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Little otto/リトルオットー(学芸大学)はワインとウィスキーの小さな酒場。明るくて軽快な料理人とパンチのある料理は、酒飲みの気持ちを躍らせます

Little ottoのおつまみ盛り合わせ

アットホームなかわいいお店♪ ……そんな生ぬるい店じゃないですよ。

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学芸大学駅から徒歩1分。西口出てすぐの日高屋を右折した先に、Little otto(リトルオットー)~Gakudai mamma's whisky & wineというお店があります。2019年4月1日にオープンしました。

前店・Lesson(レッスン)から母体は同じ、十字街ロマンレコーズカフェ/Roman Records Cafe(代表:会見達也氏)。Lessonのユミコちゃん(現・木と店主)が独立し、その後、何人かが立っていたのですが、新たな店主を迎えるにあたってLittle ottoにリニューアルしました。

余談ですが、学芸大学の右(東口)と左(西口)に店。だから「R」oman Records Cafe、「L」esson・「L」ittle otto。頭文字にはそんな意味合いもあるとかないとか。

オープンして1ヶ月くらい経ってから行こうと思っていたんです(どの店も基本的にはそうしたい)。オープン直後はメニューとかも定まってないかもしれないしね。けど、店の前を通ったら中に先輩がいたので、釣られて飛び込んでしまったという次第です。別にこんな言い訳をする必要はないのですがw

酒のつまみにちょうどいい料理

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カウンター8席の小さな店。だからLittle otto(ottoはイタリア語で8)。

「ottoはイタリア語なのにlittleは英語。変なんですが、これまでイタリアンをやってきて、この店ではイタリアン以外もいろいろやっていこうと思ってるんです。だから英語が混ざっていてもいいかなと。ワインはイタリアなんですが、ウィスキーが好きで、こうしてウィスキーもいろいろ置いてますし」

そう語るのは店主の吉川友香さん。かわいくてテキパキ。

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メニューはこんな感じ。つまみ系、メイン、パスタとひと通り何でもあります。

「赤ワインを頂こうかなぁ」

「どれにしましょう」

「一番安いのでいいですよ」

そこまでこだわりないしw

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DON CARLO ROSSO(ドン・カルロ ロッソ)。ミディアムとまでは言わないけど、ギュッと詰まった感じで濃厚。

「シチリアのワインです」

「初めて見ました」

「このあたりでこれを扱ってる業者さんはいないので、珍しいかもしれませんね」

「ひろぽん、僕がごちそうするから」(先輩)

「えー。そんなつもりで入ったわけじゃないんですが……ではすみません、いただきます」

「さっき、カルボナーラ食べたんだけど、すっごくおいしくて」(先輩)

「そうですか。じゃあ、ちょっとつまみ系を頼んでシェアしましょうよ。OTSUMAMI 盛り合わせをお願いします」

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ん? メニューにもコースターにも……ぴょこっと出てるからミミズク?

「これはミミズクですか?」

「ふくろうです。ふくろうが好きというのと、ふくろうは縁起がいいとされてるので」

ポンポンと軽やかに会話が弾みます。けど、手も途切れない。動きに淀みがない。ちゃっちゃかと調理が進みます。体と厨房がもうこんなにも馴染んでるのか。すごいな。だからこそプロなんだろうけど。

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「シェアしやすいように、それぞれ2つに分けてます」

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ポテトサラダ、レバーペースト、手作りフォカッチャ、パクチーとスペルト小麦のサラダ、鶏ハム、生ハム。ポテトサラダ、レバーペースト、鶏ハムは私が大好きな物。そしてよく作る物。いい勉強になりそうだw

どれもおいしいのですが、まず鶏ハムが印象的です。なんだろう、この感じ。しっとりしてるんだけど締まってる。

「この鶏ハムはボイルしてるんですよね?」

「はい、ラップに包んで、沸騰直前のお湯に入れて火を止めて」

「いや、ちょっと不思議な感じがして、何か特別なことをしてるのかなと」

「3日、熟成させてるので、そのせいかもしれませんね」

ほぉ。私は長くても丸1日しか置いたことがありません。そういうやり方もあるのか。ジューシーさ、フレッシュ感はなくなるけど、この締まった感じも面白いな。今度試してみよう。

