今回ご紹介するのは株式会社三輪そうめん大手の三輪の絹糸です。
「三輪そうめん大手」が企業名です。代表者の名前が大手さん。中小/大手ということではありません。
現在、三輪そうめん大手はそうめんを製造していません。加工者・販売者として商品を卸しているだけです。
この三輪の絹糸の製造者は不明ですが、複数の製造者から手延べそうめんを集め、これを三輪そうめん大手が結束・パッケージングして流通させていると推測します。
スーパー三和 祐天寺店で購入しました。214円/250gでした。一般的なそうめんの量・300gに換算すると257円。小麦価格が高騰している中、手延べそうめんとしてはとても安いです(揖保乃糸は300円ほど)。
この三輪の絹糸を購入したのは9月9日。そうめんシーズンが終わろうとしている頃ですから、在庫処分的に安く流通しているのかも? どういう事情であれ、三輪のそうめんがこんなに安く買えるのはありがたいことです。
三輪素麺と三輪そうめん
三輪素麺は登録商標
三輪素麺(および鳥居マーク)は奈良県三輪素麺工業協同組合の登録商標です。同組合に所属する製麺所が同組合の定める厳格な基準に則って作った手延べそうめんしか、三輪素麺と名乗れません。
基本的に各製麺所はみずから三輪素麺を製造・販売していますが、同組合に納品し、同組合が販売する三輪素麺もあります。
なお、同組合に所属し、三輪素麺という商品を製造・販売しつつ、独自の商品名のそうめんを製造・販売している製麺所もあります。
三輪そうめんは一般名詞
2018年、同じくスーパー三和で購入した三輪そうめん大手の三輪そうめんです。
三輪そうめんは一般名詞。同組合に所属していようがいまいが、奈良県桜井市周辺地域の製麺所は自由に「三輪そうめん」という商品名のそうめんを製造・販売することができます。
三輪の定義と言いますか範囲は曖昧です。逆からの言い方になりますが、商品名に「三輪」と冠するそうめんを製造・販売している製麺所を見ていますと、桜井市だけではなく、同市以南・以東の奈良県内であれば、広く「三輪~」という商品名のそうめんが作られています。
三輪の絹糸は三輪素麺?
ひとつ面白いのがこちら。木箱の三輪の絹糸には「三輪素麺」と印字されています。一方、今回買ってきた袋の三輪の絹糸には「三輪素麺」という文言は一切記載されていません。この差はいったい何なのか、大変興味深いところではあります。
ちなみに三輪そうめん大手は奈良県三輪素麺工業協同組合に所属しているので、三輪素麺も販売しています。つまり、三輪素麺も三輪そうめんもそれ以外の三輪のそうめんも作っているということです。
いずれにせよ、私が買ってきた三輪の絹糸には「三輪素麺」といった文言や鳥居マークがついていないので、この記事では三輪素麺ではなく三輪そうめん、三輪のそうめんと捉えておきます。
余談ですが、「三輪の絹糸」は三輪そうめん大手の登録商標なのですが、有限会社小西勇製麺所は「三輪のきぬ糸」というそうめんを製造・販売しています。こちらは商標登録されていません。
三輪素麺/三輪そうめん、三輪の絹糸/三輪のきぬ糸、あるいは播州素麺/播州そうめんなどなど、漢字かひらがなかというのは、商標にとって(&そうめんにとっても)とても重要なことなので、十分に注意したいものです。
細い麺が小気味よく弾ける
開封。細くてサラサラ、触り心地がいい。そして小麦の香りがとても強い。
三輪素麺は見た目にもきれいというイメージなのですが、三輪の絹糸は結束が緩い。
折れている麺も1束に1、2本。先日買ったマル勝高田商店の手延三輪素麺と状態が似ています。
安めの三輪素麺/三輪そうめんだと、こういうこともありがちです。ただ、だからといって味が悪いというわけでもありませんから、気にはなりません。
もしや三輪素麺を作っている製麺所が検品の際にはじいたそうめんを安く買い受け、三輪の絹糸として販売していたり? いわゆるアウトレット品? もしそうだったとしても、見た目だけの問題ですから、やはり私は気になりませんが。
実情は知りませんよ。推測ですらない妄想です。
しならせてみたら、90度曲がりました。よくしなるそうめんはおいしいことが多いので、期待が膨らみます。
茹で時間は1分半~2分とあります。この細さなら1分半で十分だろうと思ったのですが、それではまだ足りませんでした。2分茹で、冷水でしっかり締めました。
ハリ・ツヤのある美しい茹で上がり。
口にすると、プツプツプツッと小気味よく歯切れます。三輪素麺/三輪そうめんとしては比較的穏やかですが、手延べそうめん全体からすると、しっかりしたコシです。気持ちいい……。
数の子って噛むと口内でプチプチプチッと弾けませんか? いい手延べそうめんのコシをあえてたとえるなら、それに似てます。噛むとプツプツ、プチプチ、ブチブチっと弾けるのです。これこそが、うどんやそば、冷や麦にはない手延べそうめんならではのよさ。
風味もしっかりしていて、味わい深いです。麺つゆにしっかり浸すと、その塩味がそうめんの甘みを一層引き立てました。
そうめんシーズン真っ只中でもこれと同じくらいの値段だったら、コスパがよすぎます。普通の人であれば(いろいろ食べ比べるわけではないなら)、ワンシーズンこれだけ買っておけばOK。そう言わしめるクオリティでした。もちろん星5です。
三輪そうめん大手と島原天満屋
スーパー三和 祐天寺店には毎年必ず島原天満屋株式会社の島原手延そうめんが並びます。そして上述の通り、三輪そうめん大手の三輪そうめんが売られていることも時折あります。
実は島原天満屋は三輪そうめん大手のグループ会社なんです。そんな繫がりがあるため、両社の手延べそうめんがスーパー三和 祐天寺店に揃うことがあるのかもしれません。いわゆる"バーター"とでも言いましょうかw
スーパー三和 祐天寺店様へ。この記事に記しましたように、三輪そうめん大手の三輪そうめんはそうめんマニアから見ても唸らされるくらいハイクオリティなものです。
シーズン終わりにちょちょいと置くのではなく、シーズン直前からレギュラーで三輪そうめん大手も置いておいてください。仕入れ値の関係もあって難しいかもしれませんが。
名称 | 三輪の絹糸 |
原材料名 | 小麦粉(国内製造)、食塩、食用植物油 |
製造者 | 株式会社三輪そうめん大手 |
メモ | 正確には株式会社三輪そうめん大手は加工者 |
評価 | ★★★★★ |