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ま・めぞん(学芸大学)は名物・さんまライスロールが絶品!手打ちそばを食べれば、どの料理にも丁寧な仕事が施されていることがよくわかります

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料理を見ただけでどの店かがわかる。そんな料理を持つ店はいい店です。

大きな玉子焼きを見ればさいとう屋だとわかる。ランチの前菜を見ればSTELLA(ステラ)とわかる。ばんに至ってはレモンだけでわかる。そして、さんまが写っていれば、それはま・めぞん。

※2019年11月時点で、ま・めぞんは休業中です。このまま閉店してしまう可能性が高いような気もします。詳細は記事末をご覧ください

※2020年3月18日追記:そのまま閉店した模様です。追記以上

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学芸大学駅から徒歩3分。西口商店街沿いに、ま・めぞんという居酒屋があります。2000年にオープンした老舗です。

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ま・めぞん=ma maison。フランス語で「私の家」という意味です。表の2階部分に掲げられた看板には「渋谷」とあります。なんでしょうね。渋谷で創業して学芸大学に移転してきたということでしょうか。

正確に言うと2度目なのですが、4年ほど前、連れが同僚たちといるところにチラッと顔を出した程度。ほとんど何も食べていません。ですから、今回が初訪問と言っていいでしょう。

※追記:「渋谷」のことがわかりました。後述

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カウンター席、テーブル席。2階にも座敷があるようです。

古民家風ではあるのですが、単なる和じゃない。少しモダンさも感じさせます。なんでだろうな。BGMのジャズがそう感じさせるのかなぁ。とても居心地のいい空間です。新宿の池林房系列を思い出しました。

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メニューには大きく「おかえりなさいませ!!」。ま・めぞんの店名に込められた思いは、つまりこれなのでしょう。

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ま・めぞんと言えば、さんまライスロール。もちろん注文します。

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生搾りグレープフルーツサワーがまあおいしい。グレープフルーツがたっぷり。しっかし、この写真の曇りはなんだw

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先付け(500円)はほたるイカの沖漬け、じゃがいもバター、土佐酢でマリネしたトマト、ナス。ちゃんと手のかかった先付け。これだけで、もういい店だということがわかります。

どれもこれも実においしい。いい意味でとてもわかりやすい味付けです。パンチがあります。酒の肴にぴったり。日本酒にすべきだったか?

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刺身の3点盛り。マグロ、カンパチ、イサキ。大ぶりにカットされていて食べごたえがあります。どれも濃厚。こういう刺身好きだなぁ。

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ばくだんサラダ。大根の千切り、山芋、納豆、めかぶ、アボカド、おくら、温泉卵などを混ぜ混ぜ。しゃくしゃく、とろとろ、ねばねば、まったり、さっぱり。おいしいだけではなく、楽しい一品です。

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名物・さんまライスロール。これを食べるのは2度目。連れはま・めぞんに何度も来ていて、お土産に持って帰って来てくれたことがあったので。

さんまは北海道・厚岸町(あっけしちょう)のさんまだそう。立派です。

炭火で焼かれた脂の乗った香ばしいさんま、少し柔らかめの甘しょっぱいライス、山椒というアクサンテギュ。もちろんおいしいのですが、「いい料理」と評したい。店の顔となるメニュー。見ただけでどの店だかわかる料理。いい店にはいい料理がある。

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一日十食限定の手打ち蕎麦。そばがしっかり香ります。角が立ってる。プチっとした芯のあるコシではなく、ムチッとした歯切れ。上等。そばツユもダシがしっかりしていて超うまい。

そばを打ったことありますか? 私は二度、打ったことがあります。まったくもってうまくできませんでした。そばを打つのには繊細さと丁寧さがこの上なく求められるのですが、それができるということは、ほかの料理に対してもしっかり手をかけていることを示しています。

醤油まで作ってる居酒屋なんて聞いたことがない。

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「店主はマーシャルアーツ(※ブラジリアン柔術)してるんだって」