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次に気になったのは黒オリーブを混ぜ込んだ鶏のレバーペースト。最初、豚レバーかと思いました。それほどいい意味でレバー感がしっかり出てる。バターや生クリーム(牛乳)をたっぷり入れてマイルドにし過ぎると、食べやすくはなるかもしれないけど、レバーのよさがなくなります。豚に比べると鶏レバーはクセが少ないですから、これくらいレバー感を残しておいてほしいよね。

このサラダは何とかって言ってたんだけどな。何だっけかな。グレインズサラダ? スペルト小麦はブルグルより小粒で食べやすい。小さなパクチーがちょうどいいアクセントになっていて、マスタードがきいたドレッシングはさっぱりしつつもパンチがあります。

どれもイメージしていたよりも味がしっかり目。酒のつまみにちょうどいい。上手だなぁ。

※パンチがあるというのは、しょっぱいという意味じゃないですよ。穏やかで優しいというよりも、グッと味わいを濃く出している。濃厚。という意味です。以下同

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2杯目は同じくDON CARLO BIANCO(ドン・カルロ ビアンコ)。お、こりゃうまい。酸が尖ってない。透明感があって口当たりがよく、それでいて後口はフルーティー。こういうタイプ好き。

「これおいしいですね」

「このクオリティでこのお値段はかなりお得だと思います」

焼肉屋は並のロース。ワイン食堂は一番低価格のワイン。これでわかることがなんかあるよね。

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「このあたりでお店はいろいろ行かれますか?」

「そうですね。特にここというのはそれほどなくて、あちこちに。ここの前はどちらで?」

「大崎でイタリアンを。青山蜂というクラブがあって、そこの姉妹店です。私もDJをしていて、ロマンレコーズカフェのオーナーとはそのつながりもあったりして、こちらに誘われました」

「どれくらいの規模のお店だったんですか?」

「2フロアで20坪ほどでした」

「てことは、4、5人くらいで?」

「いえ、少ないときは私一人ということもありましたw」

「えええ」

その場では聞かなかったのですが、帰って調べたところ、ヴィーノロマンティカ/vino RomantiCaでした(2019年2月ごろ閉店)。風営法のあれこれで注目を浴びた青山蜂の姉妹店です。

もちろん経験があるということはわかります。ただ、この動き、この対応はちょっとしたものだと感じたので、前店の様子を詳しく聞いてみたというわけです。

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「女の子が仕事帰りにちょっと飲んで食べて3000円くらい、というお店はいいかもね」(先輩)

1、2品つまみながら2杯とか、パスタにワイン1杯だったら2000円。量的にも値段的にも、確かにちょうどいいかもなぁ。

「お会計お願いします。全部まとめて」(先輩)

「いやいや、それは」

「いいのいいの」

「ありがとうございます。ごちそうさまです」

一杯だけごちそうになったつもりでいたのに……ありがとうございます。次のバーでも先輩は「カルボナーラがおいしかった」とご満悦。そこまで言うなら食べないとなぁw

贅沢でパンチのあるカルボナーラとハイボール

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翌々日、Little ottoの扉を再び開けます。

「この前と違う赤ワインとカルボナーラをお願いします。あのあと行ったバーでも、Yさんがずっと『カルボナーラがおいしかった』と言ってたので、食べてみないとなぁと」

「ありがとうございます」

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「シチリアのワインです。少し酸味があってさっぱりしてます」

Avide 1607(アヴィデ 1607)。先日のDON CARLOより軽く感じます。普通に飲むならDON CARLOのほうが好みかも。けど、さいとう屋でレモンサワー飲みまくったあとだから軽めがいい。あっw

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「パスタって得意じゃなかったんですよ。難しい。前の店であれだけ作ったら慣れてきましたが、やっぱりパスタは難しいです」

パスタを計量するのですが、手がパスタの分量を覚えているのでしょう。規定量ほぼぴったりを取り上げます。袋に3本返す。

オリーブオイルにパンチェッタ、ゴルゴンゾーラ、白ワイン、牛乳。ほぉ、そしてハチミツだ。なるほどゴルゴンゾーラ&ハチミツの組み合わせをカルボナーラにも利用するのか。で、ボールには全卵とパルメジャーノ的な粉チーズ。チーズがたっぷり。

ゆで汁を加えつつ、フライパンの火を細かく調整。タイマーを短めにセットしているのは、単に茹で加減のことだけではなく、時間に余裕を持たせるためでもあるんだろうな。タイマーが鳴ってもすぐにはパスタを取り上げません。頃合いを見てパスタをフライパンへ。パスタと一緒に少しお湯が入ってもOK。ソースはそれを見越したゆるさにしているはず。

