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焼酎Snack 桜島ノ寅(学芸大学)は圧倒されるほど種類豊富な鹿児島芋焼酎専門の焼酎バー。芋焼酎ブームをけん引してきた焼酎バーが学大に復活!

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学芸大学駅から徒歩5分。駒沢通り沿い、ライブハウス・メイプルハウスのあるビルの1階に焼酎Snack 桜島ノ寅(さくらじまのとら)というお店があります。2019年5月1日にオープンしたのですが、本格的に営業を開始したのは7月に入ってから。

5月頃、中央中通りのバー・OTTOでマスターの中村昭三さんから「駒沢通り沿いに焼酎バーができましたよ」と聞いて以来、幾度も行っていたのですが、いつも営業していませんでした。約2ヶ月、気にして見ていて、ようやく縄のれんが。

扉を開けます。

「もしかして、ひろぽん?」

「あ、はい」

「twitterで何度かメッセージしたことのある……」

「あー!」

「ようやく会えたw」

お会いしたことはないのですが、twitterでは何度かメッセージを頂いていた方でした。オーナー店主・松田一広さん。

「こちらは焼酎バー……ですか?」

「一応、焼酎スナックと謳ってます」

「どんな感じの料金体系でしょう」

「チャージが500円で、だいたい一杯が650円、750円といった感じです」

一般的にはママもしくはマスターがいて、カラオケがあって、ボトルを入れてセット料金がある、対面接客の飲食店をスナックと呼ぶことが多いと思います。ただ、これはあくまでも一般的なイメージの話。スナックに法的な定義はありません。

「居酒屋ではない。食事メニューがあるから酒だけのバーとも思われたくない。軽食を出す飲み屋だからウチはスナック」でまったく問題はありません。

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店外に店名は一切掲げられていません。頂いたショップカードで桜島ノ寅という店名だとわかりました。

「寅……池尻大橋の寅と関係が?」

「もともと池尻寅をやってて、体を壊して3年前に辞めて、店は客だった人が引き継いで、体調がよくなったから、またここで。昼は不動産業をしてるんだけどね」

「そうですか。池尻寅には2度ほどうかがったことがあります。けど、もう10年、いや15年くらい前かなぁ。相当長いですよね」

「2000年かな。魔王だ森伊蔵だと言ってた頃」

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池尻寅の場所は現在、もつ煮や 寅

2000年に「EN-ICHI」(西麻布)、2001年に「古典」(渋谷)という焼酎バーができました。2002年には2000種以上の焼酎をそろえた焼酎専門の酒屋「Sho-Chu AUTHORITY(ショウチュウオーソリティー)」がカレッタ汐留にオープン。焼酎Bar 池尻寅が2000年オープンということは、まさに焼酎ブームの先駆けだったわけです。

「一応、令和元日(2019年5月1日)にオープンしたんだけど、本格的にスタートしたのがまさに今日あたりから。友達とかに電話してちらほら来てもらってるくらい。ああ、ひろぽんがフリーの初めての客だw」

それにしても……。

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なんじゃこれw 圧巻。そしてきれい。

「何本くらいあります?」

「数えてないからわからないなぁ。前の店から持って来ただけなんだけどね。ウチは鹿児島の芋焼酎だけ」

一応、それなりに芋焼酎は飲んできました。けど、パッと見たところ、わかるのは3割程度。知らない芋焼酎がいっぱい。ちなみに、後日、飲み屋・中川のりえちゃん(後述)が言っていたのですが、終売になったレアなものになると一杯10万円という芋焼酎もあるのだとか。

「これだけあると、もうわけがわかんないですね。何かお勧めありますか?」

「お勧めはこれ。国分酒造さんにお願いして作ってもらってる桜島そつ」

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プライベートブランドと言うか、日本酒で言うところの別誂えと言うか。

最近の芋焼酎はガッツリ来るものが多いのですが、この桜島そつは比較的さっぱり。さつま芋の風味はしっかりありますが、クセがなく飲みやすいです。芋焼酎をあまり飲んだことがないという人、あるいはそこまで意識して芋焼酎を飲んではこなかった人が、最初の一杯として飲むにはピッタリな芋焼酎かもしれません。

ボトルの絵は表の壁と同じ絵。池尻寅(現・もつ煮や 寅)も同じ絵。もちろん桜島です。

ちなみに表の十文字の看板ですが、十文字は昔から災厄を打ち払い、福を招くものとされ、家紋としても使われることがありました。もっとも有名なのが薩摩を根拠地とする島津家です。ついでに、縄のれんはOTTOをマネしたと店主談w

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「これ、カツオ。ちょっとクセが強かったからヅケにしてみたんだけど」

「この醤油は九州の醤油ですね」

「醤油は特別に作ってもらってて。タレ用だから、さらに甘くしてるけどね」

芋焼酎には強めの味がよく合います。

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「ここってもともとどうなっていましたっけ? メイプルハウスの受付があったような」

