学芸大学駅から徒歩30秒。西口商店街沿いに目黒三谷というお店があります。2023年12月29日にオープンしました。
運営は株式会社souzou。代表・曽我翔太郎さんは上目黒小学校・目黒区立第五中学校(現目黒区立目黒中央中学校)卒の祐天寺出身。
「僕は五中最後の入学生で、僕らの次の代から目黒中央中なんです」
そんな曽我さんは高校・大学時代から牛角やダイヤモンドダイニング、オーイズミフーズなどの飲食店でアルバイトをしてきて、大学卒業後、TBIに入社し経験を積み、2019年に退社。今回、地元に近い学芸大学に店舗を構えることになりました。
店名の目黒三谷はこの物件がもともとサンヤ靴店(1948年~2023年)だったことに由来するのでしょう。
ちなみに三谷は界隈の古い町名です。
私の見間違いでなければ、「小山/サンヤ-29」と記されたこの電力プレート(通称・デンリョク)はまだ目黒三谷の扉横にあったはず。とても貴重なプレートなので残ってよかった。
1階と2階があります。1階はカウンター6席、2階は4人掛けテーブル×2。トイレは2階。
店主・スタッフ・知り合いなどが協力してDIYでお店を作り上げたのだそう。木のカウンター・棚・柱・階段、土壁(風?)、オレンジ色の灯りはノスタルジックな雰囲気を醸し出しています。ふむ、これがいわゆる"エモい"ってやつ?
とても狭いのですが、その分、店側と客側の距離が縮まります。実際、最初のメニュー説明から始まり、各料理を出す際の説明、客への声掛けが密におこなわれ、穏やかで温もりのある空気感が漂っていました。
料理は鶏・ホルモンの炭火焼きがメイン。ホルモンを含む肉類は仕入れが安定しないので、品切れになっていることもあるそう。
ドリンクはナチュールワインと日本酒に力を入れています。
一杯目の生ビール(660円)は撮影し忘れ。こちらはお通し(450円)の炭焼きカマンベール いくら乗せ。
目黒ポテサラ(750円)。卵白を使った自家製マヨネーズはフワりと軽い。サワークリームのような酸味があって、さっぱりしていて、胃を心地よく刺激してくれます。
目の前の炭台では肉や野菜が焼かれています。
私はどんな飲食店であろうとテーブル席よりカウンター席のほうが好き。なるべくカウンター席に座るようにしています。目黒三谷はなおのこと、絶対カウンター席でしょう。しかも今回は炭台の真正面です。バックネット裏の特等席。視覚・聴覚・嗅覚が味覚を補い、料理が一層おいしく感じられます。
大アスパラ(420円)、生椎茸(640円)。
目黒三谷の名物料理のひとつ、極みレバー串(1本420円)。
「毎日、芝浦食肉市場に買い付けに行ってます」(曽我さん)
臭みは一切ありません。レアなレバーはコリッとした食感なのにクリーミー。濃厚です。
鶏胸肉のレアカツらっきょタルタル(1010円)。肉がムチッと締まってます。どうしてるんだろう。タルタルはらっきょうのシャクシャクッとした食感が楽しい。
なお、
当店の鳥刺しは朝挽き鳥を使用し鮮度の高い状態で提供しますが、完全な無菌ではありません。
とあります。
ひとつだけ言い添えておくなら、カンピロバクター(の有無・感染症リスク)は鮮度とは一切関係ありません。鮮度がいいからといって、カンピロバクターによる食中毒リスクが低くなるということはありません。
私はレアなレバー・鶏肉も大好きなので頼みましたが、積極的にお勧めしているわけではないことをご了承ください。
参考/厚生労働省:鶏肉は十分に加熱して提供しましょう(PDF)
二杯目の目黒レモンサワー(580円)。この甘い感じ大好き。
「綱島サワーってあるじゃないですか。あれみたいに、目黒で愛されるようなサワーを作りたくて」(曽我さん)
こちらは学芸大学の居酒屋・ひとひらで飲んだ綱島サワー。綱島サワーは大葉のピクルスを使った綱島のご当地サワーです。綱島のダイニングバー・FATMAM店主の月岡輝行さんが街を盛り上げようと考案しました。
炎が一段と大きく上がりました。
そして運ばれてきたのは親鶏の黒焼き(1300円)。親鶏は産卵後の雌鶏です。肉質は堅く食感はゴリッゴリ。けど、これがいい。宮崎地鶏の炭火焼きを彷彿とさせる一品です。炭の香ばしさと柚子胡椒の爽やかさがいいバランス。
「本当は宮崎の鶏を使いたくて、今度、宮崎に行ってきます。直接、生産者さんと話をしないと」(曽我さん)
砂肝キムチ(750円)。砂肝なんですが、チャンジャのような味わい・食感です。このキムチ自体が海鮮系の風味が強いのかもなぁ(ヤンニョムにはアミエビが使われている)。これは面白い。いつかマネしてみよう。
三谷の角煮、芝浦ハラミステーキが品切れだったので、上ミノの炭火焼き(860円)。大げさに言えばコプチャンのごとき脂の乗りです。ジュルっと脂は甘く、肉はコリッ。
「ひろぽん、女の子が多いね。ほら、あちらは女の子ふたり、隣は男女カップル、ここも男と女」(同伴者)
「ね」
「女性が入る店は儲かるってほんと?」
「そもそも日本の人口は女性のほうが多いし、この街も女性が多くなってきてるから、女性が入りやすい店にしたほうがいいかもねぇ」
「最近は女の子のほうがよく飲むのよぉ」
「ほんとそうw」
この寒さにもかかわらず、店先で女の子二人が飲んでます。店内も女性客がほとんど。そして若い。
これが学芸大学の"いま"なんだなぁ。
会計は二人で10,110円でした。一人約5000円。全体的に量の割に少し高いとは感じました。まあ、スタッフも多いですし、家賃も高額ですし、今どきの学大の飲食店はこんなものですかね。
いずれにせよ、どれもとてもおいしかったです。舌だけではなく目でも耳でも楽しめました。そして何より親しみやすい客対応がすばらしかった。
大人気店です。席数も限られています。行く際には早めに予約を取ることをお勧めします。