ここからスピードアップします。サッとフライパンでソースを絡めたらボールへ。皿に盛り、仕上げはさらにチーズとトリュフオイル、黒コショウ。

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何気に手のこんだトリュフ香るゴルゴンゾーラのカルボナーラ、はい、食べ終えました。

これくらいのスピードで平らげます。パスタはチンタラ作ってもチンタラ食ってもいけない。スピード勝負。行儀悪いですが、皿についたソースは指ですくって一滴たりとも残さない。

「いかがでした?」

「めっちゃおいしかったです。ゴルゴンゾーラ・ハチミツなんですね。しっかりした味でお酒によく合います」

「甘じょっぱい味ってみんな好きじゃないですか。私もお酒が好きだから、酒飲みの味になってますw」

改めて思い返します。パンチェッタの甘味と熟成香、濃厚なチーズ、広がるトリュフ、締めるブラックペッパー、全体を包み込む卵。パンチがあってコクがあって、まったりしていてリッチな味わい。いやぁ、うまかったなぁ。先輩がうまいうまいと言っていた気持ちもよくわかるw

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二杯目はLittle otto名物 タリスカースパイシーハイボール。目の前には「スコットランド産ピート使用 黒胡椒の燻製」という小瓶があるし、幾度となく書いてるけど、タリスカーは私がスコッチにはまるきっかけとなった酒だし。

タリスカースパイシーハイボール自体は知っています。少し前からMHD(モエ・ヘネシー・ディアジオ)が売り出している飲み方。学芸大学でもこれをやっている店が何軒かあります。けど、ピートで燻製したコショウを使うというのは知らなかった。

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「これは日本で燻製してるんですか?」

「はい、インド産のコショウを横浜の会社が燻製してるんです」

「てことは、ピートを輸入してるってことか。すごいなぁ」

グラスに鼻を近づけます。香りは完全にタリスカー。ひと口。うん、タリスカーw

口内に入ったコショウを噛むとピリッとしますが、コショウが燻製されていること、ピートが使われていることはよくわかりませんw ただ、スコットランドからわざわざ輸入したピートで燻製されたコショウを使うというのは贅沢っちゃあ贅沢な話だ。

「このコショウ、匂いを嗅いでみていいですか?」

「どうぞ」

コショウの瓶を開けてみたら、ふわりと燻香。ピートと言われればピートかなw

ま、こういうのは雰囲気だよね。ピートを使ったスコッチにピートを使ったコショウを合わせるという遊び。メーカーの苦肉の策とも見えなくはないのですが、ただ、各所でタリスカースパイシーハイボールを見かけるということは、売り手(飲食店)や消費者(客)に刺さってるってことだから、プロモーションとしては成功していると言えるでしょう。そして、一般的には無名であろうタリスカーがこうして多くの人に知ってもらえる機会を与えられているということが嬉しい。

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もうひとつ付け加えるなら、タリスカースパイシーハイボールを推すという点に、Little ottoおよび店主・吉川友香さんの店柄・人柄が出ているような気もします。

レバー感がしっかり残った鶏レバーペーストも、甘じょっぱくてリッチなカルボナーラもパンチがあった。それこそまさにヘヴィでピーティーなタリスカーのように。

人もそう。チャキチャキ、テキパキな店主は柔らかいと言うよりピンと芯がある。パワフル。しっとり穏やかではなく、会話は跳ねる。それこそまさにピリッとスパイシーな黒胡椒のように。

ふむ。オープンして1週間も経たずして、すでに型が決まってる。リズムができてる。手練れ。Little ottoに1ヶ月の猶予は不要だったな。早めに行って正解。

Little ottoへどんどん詰めかけ、どんどん注文を重ねて下さい。2フロアを一人で仕切れる軽快なDJ料理人は、それでも難なくテキパキとターンテーブルを回すはず。そんなLittle ottoのリミックスはパンチがあって、酒飲みの心はきっと踊り出します。

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Little otto名物、一番人気の"シャブ茶"。何かはユカちゃんに聞いてみて下さいw
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その後もちょいちょい寄らせてもらってます。

ワインはいつも私の好みのものを選んでくれます。クラフトビールもおいしい。巨大な自家製サルシッチャも肉々しくて最高。

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