学芸大学のバー・HAFURI(ハフリ)へ行ったら、富山県出身の方がいて、地元の素麺を持って来ていました。素麺マニアとしては絶好の機会。もちろんお相伴にあずかります。
富山県西部森林組合の越中利賀村 清流素麺。長い素麺を手まり型に曲げ乾燥させた曲げ素麺です。
秘境 利賀村からお届けする素麺
利賀の極寒の時期に作る清流素麺は、昔ながらの手延べ製法で作り、一玉ずつ丁寧に仕上げた一品です。約1人前1個包装になっているので、便利で食べやすい乾麺です。極細麺なのにコシが強く、のどごしがとても良い素麺です。山村の伝承に育まれた食文化を水と緑の村・利賀の郷よりお届けします。清流素麺の美味しさの秘訣
一般的に素麺は棒状の素麺ですが、昔ながらの製法で作る利賀村の清流素麺は、長い麺を手まり型に成型した素麺です。乾燥方法にもこだわり、4・5日間かけてゆっくりと麺線の芯から外へ向かって乾燥させております。この方法により強いコシ、喉ごしがえられ、美味しさの秘訣となっております。清流素麺の由来
製造地である利賀村は、富山県の南西部、岐阜県との県境に位置にあり、標高1,000mを超える山々に囲まれた、豊かな自然に恵まれた場所です。清流素麺は、その大自然の中に流れる澄んだ水をイメージした素麺です。
袋の裏側には「乾めん」と記載されていますが、袋の側面には「手延べ製法」とも書かれています。2000年に規格(基準)が変わったので(乾めん類品質表示基準)、記載が古いままなのかな? おそらくは手延べそうめんでしょう。
賞味期限は2012年9月。油を使った素麺は寝かせると熟成しておいしくなることもあります。普通はメーカーが厳正な管理のもと蔵で寝かせて、「古物(ひねもの)」として販売するのですが、これもまあ古物っちゃあ古物か。
一本一本がとても長いので普通は2、3に折って茹でるのですが、あえて長いまま茹でてもらいました。
細めでツヤのある素麺です。まずは何もつけず、そのまま。ツルリとした舌触り。プチっとした歯ごたえ、強いコシ。喉越しも滑らか。製造されて3年以上経っているせいでしょうか、熟成由来と思しき香ばしさをかすかに感じます。
清流素麺を持参した方はこう言います。
「小さい頃、素麺と言えばこれだった。これが一番おいしい素麺だと思う」
確かに、そう言わしめるに値するおいしさです。曲げ素麺だと南関そうめんを思い出します。この清流素麺は超絶うまかった南関素麺に比肩するほど。早くも今年一年のベストが来ちゃったか?
続いてツユをつけて食べてみます。すると香ばしさは減り、甘みが強く感じられるようになりました。うん、やっぱりおいしい。今度はフレッシュな清流素麺も食べてみたいな。もっと清涼感のある味わいなんだろうなぁ。
富山県の素麺は今回が初めて。富山県の素麺としては砺波市大門(おおかど)の大門素麺が有名です。大門素麺は江戸時代に能登・輪島から製法が伝わったのが発祥とされています。特徴は油を使わないということ。
この越中利賀村 清流素麺は南砺市なので、大門素麺ではありません。でも、富山にこれほどの素麺文化があると初めて知りました。機会があれば大門素麺も食べてみたいと思います。
廃業の危機からの復活
昭和58年6月、利賀村の森林組合と農林課が地場産業を形成すべく手延べ麺工場を建てます。翌年から清流素麵を製造・販売してきました。ところが、職人の高齢化・引退により、令和元年には廃業の危機が訪れてしまいます。そこで株式会社グラスキューブ というガラス会社が製麺工場・めんめん館の経営を引き継ぐことになります。
ですから、当記事執筆当時の製造者は富山県西部森林組合ですが、現在はグラスキューブが製造者です。
名称 | 越中利賀村 清流素麺 |
原材料名 | 小麦粉、食塩、植物油(綿実油) |
製造者 | 富山県西部森林組合 |
メモ | 上述の通り現在の製造者はグラスキューブ |
評価 | ★★★★★ |