「そう、台が出ててね。知人の不動産屋がこの物件を紹介してくれて。ここ5坪だよ」

「えー。そうは見えませんね」

高さがあるため、窮屈ではありません。むしろ開放感がある。鏡を置いているのも大きいのかもな。この辺りはさすがプロといった感じ。ゆったりしていて落ち着きます。

そこに見えるのは鹿児島県・長島の島娘(長島研醸)。もう70歳ほどのある方が諸事情あって自宅のある鹿児島と東京を行ったり来たりしているのですが、私のことをかわいがってくれて、足が悪く杖をついているというのに、芋焼酎にニッケ(ニッキ)をつけた自家製酒や島娘をよく飲ませてくれました。その際、よくこんなことを。

「島娘は島外に持ち出しを禁止されてる芋焼酎なんだよ」

今はネットで買えますが、それでも販売しているのは長島の業者などごく一部です。もっと入手困難なものがいっぱいあるんだろうな。

「鹿児島にも結構行ってるんじゃないですか? 現地に行かないと手に入らない物もいっぱいありますよね」

「2ヶ月に一回くらいかな。結局、電話やメールじゃなかなかね。あっちの方は実際に会って話をしないと」

「そのがらるっどというのはどういう意味なんですか?」

「国分酒造の。鹿児島弁で『しかられる』という意味。飲み過ぎて叱られるくらいおいしいと」

「じゃあそれお願いします」

期せずして同じ国分酒造。

「樽で寝かせてて、ウィスキーみたいな感じ」

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うお。これはすごい。似たタイプで思い出すのは鉄馬(オガタマ酒造)。チョコレートのような風味で、あえてウィスキーにたとえるならエドラダワー。けど、ウィスキーともまた違う。独特。

ん? 25度? ラベルを見返します。25度か。やっぱり最初に来る樽の香りが焼酎ではない何かを想起させて、度数を高く感じさせるのかもしれません。

いやぁ、面白いなぁ。15~20年前、それはそれは芋焼酎を飲みまくっていました。池尻寅に行った頃です。30歳前後ではあったのですが、まだ若くて、その頃にこれを飲んでいたら、「けっ、こんなの芋焼酎じゃねぇよ」とか言ってたはず。

けど、今はこういう酒もおいしく飲める。この15年、20年で舌の感じ方が変わり、好みの幅も広がって来たんだろうな。だって、一番好きな芋焼酎・さつま無双は初めて飲んだ時、「芋がガッツリしてておいしいな」と思ったもん。いま飲んだらさっぱりに感じるからねw

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ドリンクメニューもあるのですが、芋焼酎のページは見る意味ないw あまりにありすぎて、だったら目の前の瓶を見た方が早いです。

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おでんか。いいねぇ。本格始動しはじめたばかりだったので、この時はそれほどなかったようですが、すぐに食事メニューや肴もしっかり準備されていくことでしょう。

源平がなくなって、行くところがなくなったよ。週に2回は行ってたからなぁ。どこかいい飲み屋知らない?」

「そういう人、多いんですよねぇ。どこだろうなぁ」

3時、4時までやっていて、つまめる物があって、できればお父さん、お母さんがやっていて、我々のようなおっさん・おばさんでも気兼ねなく寄れる。これが"飲み屋"という意味なんですが、学芸大学にはありません。いちりん(武蔵小山)まで行くしかない。

「プレオープン的にやってた時、中川のママも来てくれたんだよ」

「りえちゃんですか。へぇ」

後日、中川に行ってこの話をしたところ、いつもの調子で「ウチにもよく来るんだよ。なかなか店がオープンしないから、ウチに来てる場合じゃねぇだろ、早く店開けろよって言ってたんだけどねー」と言ってましたw 歳はりえちゃんのほうが少し下らしいんだけど。

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五本木交差点に出るのは少し遠回り。上海菜館→サイクルスポットを目指すのが最短

SSS焼酎呑ミ処 2nd.(セカンド)、ちょっと離れるけど下馬のThe Hanged Man's 焼酎Bar 十二、そして桜島ノ寅。焼酎バーと言っても毛色が違って面白いなぁ。あえてタイプを分けるなら、SSSと2nd、十二と桜島ノ寅が同じタイプ。カジュアルにお酒を楽しみたいなら前者、がっつり芋焼酎の世界に浸かりたいなら後者かな。

これだけ種類がありますから、初心者が飲み比べてみるのも面白いでしょう。普段からよく飲んでいる上級者であっても知らない芋焼酎にいっぱい出会えるはず。

店主の焼酎話に耳を傾けるもよし、いっぱしの焼酎スノッブを気取るもよし(悪い意味ではなく)。私たちのように飲んべぇ話に花を咲かせるもよしw

焼酎ブームをけん引し、芋焼酎を東京に根付かせた店と言っても過言ではありません。そんなお店が桜島ノ寅として学芸大学に復活したんです。芋焼酎好きなら、一度寄ってみてはいかがでしょうか。とりあえず、扉を開けた瞬間、「うわっ」となりますよw

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