
表まで魚介が香るつけ麺メインの麺也 時しらず

学芸大学駅から徒歩2分。西口商店街沿いに麺也 時しらず 学芸大学店というラーメン屋があります。2023年2月10日にプレオープンしました(2月13日に本オープン)。
2023年2月時点では麺也 時しらず 大井町店・学芸大学店の2軒があります。運営は株式会社QTTAでしょうか。このあたりに関してはまた後ほど。


メインは鶏魚介濃厚つけ麺で、山椒香る煮干しそばはスープのあるラーメン。替え玉とは違った二度麺というものがあります。

表の券売機で券を買って入店します。



初回は鶏魚介濃厚つけ麺(900円)にしてみました。

カウンターが8、9席ほどで、奥には4人掛けテーブル席。
つけ麺のデフォは並(200g)か大盛り(250g)かが選べ、食券を渡す際に伝えます。

表にまで漂っていた魚介の香りが店内では一層強くなります。心地のいい和の香りです。

スープ、にんにく酢、一味の醤油漬け、黒煎り七味が据えられています。



麺、スープ、調味料のこだわりが書かれていて、待っている間に目を通しました。
一番印象的なのはつけ麺の麺。通常は30cmほどなのですが、ここでは50cmという長い麺を使っているのだとか。
なるほど。これまで中華麺の長さを気にしたことはなかったなぁ。こういうこだわり方があるのか。楽しみ。
さて、まず最初に。
すばらしい客対応に感嘆

私のラーメン経験値なんてたかが知れています。そんな人間の言うことなので、話半分に聞いてもらいたいのですが、これまでに行ったラーメン屋でもっとも気持ちのいい客対応でした。
過剰さはありません。やかましくありません。最低限の声出しです。
「いらっしゃいませ」
「ありがとうございました」
あとはカウンター上に器を上げた客に対して、
「助かります」
と声をかける。その程度です。けど、元気がよく明るくすがすがしい。声量、言葉数、タイミング、すべてが最適。メガネが徳重稜さんという方なのかな? すばらしい。メイン調理担当の方も女の子もよくやってます。いい人材を集めてますなぁ。
濃厚なんだけど品のある鶏魚介濃厚つけ麺
つけ麺は麺が太めですから、茹でるのに時間がかかります。ですから、それなりに待ちました。これは致し方のないことですし、まったく不満はありません。少々、時間がかかってもイライラしないように。見ていればわかるはずです。オペレーションは完璧だと。単に茹でるのに時間がかかっているだけだと。

こちらが鶏魚介濃厚つけ麺(大盛り)。

まずは麺をそのままいただきます。

ほんのりと茶色みがかった、冷たくビシっと締まった太めの麺はムッチムチ。弾力が強く、小麦の風味も強い。麺は菅野製麺です。

温かいつけスープは鶏のコクがベースにあって、これが濃度を出しています。もちろん味は鶏よりも魚介の方が強いです。鯵か煮干しか何なのかはわかりませんが、いい意味での魚のクセ・うまみが濃厚に出ています。
魚介だけだと尖ったり、あるいは苦みが障ったりするだろうところを、鶏の甘みがうまく丸めていているのでしょうか。バランスがよく品がいい。
菅野製麺の力強い麺は濃厚な鶏魚介スープをしっかりと絡めとります。そして麺をすすった瞬間はヒヤリとして、50cmという長い麺をすすり終える際にはぬるくなる。ひとすすりの中で温度差が感じられるというのも面白い。

チャーシューは極薄です。薄さも味わいも大げさに言えば生ハムのよう。この塩味がまたね。絶妙だなぁ。
一般的には柚子が添えられることが多いと思うのですが、ここは大葉。柚子もいいのですが、大葉もいいですね。爽やかな大葉が魚介で充満した口内をさっぱりとしてくれます。

スープに漬かって隠れていたメンマは太くてコリッコリ。いい歯ごたえ。


麺のラスト3口は、黒煎り七味、一味の醤油漬け、にんにく酢を試します。一味は辛くはなく、唐辛子の香ばしさが前面に出ています。にんにく酢はほのかなにんにくの香り。どれもおいしくはあるのですが、つけ麺に一番合っていたのはやはり黒煎り七味でした。

