだろう」そんなドキドキを抱えつつ店に入ってみて下さい。

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Facebookページより転載

さて、開店して約1ヶ月。カウンターの端には開店祝いの花が並んでいました。立派な胡蝶蘭にはカードが添えられています。そこにはこんな文言が。

Lost in spice-kurashi

from Sofia Coppola

お。なんだろうこれ。

「これ、本当にコッポラからですか?」

「いえ、彼女は東京が好きで、東京に滞在して映画を撮っていたこともあるんですね。ですから、ここにも来てくれたらいいねってお客さんが」

「ああ、そうなんですか」

2003年公開のソフィア・コッポラ監督作品「Lost in Translation」にかけたのでしょう。そのお客さんと店主がコッポラ好きなのかな?

映画「Lost in Translation」のタイトルの意味や内容の詳細は他所に譲るとして、「Lost in spice-kurashi」をそのまま訳せば、「すぱいす暮らしで迷子になる」あるいは「すぱいす暮らしに夢中になる/夢中になって我を忘れる」といった感じでしょうか。

迷宮のごとき十字街で、複雑にからみあったスパイスの迷宮に入り込み、一心不乱にカレーをかきこむ――スパイスが好きな人はきっと「すぱいす暮らし」という迷宮にハマってしまうことでしょう。

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