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GUARDIAN(学芸大学)はオーセンティックだけどお手頃なノーチャージのバー。オールドボトルをはじめ、とにかく酒の種類が豊富で、バー初心者や女性にもおすすめです。

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こんなバーなのにノーチャージ。そして安い。珍しいお酒もいっぱい。

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学芸大学駅から徒歩1分ほど。東口商店街沿いのビルの3階に「GUARDIAN(ガーディアン)」というバーがあります。2018年12月5日にオープンしました。

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重厚な扉を開きます。

「いらっしゃいませ」

何の情報も持ち合わせていません。とりあえず聞いてみます。

「料金設定はだいたいどれくらいですか?」

これを聞くのは恥ずかしいことでも野暮でもありません。こう聞いて、仮に店が不機嫌な表情を浮かべたら、そんな店には足を踏み入れないことですな。

「だいたい一杯800円~1000円くらいで、ノーチャージです」

ダウンを脱ぎます。

「もしかして、ひろぽんさんですか?」

「はい」

「ちょうど今、話してたところなんですよ。すごいタイミングだ(笑) よくブログを拝見してます」

「ははは。そうですか。ありがとうございます(笑)」

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大きなカウンターは約10席。窓際にはテーブル席。そして、

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奥にはこんな個室も。

「広いのでこんなの作っちゃいました(笑)」

「いつも前は通ってるんですが、まさかこんな造作ができているとは。そんな気配一切しなかったのに。大変だったんじゃないですか?」

「そうですね。前の道も狭いですし、3階で、搬入が大変でした。父親が一級建築士なので、デザインは父親にお願いしました」

「どなたかオーナーさんがいるんですか?」

「いえ、私個人です」

「え。正直、かなりお金かかったんじゃないですか? 入るのにも作るのにも」

「借金が大変です(笑)」

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メニューを広げました。

「おすすめはこのレモンサ」

「ジントニックをお願いします」

「はい。最初はジントニックなんですよね。ブログで読みました(笑)」

「よく読んでますね(笑) まあ、何でもいいんですけど、何かひとつ決めて、初めて行く店ではそれを飲むようにすると、いろいろわかるような気がして」

茶色っぽい液体を垂らし、ビーフィーターと思しきジンを注ぎ、9割トニック、最後に少しソーダ。バースプーンで一回かき上げ、ライムをひと絞り。

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気取らないジントニック(780円)。うん、オーソドックスでおいしい。

「最初に何か入れましたよね。ビターズ?」

「アンゴスチュラビターズです。入れると味が締まるので」

別の瓶に移し替えてるのか。

「ここの前はどちらで?」

「厚木で15年やっていて、独立してここに来ました」

「なんでGUARDIANなんですか?」

「守護者という意味なんですが、独立して自分で店を作って、これからはいろいろなものを守っていかなくてはいけない、と」

店主は大塚良介さん。バーテンダー歴15年ってことは30代半ばくらいかな。甘いマスクというよりも精悍な感じ。chef's marche的イケメンというとわかりやすいかな?w 頂いた名刺にはウイスキー文化研究所認定ウイスキープロフェッショナルという肩書がありました。

「ウイスキー文化研究所……」

「以前はスコッチ文化研究所だったですが、ジャパニーズウイスキーなどもありますし、ウイスキー文化研究所となったんです」

「土屋さん?」

「はい、土屋守さんが代表で、数千人の会員がいます」

「こんなオーセンティックなお店なのに、ノーチャージで一杯の値段もお手頃で、すごいですね」

「学芸大学という街でやるには、これくらいじゃないと来て頂けないと思いまして。大きな街で人も多いですけど、親しみやすさのある街ですから。先日、おっぱいラーメンに行ってきました(笑) すごくいいお店ですね。本当はもっといろいろ回ってみたいんですけど……」

私は学芸大学という街が好きです。ですから、この街を愛していると感じさせてくれる店が好きです。

人当たりのいい、このイケメンは学大を知ろうとしてる。学大を意識して店を作ろうとしてる。うん、私はGUARDIANを無条件に、そして最大限に支持する。

「せっかくだし、やっぱりレモンサワーをお願いします」

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2杯目はバーテンダーが本気で作ったレモンサワー(880円)。銅製のマグカップに口をつけた瞬間。

