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よりどころ 八八/はちはち(学芸大学)の料理はボリュームの割に安くておいしい。ここは日常的に寄れる心の拠りどころです。

都内で54年ぶりの積雪を観測した極寒の日。夕方頃に思い出しました。そういや今年のはじめ、寒い日にわざわざ油面(居酒屋こだるま)まで行って飲んだなぁと。じゃ、寒いつながり、油面つながりってことで、行ってみたかったあそこに行ってみるかな。我ながら物好きだ。

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学芸大学駅から徒歩15分強。目黒通り沿い、清水交差点と油面交差点の中間あたりによりどころ 八八(はちはち)という居酒屋があります。学大方面から見るとステーキハウス リベラ 目黒店の少し先、香湯ラーメン ちょろりのすぐ隣です。

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店内にはカウンター席とテーブル席。もちろんカウンターの一番端に陣取ります。厨房内が一番よく見えるであろうアリーナ席です。

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ラミネートの定番メニューがあって、壁にはその日のオススメが書かれています。ビール(小)を飲みながら、さてどうしようかと思案。とりあえず刺身と火を入れた物を一品ずつかな。

「アジありますか?」

「はい」

「じゃあ、アジの刺身とカキフライをお願いします」

「すみません、カキはもうないんですよ」

「そうですか。じゃあ……豚の角煮を」

「はい」

無愛想ではありませんし怖くもないのですが、寡黙な感じのマスターです。もうお一人、若い男性スタッフもいらっしゃいます。会話の感じからすると親子ではなさそうな。どうなんだろう。

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こちらがお通し。ブリかな。甘辛く煮ています。パサついていることが多いので、あまり食べません。けど、これはしっとり仕上がっています。とてもおいしいです。

まずやってきたのは豚の角煮。

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プルンプルンでホロホロ。甘過ぎず辛過ぎない。しっかり温まっているのもいい。こいつぁうまいな。

それほど間を開けずアジがやって来ました。

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「うわすごっ」

アジの展開図。見事です。食べてみると身がプリッと締まっていました。酢や昆布で〆たという意味ではなくね。むむむ、こんな上等な刺身。日本酒行くか? と、ここでLINE。

「どこいんの?」

連れからでした。

「一人で飲んでる。来る?」

来ると言うので場所を伝えました。ちょいと時間がかかるか。半分は取っておいてやりたいし、日本酒は我慢。レモンサワーにしました。

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連れが来るまでゆっくり店内を観察。ご年配の夫婦が先客でいて、私のあとに若い男性がやって来ました。サッカーのユニフォームが壁に多数かかっています。F.C.TOKYO関連グッズもたくさん。なんだろうな。

いつもならカウンター越しに聞いてみるのですが、その日はなぜか聞きませんでした。別に話しかけづらい雰囲気とかそういうことではなく、私のその日の気分。

20分ほど経った頃でしょうか、連れがやって来ました。追加でモツ煮込みと唐揚げをお願いしました。

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よく煮込まれた甘めのモツ煮込み。ちゃんと温かい。ツユだけ熱くてモツがぬるいモツ煮込みにはブチ切れそうになるですよ。ここはちゃんとモツまで熱くなっていました。おいしい。

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唐揚げの衣はサクッ、そしてジューシー。塩味(えんみ)は控えめですがしっかり漬け込まれた鳥肉です。そしてほんのわずかにカレーの風味がしました。こちらもとてもおいしいです。

全体的にボリュームが少し多めというか、ボリュームの割に少し安めだと感じました。

お会計時。これだけは聞いておこう。

「どうして『八八』なんですか?」

「8月8日生まれなんです」

とマスター。なるほど。

「曾祖母(だったかな?)も明治8年8月8日生まれで、昭和28年8月8日近くで亡くなったんです。なにかの縁かなぁと」

「へー、すごいですねぇ」

「この辺りにお住まいですか?」

「もう少し学芸大学駅の方です」

「そうですか。またぜひお越しください」

「ありがとうございます。ごちそうさまでした」

うん、とても優しくて朗らかなマスターです。この人柄に癒されに来る人も多いんだろうなぁ。やっぱりもう少し話しておくべきだったかな。

私はこの程度でいいのですが、おそらく連れは腹一杯というわけではなさそう。店を出て連れにこう言いました。

「もしまだぜんぜん食えるならちょろり行く?」

「そこまでではない」

「家帰っても特に何もないよ」

「うん。まあ、まだ食べたかったら途中で何か買えばいいし。で、これからどっか行くの?」

「そうねぇ。一杯飲みに行って帰ろうかな」

「一杯で済むわけないじゃん」

まあね。

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八八の店先に立て掛けられた板にはこう書かれています。

家に帰えッても何んにもねぇぞ!!

八八は日常の延長線上、いや、日常の途中にある居酒屋か。駅からは遠いけど、近隣の方々が家路につく途中でフラっと寄る。店側はいつでも来てほしいからリーズナブルに、そして気取らないごくごく普通の料理で迎える。けど、そこは料理屋。家庭ではなかなかできないような技も見せてくれる。

遠くからあえて目指すような店ではないかもしれない。けど、近くにあれば通いたくなる店。ここに来ればホッとできるそんな店。

よりどころ 八八

なーるほど。なぜ平仮名なのかがわかった。八八はいつでもフラっと寄れる心の拠りどころだからか。

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