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田/でん(学芸大学)に漂う学大DNA~魚がメインの和食屋は〆鯖が絶品!

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学芸大学駅から徒歩3分。東横線高架下の飲食店エリア・学大横丁に田(でん)という居酒屋/酒場/和食屋があります。2020年3月2日にオープンしました。

※2024年3月31日に閉店しました

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もともとはリニューアル前の高架下、東急ショッピングコリドール・百味街の2階でご両親が始めた田(でん)。幾度かの移転があり(十字街の炙や89の場所でもやっていたとか)、学大横丁の向かい、現在は中川のある場所で一度、田(でん)は歩みを止めました。

その後、田(でん)を手伝っていた息子さん=現店主・田代善彦君が野沢・龍雲寺交差点にあったUchiと一緒に田とUchi(2014年~2016年)を開き、田とUchi閉店後もいろいろな店で経験を積んで、今回、学大横丁つまりは百味街のあった場所に田(でん)を"復活"させたという流れです。

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店全体が大きなコの字カウンター風(正確にはL字か)。中央には炭台。へー。そこまでするのか。職人なんだろうなぁ。

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「メニューは今後変わっていくと思います」

オープン間もないのに、よくまとまってると思うけどねw

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生搾りレモンサワーとお通しのきぬかつぎ

「先日、K君と後藤さんが一緒に来てくれましたよ」

「Kさんと大ちゃん? あ、ほんとぉ」

「K君は両親が高架下でやっていた当時、僕がまだ子供の頃から来て頂いていて、ずっとかわいがってもらってるんです」

親の代から贔屓にしてくれる客がいる――幸せなことです。

余談ですが、K君は"君"と呼ばれていますが、私よりひと回りほど年上の方。後藤は後藤大一郎という私の飲み友達です。田代君がひとひらで働いていた時、Kさん、さくらマスター、後藤大一郎、私の4人でひとひらへ行ったことも。

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おばんざい盛り合わせは、鎌倉ハムポテトサラダ、ほうれん草と人参の白和え、蓮根山椒きんぴら、しらたきとひき肉 青唐辛子炒め。

ポテトサラダをつまむとフワッとトリュフが香りました。

「ポテトサラダはトリュフ、オイルかな?」

「はい、オイルですけど結構しっかり香りがありますよね」

「うん、十分すぎるくらい。おいしいですね」

「ありがとうございます」

ごまでふくよかな白和え、奥ゆかしさを感じさせる繊細なきんぴら、いい塩梅のしらたき、もちろんどれもおいしいですし、丁寧な仕事を感じさせてくれます。

「刺身は盛ってもらったりもできます?」

「はい、少しずつ盛りましょうか」

「〆鯖を入れてくれたら嬉しいです」

「必ず(笑)」

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きれいだなぁ。

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このブログで書くのはもう64万回目くらいでしょうか。私の好きな魚介ベスト3は鯖、たこ、うに。

たこには包丁が一本入っていました。なるほど、こうするのか。勉強になるな。大ぶりなのにとても柔らかい。

厚めに切られた〆鯖は食べごたえがすごい。驚くほど脂が乗っていて、〆ているというのに甘味すら感じさせます。いやぁ、こいつは相当だぞ。ここまでうまい〆鯖は久しぶりだ。

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魚には澤の花 ささら。魚がなくなったら、これまたおいしいわさびと塩を肴に。

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この日の客はほとんどが昔からの知り合いのようでした。右隣の子は休みで来ているスタッフかな? 左隣の若者は一見。鶏の唐揚げがうまそうだw

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「この場所を狙ってたんですか?」

「いえ、たまたまここが空いたので(笑)」

あー……。

店名を受け継いだとはいえ、ご両親が始めた田(でん)と今の田(でん)はまったく別の店。なのに私は頭の中で勝手に物語を作り上げていました。

「両親がやっていた場所でいつかは……」

そんな都合のいい返事を期待して。よろしくないね、センチメンタリズムの押しつけ。

ここは紛れもない田代君の店。強い想いを持ってみずから開いた店なのに、それを"復活"と言うのははなはだ失礼だ。

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とはいえ。とはいえ、よ。

最近のこの街は少し駆け足気味です。それはそれで小気味いいのですが、ずっとそのスピードでは疲れます。

その点、田(でん)は新しい店ではあるのですが、昨今のいわゆるネオ酒場とはちょっと違います。昔ながらの、ゆっくりとした学大時間が流れているように感じるのです。それはやはり親の代からこの街で商売をやってきたという歴史がそう感じさせるのかもしれません。たとえ別の店だとしても。

また、うまく説明できないのですが、学芸大学という街を愛する人間ならば、一見でもスッと馴染める居心地のよさもあります。何なんだろうなぁ。

わからないから、とりあえず"学大DNA"とでも呼んでおくことにしよう。親と子を、店と客を、学大を愛する人と人をつなぎ、昔と今をつなぐ、この街ならではの空気感・学大DNA……。

まとまらない思いを肴に日高見をちびり。

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学大横丁の海の家 あそなる~は娘が跡を継ぎました(先代の時の店名は阿蘇)。先述の中川に至ってはおばあちゃんから孫のりえちゃんが継ぎ、トータルで約70年(学大でもっとも古い居酒屋/飲み屋)。

歩みを早める学芸大学にあって、どちらも自分の歩調を崩さず、長きに渡って地元の人たちに愛され続けています。田(でん)もそんな店になるといいですね。

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