「ん?」

クラッシュアイスを指でちょいとつまんでペロッ。あっ。レモンだ。レモンシャーベット。何とかって言ってたけど、何だったかな。

「溶けても薄まらないようにしてるんです」

「ベースはなんですか?」

「バーなので、焼酎ではなくウオッカを使ってます」

「甘くておいしいですね」

冷えた銅製マグカップもいいな。ウオッカはガラスではなく金属のグラスで飲むのがいい。

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巨大なバックバーにはお酒がずらり。

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背後も一面が棚になっていて、お酒がギッシリ。

「オールドボトルをいろいろ取り揃えてます」

「下世話な話ですが、この中で一番高いのってなんですか?」

「こちらのロイヤル・ロッホナガーで、4000円です。これでもかなりお安くさせて頂いてます」

「一番古いのは……」

「こちらが50年ものです」

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こだわりのオールドボトルを見せて頂きました。壮観。

「この中でよくお飲みになるものはありますか?」

「ロッホナガー自体はもちろん飲んだことありますし、イエガーも好きですねぇ。カンパリ、ゴードンはそんなに飲まないかな」

「いつもブログを参考にさせて頂いているので、お礼にこちらをどうぞ。現行のものと飲み比べると面白いですよ」

「えええ。いいんですか? ありがとうございます」

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アニスや甘草など56種類のハーブが使われているドイツのリキュール・イエーガーマイスター。イエーガーマイスター(Jägermeister)はドイツ語で狩人の守護聖人という意味。具体的には聖フベルトゥスを指します。なぜ鹿なのか、角の間の十字架は何なのか、そのあたりはググって下さいw

参考/wikipedia:Hubertus(英語)

さて、左が現行のイエーガー、右が1970年代流通品です。まずはオールドイエーガーの香りを嗅ぎます。

「!」

現行を嗅がなくてもわかる。ぜんぜん違う。ひと舐め。

「!」

す、すごい。やばい。私の知ってるイエーガーとまったく違います。これは、私が酒の味をわかってるとかそういことではありません。本当に違うんです。大げさに言うなら、コーヒーと紅茶の差くらい違う。

まろやかで、とても甘くて、奥深い味わい。この後に現行のイエーガーを飲むと、薬品臭さのようなものがすごく障る。

このイエーガーは今年飲んだ酒で一番うまいな。まじうまい。ごちそうになったから言うんじゃない。これはすごい。

「ちなみに、このイエーガーはショットでおいくらですか?」

「1800円です」

一本の仕入れ値を聞きました。1800円で出せるような値段じゃないw

「こういうのはどうやって仕入れてるんですか?」

「ヨーロッパからです」

「現地へ行ったりも?」

「いえ、ネットで。ただ、誰でも買えるというわけでもないので、つながりも必要です」

それにしてもこの香り、味。

「キャラメルのような甘味にラムっぽさを感じます。もし何も言われずにこれを飲んだら、ラムだと思うんじゃないかなぁ」

「コーラにも通じるものを感じますね」

「なるほど確かに。いつも思うんです。熟成が進むと、お酒って味が似てきますよね。スコッチがブランデーみたいになったり」

「フルーツ系、特にワインのような風味が出てくると言いますね」

いにしえのイエーガーを少しずつ舐めながら、スコッチを中心とした酒談議に花を咲かせます。当然のことながら、お酒に詳しいので、聞いててほんとに面白い。楽しいなぁ。この日はちょうどクリスマス。いいプレゼントだ。

2杯で切り上げようと思っていたのですが、こんなものをごちそうになっては、さすがに腰を上げられない。毎度のことながらのタリスカーをお願いしました。タリスカーは私がスコッチにハマるきっかけとなった酒。

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80年代、90年代、現行のタリスカー。当時、真ん中のを飲んでたのかもなぁ。あり? 7年ってのがあったような。どうだったかな。

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思い出のある大好きなタリスカー(800円)。けど、この時は普段よりも軽く感じました。そりゃそうだ。口をゆすいだとはいえ、直前にあんなイエガー飲んでるもんなw ラムにしときゃよかったw

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強い男の強い酒。ハードに飽きたりない男の、スーパーハード60度

