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植木農園(大分県)の青じそ入 手延べ素麺は美しく、この上なくおいしいそうめん。強いコシが快感です。

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有限会社植木農園(大分県)の青じそ入 手延べ素麺。ずっと気になっていたそうめんなので、近くのスーパーつかさ(学芸大学・祐天寺)に売っているのをたまたま見かけてびっくり仰天。500円/250gと高額でしたが、もちろん購入。

なぜ気になっていたかというと、私の周りに大分県出身者が多くて、大分県にそうめんはないのかなぁと調べていたことがあったから。

ちなみに植木農園は主に大葉を作っている農園です。大葉を使った加工食品も販売していて、その内のひとつがこの青じそ入 手延べ素麺。1985年から作っています。青じそ入りのほか、梅しそ入りと何も入ってない白いそうめんもあるようです。

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開封。しその香りはしません。それよりも独得な香りがします。なんだろう。和紙のような、あるいは美術館のような図書館のような……。少なくとも一般的なそうめんとはまるで違う香りです。もちろん、いい意味で言っています。

麺は細めです。練りこまれている大葉の粒と、麺の中心には芯が見えます。緑の麺だから芯が目立つ。この芯は手延べそうめん特有のものです。

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茹で時間が表記されていません。とりあえず、1分~2分で様子をうかがうことにします。

茹でていると、ほのかにしその香りが漂ってきました。1分、1分30秒、1分45秒、ここだ! 鍋からザルにそうめんをザッ。この瞬間! 立ち上がる湯気とともに、しその香りがフワッ。素早くしっかり冷水で〆ます。

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美しい翡翠色。この緑のほとんどは大葉ではなくクチナシ色素ではあるのですが、ピカピカに光っていて、とてもきれいです。気品すら感じます。まずはそのままひと口。

うわっ。

まず最初に言っておきます。やっぱりしその香りはしません。口に入れた瞬間、かすかにしそを舌先に感じる程度です。まあ、それは置いておいて。

プツプツプツッとした強い歯切れ。麺のエッジを感じます。ツルリと舌触りは滑らかで、のど越しもするり。気持ちいい。そして、そこはかとなく上等な手打ちそばを彷彿とさせる食感です。色が色なので、茶そばみたい?w

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今回はさば缶のさばとダシを合わせたツユで食べてみました。パンチのあるさばですが、それに負けないほどそうめんに力強さがあります。

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これはやばいです。すごい。そうめんとして、とんでもなくうまいです。もちろん星5です。余裕で星5。彩りを添えるためではなく、立派なおいしいそうめんとして、ぜひ一度お試しください。

DATA
名称青じそ入 手延べ素麺
原材料名小麦粉、食塩、青じそ粉末、綿実油、クチナシ色素
販売者有限会社植木農園
製造者有限会社植木農園
評価★★★★★

製造者と販売者の表示

とても込み入った話になるので、詳細は他所に譲りますが、これまでは製造を他者に委託している場合でも、みずからを製造者として表示することができなくはありませんでした(2020年4月に新食品表示制度に移行)。

この青じそ入 手延べ素麺は「製造販売者:(有)植木農園」となっています。珍しい書き方なので、何かあるのかなぁと。もしかしたら植木農園ではなくどこかの製麺業者が製造しているかも?

仮にそうだとしても、このそうめん及び植木農園に対する評価には一切影響を与えません。むしろ実際に手を動かしている製造者を知りたいところです。そして、その製造者にもありったけの賛辞を贈りたい。

実情はわかりません。植木農園自体が製造しているかもしれませんし、製造をどこかへ委託しているかもしれません。

手延べそうめんの添加物

手延べそうめん(乾麺)には添加物を加えることができます。

乾めん類

次に掲げるものをいう。
次に掲げるものをいう。 一 小麦粉又はそば粉に食塩、やまのいも、抹茶、卵等を加えて練り合わせた後、製めんし、乾燥したもの
二 一に調味料、やくみ等を添付したもの

出典/食品表示基準

手延べそうめんの場合は梅、大葉/しそが練り込まれているものをよく見かけます。ただ、私の経験上、梅や大葉の風味を感じることはほとんどありませんでした(大葉に比べると梅はまだ少々風味があるものも)。梅や大葉の風味をしっかりとつけるためには、人工香料をガッツリ使わないとダメなんでしょうね。

では、なぜ梅や大葉を混ぜ込むかというと、結局は色・見栄え。

これは悪く言っているわけではありません。見栄えも大切な要素です。また、地元もしくは自社の農産物(梅や大葉)をアピールするため、ないしはビジネスとして、他と差別化させるために色をつけたとしても、それはそれでいいことです。おいしければ売れる――そんな簡単な話ではありませんから、さまざまな工夫・演出があってしかるべきでしょう。

この植木農園の青じそ入 手延べ素麺においても同様です。自分のところで栽培している大葉を広く世に知らしめたい、大分県の名産を作り出したい、そんな思いから色鮮やかなそうめんを作り出したということは素晴らしいことだと思います。