「なるほどねぇ。だからか。どの料理も何気にパンチがあるでしょう。人が出てるんだよ」

誰もが受け入れられるしっかりとした味。けど、丁寧に手がかけられていることもよくわかります。発想豊かではありますが、奇をてらいません。ご夫婦、女子会、家族連れ――幅広い客層です。そうなるのもよくわかる。

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手前の焼き方さんの向こうにいるのが店主・鎌田憲さん

もうひとつ印象的なのは接客です。ま・めぞんのカウンター席は厨房内とがっつり対面する感じではありません。店主・鎌田憲さんは時折、フロアに出て来て、常連さんとふたこと、みこと。この適度な距離感がまたいい。

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「令和記念の振る舞い酒なんですが、いかがですか?」

「あー、えー……」

「振る舞いですから、ぜひ」

「まあいいか。せっかくですし頂きます」

ここで会計伝票がやって来ました。実は会計を待っている最中で、店主はそのことに気付いていなかったのです。

「あ、お会計がお済みでしたか。すみません、失礼しました」

「いえいえ、お祝い事ですしね。では、少しだけ」

「お気になさらず、ゆっくりとお召し上がり下さい」

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黒龍 吟十八号(黒龍酒造/福井県)。酒が飲めない連れの分もササッと頂きます。なんじゃこれ。こんなにサッと飲むもんじゃないよ。すごい酒じゃん。うまっ。別に申し訳ないとかそういうことでもないんだけど、もったいないw

「5月18日、『メレンゲの気持ち』という番組でさんまライスロールが紹介されるんです。あと、近いうちにそばのランチを始めるので、もしよければまたぜひ」

「そばめっちゃおいしかったです。ごちそうさまでした」

朗らかな人柄も素敵だなぁ。品切れだったとろとろコロッケも炭火で焼く焼き鳥もいつか食べなきゃな。いっぱいあった日本酒も気になるし。

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ナルカミサランバン、ま・めぞん、宮川、和可奈鮨昌㐂サンライズマンナ

学芸大学駅の東西商店街の一階路面店で、食べ物をメインとした、多店舗展開・チェーン展開していない個人経営の飲食店です。商店街の一階路面店はその街の顔。その街に初めて来た人に、その街の印象を与えるという重要な役割を担っています。

また、学芸大学は変化のまっただ中にあるわけですが、私はこの変化をポジティブに捉えています。ただ、変わり過ぎても困ります。そして、過剰な、性急に過ぎる変化に歯止めをかけてくれているのもこうした個人店・老舗です。

隣の源平の建物は近いうちに取り壊され、ビルが建ちます。老舗や古い建物がなくなっていくと、その分、残った各店の役割が大きくなっていく。あるいは、その存在感が増していくとも言えるかもしれません。

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学芸大学に越して来てもうすぐ6年。随分と"帰り"が遅くなっちゃったな。遅くはなったけど、ただいま、ま・めぞん。これからも、この街をよろしくお願いします。

SHOP DATA

渋谷・学芸大学・東急、そしてま・めぞん

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この記事を上げた約1週間後、店頭には「祝 独立開業 のれん分け」という祝い花がたくさん出ていました。どういうことだろう?と思っていたのですが、偶然、店主と鉢合わせ。とりあえず聞きたかった「渋谷」の件について聞いてみました。

「看板の『渋谷』というのはどういう意味なんですか?」

「マ・メゾングループというのがありまして、フレンチやスイーツのお店などを展開しているのですが、その会社が渋谷にあるんです」

これで点と点がつながりました。

SHIBUYA109筆頭ビルオーナー・国松商事株式会社(丸國産業株式会社)。不動産会社なのですが、「マ・メゾン」のブランド名で多数の飲食店も運営しています。「ま・めぞん」もその内の一軒でした。そして2019年5月中旬、グループから独立したということでした。

2019年9月11日追記:ただ、この"独立"に際して、さまざまな問題があったようです。

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総合サポートユニオン/SHIBUYA109筆頭オーナーの会社「国松商事」運営の飲食店従業員が組合に加入、団体交渉を申入れました

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