「ちょうどバブルの頃、1980年代~90年代初頭に発売されたフィンラガンで、中身はカリラとも言われてるんですが、このキャッチコピー面白くないですか?(笑)」

「すごいですね(笑)」

今なら炎上しそうなキャッチコピーw 時代が透けて見えるというのもオールドボトルの面白いところなんだろうなぁ。

「桑田佳祐の物まねが似てるバーってどこでしたっけ? 気になってるんですよねぇ」

サザンリーフ。ほんとすごいですよ。マスターとは釣りにも行ってます」

「そうなんですか。釣りいいですねぇ。あと、プレミアワンってどうですか?」

「学大で一番イカれたバー(笑)」

「ははは(笑) トリッキーズには行かせて頂いたんですが、深夜、お客さんがとても多くて。あんな時間でも本当に人っているんですね。ウチはぜんぜん……」

会計は(780円+880円+800円)×1.08=2656.8円=2650円。ほんとにこの値段で大丈夫かいな、そう思わせるのもchef's marcheぽいなw ただ、chef's marcheに関しては素人の杞憂でした。実際は絶好調のようです。ここGUARDIANもしばらくすれば、いつ行ってもカウンターは満席、そんな店になるでしょう。いや、そうならないとおかしいって。

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以下は別日に飲んだもの。まずはスコッチ、スプリングバンク。もちろんロック、ノーステア。記憶に残っているスプリングバンクよりも尖っていてソルティー。この印象は大塚さんも頷いていました。気遣って話をあわせてくれていただけかもだけどw

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1950年代のフェルネット・ブランカ(右)。フェルネット・ブランカは世界一苦い酒と言われています。現行品(左)はトリッキーズでも飲んだことがあります。さすがに1950年代の酒は初めてです(どのジャンルにおいても)。

大塚さんは現行よりも苦いと言ってたかな。私はまろやかに感じました。これはきっと言い方の差。現行はちょいと人工的というか、作り物っぽい苦さを感じました。けど、オールドボトルはナチュラルな苦さ。どちらをどう苦いと取るかで言い方が違ったのだと思います。

ただ、私が苦味よりも強く感じたのはオイリーさです。これだけ長い時間が経つと、油分が滲み出てくるのだろうとは江島さん談(※以前いらっしゃったスタッフ)。なるほど、そういうこともあるのかもなぁ。

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フェルネット・ブランカをひと舐め分残して、ラムのサンタテレサ。ラムでもソレラと言うことを初めて知ったよ。これもわかった風を言うようで恥ずかしいんだけど、昔に比べると甘さが際立ちます。私の記憶ではもっとビターで香ばしさがあったような。まあ、甘い酒も好きだから、どちらがどうというわけじゃないんだけど。

で。

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ふふふ。こうするためにラムを頼んだのだよ。ひと舐め分のフェルネット・ブランカに同量のサンタテレサを注ぐ。贅沢な遊び。けどね、これがこの上なくいい。

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左から現行のアマレット・ディサローノ、1970年代、60年代のアマレット・ディ・サローノ、1950年代のRach Mandola Amara。「di(ディ)」の付き方の差に注目

この日は私のほかに5人のお客さんがいました。まだまだもっと来ているべきだとは思うけど、とりあえずよかったよ。他所でもチラホラとGARDIANのいい噂を耳にするしね。と同時に、あんま広めないでくれとも言われるんだけどw

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照明とスマホカメラの具合のせいで縞模様に見えますが、実物は真っ白

オールドボトルをウリにしてますが、もちろんリーズナブルな普通のお酒もいっぱいあります。ノーチャージです。オーセンティックバーですが、かしこまるような店ではありません。店主たちは人当たりがよく、そしてイケメンw 広くてゆったりしていて、くつろげます。これまで学芸大学になかったようなバー。

もしお酒が好きなら、これを読んだその日の内に行って下さい。いや、ほんと行ったほうがいいよ。まじで。あまりこういうバーに行ったことのない人にもぜひ行ってもらいたい。季節のフルーツを使ったカクテルがあったりするし、女性にもいいだろうなぁ。間違いなく素晴らしいバーです。きっと楽しんで頂けると思います。

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Kilchoman STR Cask/キルホーマン STRカスク

学芸大学で20軒目のノーチャージのバー(おそらく)。2018年最後の記事。よかった。最後にいい店に行けて、いい店を紹介できて。来年もよろしくお願い致します。

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