学芸大学駅から徒歩1分。東口商店街の恭文堂書店の角を右折、飲食店が立ち並ぶ筋にひとひらという居酒屋があります。2016年5月17日にオープンしました。
※2019年5月23日には目黒店もオープン
カウンター10席ほど、4人掛けテーブルが3卓ほどあり、表には立ち飲みスペースもあります。
とりあえず何か飲みながらメニューを考えますか。
「このグリーングリーン割ってなんですか?」
「緑茶割りです」
「じゃそれで」
ほどなくやって来たグリーングリーン割は緑茶風味が濃厚な焼酎割です。こりゃいいや。
関あじも気になりますが、カンパチの黄身醤油がキャッチーだなぁ。カンパチをお願いしました。
おおう。こりゃうまそうだ。日本酒行きたいな。
「『寫楽』ってなんて読むんですか?」
「しゃらくです」
「じゃそれで」
受け皿なみなみ。切子に口をつけツイッとひと舐め。ほどよい甘さ、ふくよかな香り、喉越しは爽やかで後味はキレる。いいなぁ。うまい。
カンパチの表面は脂で光ってます。黄身を溶いた醤油につけ食べると、とてもまろやか。カンパチがまだ少し口内に残っている段階でお酒をキュ。たまらん。
日本酒を頼むとチェイサーとしてお水が出てきます。けど。
緑茶割りをチェイサーに日本酒で魚をチビリ。ははは。あまり品のいい飲み方じゃないかもしれませんが、これはこれで。贅沢。
ゆっくりと魚をつまみつつ、店内を見回します。この日はオープンして2週間ほど経った頃でした。もともと三軒茶屋でやっていた方なので、その時の常連さんや友人たちが押し寄せていたのでしょう。前の店からの常連と思しき人たちで賑わっています。一番奥のテーブルには店主のご両親と妹さん。スタッフはみな、三軒茶屋から付いて来たのだそう。店主の人柄だ。
それにしても、この内装いいなぁ。広く開いた間口。カウンターの壁面はタイル張り。椅子は高さが調整できるレトロな趣。ほう、カウンター下の奥にはフックがあるのか。軒先に下げられた杉玉も風情がある。
トレードマークは頭(こうべ)を垂れる稲穂、昇る鯛、そしてひとひらの花びら。しゃれてるなぁ。
シンプルではありますが、細かいところに凝っています。レトロ感を出したくなるところですが、やり過ぎない。ちょいと毛色は違うかもしれませんが、学芸大学なら天ぷら カブ、他所なら牛泥棒(白金)を彷彿とさせるセンス。いい。
魚を食べ終えました。少し残ったワサビは取り皿に取っておこう。黄身醤油ももったいない。あとで使えるかもしれないから下げられないようにしておくか。
さて、次は大山鶏の鶏ハムねぎソースがけを行ってみよう。鶏ハムは自分でもたまに作ります。プロのお仕事で勉強だ。
おお。すごい。ソースのねぎは玉ねぎで、上に白髪ネギを乗せるのか。なるほど。ソースはかすかにショウガがきいています。鳥肉自体にしっかりと塩が浸みています。おいしいし上手というふたつの意味でうまい。
もちろん経験があって、かつ、しっかりと計量してるから、ビシっと塩を決められるのでしょう。でも、酒にあてるためのこの塩梅がちょうどいい。センスなんだよなぁ。勉強のはずがギャフン。
でね、ここで例のヤツが活きてくるのですよ。ワサビをちょいと乗せてみたり、黄身醤油を垂らしてみたり。ふふん。ただでさえおいしいのに、さらに幾通りもの味付けで楽しめる。いいだろう。自己満足的愉悦。
オープン間もないし、これだけ混んでるのに、手がよく動く。滞りなく料理が出されていきます。メニュー構成がいいんだな。一人でもきっちり回せるようにしています。このへんも上手だなぁ。
「このあたりにお住まいですか?」
スタッフの女の子が話しかけてきました。
「ええ」
「知り合いがたくさん来ていて騒がしいですよね。すみません」
「いえいえ、ぜんぜん」
はずみをつけられるってのは幸せなことです。
ひとひらを出て某バーへ。深夜、いつも通り"先生"と鉢合わせ。先生はチャラン-ポラン (CHA爛-PO走)などの空間デザインをしている方です。
「先生、今日、新しくできたひとひらに行って来たんですよ」
「どうだった?」
「おいしいのはもちろん、内装デザインがいいんですよねぇ」
「あれ、オレの後輩がやったんだよ」
「まじっすか。いやぁ、いいですよ。やり過ぎてない。あの感じがすごくいい」
「ありがとう。後輩に伝えておくね。喜ぶよ(笑)」
料理にも内装にも接客にも過剰さがない。飾らない。だからこそ実(じつ)が際立つ。シンプルなんだけど奥深い、そのさまはまさに初夏の風に舞うけれんのないひとひらでした。
以下、追記。さほど頻繁というわけではないのですが、たまに行ってます。行く回数より入れない回数の方が圧倒的に多いのですがw
この日は麻雀さくらのマスターやその常連客でもある私の飲み友達・後藤大一郎(後藤建築工房)らと一緒。ちなみに、私は麻雀はやりませんし、さくらにも行ったことはありません。マスターとは飲み屋で一緒になることが多く、いつもよくして頂いています。
綱島のご当地サワー、大葉のピクルスを使った綱島サワー。甘くてすっきり。めっちゃうまい。
和食の調理に使いそうな細い箸。こういうのがなんだかいい。
これから料理写真を並べますが、撮る方向が逆になっているものも紛れています。ご了承下さい。
おっと。俺の美濃焼と似てるなぁw
もちろんどれもおいしいです。けど、サッとつまめる感じの味付け、ポーションがいい塩梅。
さりげない。洒脱(しゃだつ)。連日盛況というのもよくわかります。