すべての麺を食べ終えたら、ラストのひとすすり分をスープ割で。

スープ割を飲み干しても終わりません。最後の最後、スープだけをほんの少し器に注ぎ入れ、器を傾け回しながら、器の壁についたスープや粉をすべてこそげ落とします。飲み干した器の内側は真っ白に。
いやぁ。うまかった。

器やコップをカウンター上に上げながら、「おいしかったです」と伝えました。そうしたら。
「きれいにありがとうございます」
あああ。「助かります」じゃなくて「きれいにありがとうございます」か。そういうとこなのよ。ほんとすばらしいな。
「ごちそうさまでした」
「ありがとうございます」
麺や すすると麺也 時しらずの比較

不満点がないわけではありません。
具にもう少し満足度がほしかった。もっと言えばチャーシュー。クオリティは高いのですが、量的な物足りなさは感じました。
こうなっている理由はわかってます。インスタの投稿を読みました。それでもやっぱり……。けど仕方ないか。

麺や すするも魚介を使ったつけ麺がメインです。ただ、麺や すするは豚も使っているためでしょうか、もっとがっつりしています。
わかりやすいパンチを求めるなら麺や すする。もう少し落ち着いた品のある魚介がよければ麺也 時しらず。そんな使い分けがいいかもしれませんね。
おっと。どちらも2010年創業だ。それはいいとして。
よくまとまってるなぁと感心させられました。とてもおいしかったです。機会がありましたら、ぜひ一度。
あ、メガネ君がいるうちに行っとくといいですよw
麺也 時しらずの歴史
以下はネットの情報をまとめました。ただ、わからないこともたくさんあります。正確性は保証しません。
2007年、時田賢也氏が株式会社ARCH(アーチ)を設立。空間デザイン、服飾小売販売、広告代理業、不動産業など幅広く事業を展開する中、つけ蕎麦 安土 高田馬場本店で修行し、2010年、麺也 時しらず(北綾瀬)をオープン。
その後、飲食事業を独立させるため株式会社ups(アップス)を設立(2015年)、2023年には株式会社QTTAも設立。ということだと思います。
これまでの出店履歴は以下の通りです。ヌケや誤りがあるかもしれません。
2010年07月19日 麺也 時しらず 北綾瀬(大井町へ移転)
2011年08月13日 麺家 とき田 スポーツセンター店
2012年11月03日 麺家 とき田 おゆみ野店
2013年00月00日 麺也 時しらず 歌舞伎町店
2014年08月08日 越後製麺(※つけ蕎麦)
2016年10月12日 麺 TOKITA 半蔵門店
2017年03月13日 麺 TOKITA 人形町店
2017年11月20日 麺 TOKITA 代々木店
2021年07月19日 麺也 時しらず 大井町店(北綾瀬からの移転)
2023年02月10日 麺也 時しらず 学芸大学店
※麺也 時しらず 歌舞伎町店はちょっと不思議な感じ。安土が絡んでる?
上述の通り、麺也 時しらず 大井町店・学芸大学店以外はすべて閉店しています。
1990年代後半から2000年前後にかけて、魚介×豚/鶏の"Wスープ"が一大ブームとなります。麺屋武蔵(1998年)、せたが屋(2000年)、はやし(2003年)、つじ田(2005年)などなど。
これらの成功を目にしたからなのかどうか、2010年頃からまた新たなWスープ・トリプルスープのラーメン店が増え出します。麺や すする、麺也 時しらずがまさに2010年創業でした。
ただ、Wスープ系があまりに増えたためか、変わり種で勝負しようという流れになってきます。麺 TOKITAもそう思ったのかもしれません。海老泡で特徴を出しました。
しかし、そういう奇抜さが長続きしないのもよくある話。シンプルなラーメンで原点に返ろう――これが麺也 時しらず 学芸大学店なのかもしれませんね。
すべて想像なので、わからんですよ。
店名 | 麺也 時しらず 学芸大学店 |
住所 | 〒152-0004 東京都目黒区鷹番3-14-6 |
営業時間 | 11:00~14:30 17:00~21:30 |
URL | インスタグラム |
メモ | オープン直後は仕込み量を絞っている模様。比較的早くに材料がなくなり、そのまま閉店することも多いと思います。 |