学芸大学駅から徒歩13分。世田谷観音通り(旧明薬通り)沿い、下馬通りとの交差点近くに日本料理 月村という弁当店があります。ネット注文の宅配・仕出し弁当がメインなのですが、コロナが本格化し始めた2020年3月からは店頭販売も始めました。
運営は株式会社パンチドランカー。日本料理 月村のほか、肉匠 萬 竹亭、うなぎ處 笹川、日本料理 㐂船、時肉時菜 樂、割烹よしむら、海苔弁當 日日是晴日、柚子香、本枯れ節ご飯 山ほととぎす、theater(青山に実店舗もあり)といったブランドもあります。また、西麻布のミシュラン星獲得店・La Bombance(ラ・ボンバンス)によるケータリングも請け負っていると思われます(関係等詳細不明)。さらに、PUNCH 01inc.という広告・デザインを手掛ける関連会社もあります。
なお、日本料理 月村は日本橋で創業80年という触れ込みですが、日本橋に月村というお店は現在ありません。昔あった和食店の職人さんが腕を振るっているということなのか何なのか。このあたりのアピールは話半分に聞いておくのが吉、というのが常w
さて、学芸大学附属高校バス停前にある下馬の日本料理 月村は2フロアです。1階は今のところは倉庫で(※)、2階に事務所兼厨房があります。店頭で弁当を購入するには2階へ上がります。
※追記:2021年12月頃から1階にもケースを置き、惣菜やドレッシングなどを販売し始めました。ただ、販売している曜日や時間は限られているようなので、詳しくはインスタグラムでご確認ください。
ごく普通の鉄扉があるだけなので、閉まっていたらノックでもして開けてみて下さい。
「こんにちは。お弁当を買いに来たのですが」
「はい」
メニューを渡してくれました。
「赤い文字ということは、唐揚げ&コロッケ海苔弁当がおすすめなんですか?」
「そうですね。お子様にも食べて頂きたいと思っていまして、目立たせています」
「じゃあ、せっかくですし、唐揚げ&コロッケ海苔弁当をお願いします」
「10分ほどお時間を頂きますが」
このあたりのことはすべて事前にわかっていました。電話予約をしておけば、行ったらすぐに受け取れるであろうことも。けど、あえて予約はせず店を訪れました。こうして話すチャンスがあるかもしれないといことを見越して。狙い通りw
「この辺で待ってますね。ここは事務所でもあるんですね」
「そうですね。奥が厨房になってます」
「宅配、ケータリングがメインということですか?」
「はい。もともとはネットで注文を受けるだけだったのですが、コロナがあって、地域の方にも貢献できればと店頭での販売も始めました。午前中は配達で、この時間(昼12時)はちょうど落ち着く頃なんです」
「一階に冷蔵ケースがありますね」
「ゆくゆくは一階でもいろいろ販売できたらなぁと思っているところです」
つーか、この女の子の話し方が。会社の宣伝・広報みたいなことも担当しているんじゃないかな? しっかりした対応だ。マスク越しではあるけど、かわいらしいし。
「この辺は何もないから、近隣の方は重宝でしょうね」
「そう言って喜んで頂けていますw」
ちょうど予約していた男性が弁当を受け取りに来ました。
「日替わりの大盛りですね。500円です。ありがとうございます」
のんびりと待ちますか。と言っても、本当にジャスト10分でした。あっという間。
「お待たせしました」
「ありがとうございます」
自転車で家へ戻ります。
ん?
自転車をこぎながら、先ほどのシーンを思い返しました。日替わりお楽しみ弁当は500円。大盛りと言ってたけど500円だったぞ。大盛り無料なのか? 大盛りのことも日替わりの内容も聞いておけばよかったな。ま、いっかw
いやー。いいねぇ。木目調の箱に白い台紙が巻かれていて、高級感があります。しっかりとしたお手拭きもついてるし、箸はちゃんとデザインされた袋に入ってる。
私は寺門ジモンさんの催事で弁当を売るお手伝いをしたことがあるから、わかるんです。このこだわりは大変なことなんですよ。ひとつひとつは1円、10円の世界だけど、これが何百、何千と積み重なると万単位になる。だから、できるだけコストカットしたくなるところなんです。けど、そうすると見た目が安っぽくなる。
見た目って重要ですよ。この弁当だって、よくあるあずき色と銀色のプラケースだけだったら、ショボいじゃないですか(それに見合ったいい弁当もある)。けど、こうしてプレゼンテーションしてくれると、気分が上がります。
ほら、フタを開けてもよくわかるでしょう。れんこんを一枚添える。かぼちゃに飾りを入れる。面倒なのに、ここまで手をかけるというのは、フタを開けた瞬間の「わっ」という驚きを演出したいから。そのための手間・コストを惜しまない。
ここまでやるということは? そう。食べる前からわかる。これは絶対にうまい。
この上なくジューシーな鳥の唐揚げ。いい塩梅です。コロッケは業務用ではありません。おそらくちゃんと作ってます。ナチュラルなじゃがいもの甘さがほっこり。
付け合わせの煮物類、玉子は少し強めに味付けをしています。弁当ゆえのあえての味付けでしょう。
ひと口ごとに「はぁ、うまいなぁ」そう心の中で呟きながら、一気に平らげてしまいました。ご飯の量が少なめかな?と思っていたのですが、食べ終えるとちょうどいい腹具合でした。私があと5才若ければ大盛りにするか、おにぎりひとつをどこかで買い足していたかな。
もちろんおいしかったです。けど、それ以上に「いい弁当」だったと言いたい。細部にまで手がかかった、食べる人のことを考えているいい弁当です。これだけ手広く仕出し・ケータリングをやっている経験が活きているのでしょう、味付けもお見事でした。さすが弁当のプロ。
私のように直接買いに行ってもいいですし、ネットからだと、どの地域ならいくらくらいで配送してもらえるかがすぐに見積もれます。予算・配送先は電話でも相談に乗ってもらえます。
ちょっといいお弁当がほしい時ってあるじゃないですか。そんな時、一度、日本料理 月村の弁当を頼んでみて下さい。きっと気分の上がる昼食になるはずです。