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とり竹(学芸大学)は庶民派焼き鳥屋の最高峰です。丁寧に、繊細に焼き上げられた焼き鳥一本一本に、ご主人の思想が垣間見えます

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学芸大学駅の改札を背に右手へ出るのが東口。その東口を出てすぐ、恭文堂書店の角を右に曲がると、飲食店が軒を連ねる筋があります。学芸大学では十字街と並ぶ飲食店密集地帯です。

そんな通りに佇むのが2010年7月にできた「とり竹」という焼き鳥屋さん。表にメニューが出ていますし、扉が開いていれば中の様子もわかります。リーズナブルで、カジュアルながらも落ちついた雰囲気の焼き鳥屋さんです。

私は4回ほどうかがっています。今回が5回目くらい。

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大きなコの字のカウンター。4人掛けのテーブルも2つあります。ご夫婦でやってらっしゃって、娘さんと思しき女性たちも手伝ってます。息子さんぽい方も以前は見かけたのですが、今回はいらっしゃいませんでした。

とり竹といえば"あの方"。おおよそ1/2ほどの確率でお見かけします。この日はいらっしゃいませんでしたが。そういえば、数週間前は某女優さんといらっしゃってたなw

それはいいとして。

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少し涼しくなったとはいえ、まだ夏の気配を残しています。当然、スーパードライ。小さなコップを出すのは、ちゃんと飲み屋のことをわかっている証拠です。

焼き鳥以外のメニューはそれほど多くはありません。あくまでも焼き鳥がメイン。初めて行くなら、いや、何度行ってもそうなんですが、絶対にコースがいい。鳥スープ分がお得です。

"とりコース"も頼んだことがあるのですが、内容は忘れました。"竹コース"は【お好み】の右から8本が出てきます。今回は竹コースをお願いしました。

と、その前に一品つまみます。

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鳥もつ煮込み。いろいろな部位が入っているのですが、一番多く入っている部位は見慣れないものです。

「これはどこの部位ですか?」

「砂肝の下の部分です」

あー、なるほど。確かに言われてみれば。砂肝はふたつの山がポコポコと連なっているような形状をしています。ふたつの山は薄い皮のようなもので繋がっているのですが、おそらくその部分でしょう。

もつはとても柔らかく、スープは鳥のダシがしっかりと出ています。調味料はおそらく塩くらい。けど、奥深い味わいでとてもおいしいです。

さて、串に移りましょう。それほど客はいませんし、ほどよいタイミングで出てきます。火の使い方が本当にお上手なので、サッサッサと焼けるんだろうなぁ。炭に風を送るご主人の姿を見ているだけで楽しい。

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まずはとりレバ。レア目に焼き上がっています。しっとり濃厚。何度か食べていますから、だいたい覚えてはいるのですが、それでも、ひと口食べて「そうそう。これこれ。やっぱうまいんだよなぁ」と再確認させられます。何度食べてもうまいもんはうまい。

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ねぎま。プリっとしていてジューシーな肉。ネギの焦げ具合でわかるんです。このご主人は火を入れ過ぎないよう最大限の注意を払ってらっしゃるな、と。

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丁寧に開かれたとりハツもそう。プリッとしていてジュワっとなるのは火の入れ方が絶妙だから。これ以上焼くとパサつきます。そして塩ね。しょっぱくはありません。けど、薄くもありません。鳥のうまみを引き出し、酒が進むちょうどいい塩梅。

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縮んだ分、ギュッと詰まる。パンパンに膨れ上がったすなぎもです。肉の水分を残しつつ、表面はパリっと仕上げています。噛むとシャオッ、シャクッ。

焼き鳥屋で砂肝を頼むことはほとんどありません。なぜなら、だいたいあまりおいしくないから。食感がいいだけ。コリコリでパサパサなんですよね。まあ一度「とり竹」のすなぎもを食べてみて下さい。これがうまい砂肝なんです。

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鳥皮もね、単にパリパリじゃないんです。トゥルンとした感じも少し残しています。片面はパリッパリで、裏はわずかにチュルッ。うめぇ。

ただ、人によってはこのチュルッとした感じが苦手なようで、隣にいる連れもそうなんです。好みなのでいいんですけど、ああもったいない。ま、その分、一本多く食えるからいいんだけどねw

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わかどり。私がスマホで撮影していたら、ひと足先に口にした連れが「うわっ」と声をもらしました。私もひと口。「おおう」。この上なく柔らかくしっとり。フレッシュな鳥のうまみが口内にフワリ。わずかに振られた塩すらも邪魔と思わせるほど。うめぇ。

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「ナンコツです。カラシをつけてどうぞ」

ん? とりあえず、最初のひと口は何もつけずに頂きます。ジューシーな肉とコリっとしたナンコツのハーモニー。うまいな……あ、撮るの忘れた。上の写真はひと口食べたあとのものです。あまりにうまそうだから口が先に出ちゃったじゃないかw

続いてカラシをつけてみます。ふむ、いい。とてもいい。けど、なぜだ? なぜナンコツにだけカラシを供するんだろう。

「すみません、なんでナンコツにだけカラシなんですか?」

「うちのはハラミの下の部分の肉もつけてるんですが、脂が多いので、カラシでさっぱりと召し上がって頂こうかと」

カラシがなくたって、十分、おいしいです。脂だって感じ方によっては濃厚でいいし、実際、そう感じました。でも、問題はこのご主人がどこまで鳥のことを、客のことを考えているかということです。カラシがなくたって、おそらく誰も文句は言いません。でも、職人としてはカラシは必要なんです。

もしかしたら、気づかれずやり過ごされるような、些細なことかもしれない。けど、それでも譲れないものがある。手を抜けないことがある。ともすると、効率化、コストなどといったもので、昨今ではないがしろにされがちなことです。でも、そこに手をかけるのが本当の職人です。

このカラシに限らず、焼き鳥一本一本の焼き方、供し方にご主人の思想が垣間見えます。

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最後の一本はつくね。プリップリ。肉を挽いたというより、もはやペーストなんじゃないかと思うほどの細かさ。しっかりとミンチにして、しっかりと練ってるんだろうなぁ。そして、ポリポリのナンコツのあとにこれでしょ? いいコースだ。

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〆は鳥スープ。かすかな塩味(えんみ)、コショウ。ゴマ的な香ばしさは気のせいか? 単にわかりやすく濃厚に仕立てるスープではありません。鳥のうまみを上品に絞り取った極上のスープです。うめぇ。

焼き鳥屋といってもいろいろあります。1本100円くらいの安さをウリにする店から、最低でも200円、物によっては1本300円以上する高級店までさまざま。簡単に言ってしまえば、とり竹はその中間くらいと説明できるかもしれません。でも、それではちょっと私の気持ちを正確に伝えきれません。

庶民派焼き鳥屋の最高峰

これがとり竹に対する私の評価です。

あと、奥さんがかわいいんだわw

SHOP DATA

「読みましたよ」って言われてあとで赤面するから、余計なことを書かなきゃいいのに、どうしてもキーボード上で指が滑る。そしてさらに、ちょっと稲森いずみっぽいよねとか、また余計なことを重ねる始末w

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