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学芸大学・十字街のBAR VINE(ヴァイン)は狭いんだけどお酒が結構そろっていて、ほのかに昭和モダンの香りもする、とても落ちついたバーです

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学芸大学の夕暮れ時。週末だからか飲食店はどこも混んでいます。どうしたものか。あてどなく歩いていたら、十字街で赤い光が目に入ってきました。あ、そういえば246(にょろ)の下にバーができたんだっけか。メシも食わずにいきなりバーというのもアレですが、こういう夜は流れに身を任せるのが吉。

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学芸大学駅から徒歩2分ほど。十字街の焼酎呑ミ処 2nd.(セカンド)の脇に路地があり、その先に「酔うこそここへクッククック」と書かれた怪しげな扉があります。扉の先の階段を上れば、お尻アーティスト・TABOさんのバー・246(にょろ)(閉店)。扉のすぐ横にある赤い扉が2016年7月7日にオープンした新しいバー・BAR VINEの本当の入り口です。路地で本を読んでいた店主に先導され、店に入りました。

※追記:2022年に2号店・BAR VINE 2(食堂ヴァインから改称)がオープン。これに伴い、この1号店はBAR VINE 1と名乗るようになりました。追記以上

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カウンター6席ほどの小さなバー。6脚の椅子はすべて違っています。

暑いし歩き回ったし、まずはビールだな。生ビールと、瓶はシメイ・レッド、ブルックリン・ラガーがあるというので、ブルックリン・ラガーをお願いしました。グラスも供されましたが、こういうのはボトルでそのままがいいやね。

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ゆっくりと店内を見てみます。アイラを中心としたスコッチがそこそこあって、ラムは4種で、ジン、ウオッカ、焼酎、リキュールと満遍なくそろっています。聞いたところ、ウーロンハイなどは700円で、あとはおおよそ800円~、チャージが500円とのこと。

「よくこんな物件見つけましたね。不動産屋には出てなかったんじゃないですか?」

「もともとは炙や 89の方にご紹介頂いて、TABOさんと知り合って」

「そういうんじゃないと出会いませんよねw こちらの前はどこかでやってらっしゃったんですか?」

「中目黒と恵比寿で」

「そういえば、こちらの店名は……」

「VINE(ヴァイン)です」

ショップカードとマッチを頂きました。VINEか。ワインかな?

「どういう意味ですか?」

「ラテン語でワインですが、今は蔓(つる)という意味で使われたりしますね」

「見た感じワインはどこにも……」

「今は赤と白が1本ずつです。もともとファッションブランドもやっていて、そのブランド名がVINEだったからそのままでいいかなと」

淡々と話すマスターは穏やかで親しみやすい方です。誰かに似てるんだよなぁ。

BGMは日本人の女性歌手。ちょっとジャズっぽいのかな。誰だろう。天井には滑車がついていて、紐でくくられた籠が3つぶら下がっています。つまみなどを取るたびに籠を上げ下げ。狭い店内を有効に活用するための工夫なんだとか。この音楽、この雰囲気、この狭さ、なんだかゴールデン街のバーのよう。落ちつくし懐かしさも感じます。

けど、やっぱり気になるのは酒。目の前のボトルは見たことがありません。

「このROCK OYSTER(ロックオイスター)はどんなスコッチですか?」

「ダグラスレインという会社が島モノを独自にブレンドしたものです。ブレンデッドですが、ピーティーです」

「へー、初めて見ました。おいくらですか?」

「1000円です」

「じゃあこれお願いします」

「飲み方はどうします?」

「ロックグラスにストレートで。あとで氷を足してもらえますか?」

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「はい、どうぞ」

おおう。すごい。前にグラスが置かれた瞬間、フワッと香りが立ちました。スモーキーですが華やかさも感じます。

ひと舐め。確かにピーティーではありますが、アードベッグやラフロイグのようなパンチはない。どちらかというと舌触りはまろやか。けど、しっかりとキックもあります。

「いやぁ、うまいですね」

「同じシリーズでアイラをブレンドしたのとかスペイサイドをブレンドしたのとかも出してますよ」

なんだろうな、すごくまとまりがあるんだよなぁ。こいつはすげぇや。1/3ほど残っているブルックリン・ラガーをチェイサーにロックオイスターをチビッ。くぅ~。いいねぇ。

半分ほどに減ったら氷を入れてもらいました。おう、こりゃまた。味わいがシャープになりました。面白い。

もうひとつ気になったのが、マスターの背後に貼られている「モヒート サングリア バナナ チョコバナナ ストロベリィ」という文字(上写真参照)。なんだろうというのと、この書体が気になります。

「あれ、なんですか?」

「バナナ、チョコバナナ、ストロベリィはシェイクですね」

「それってカッターで切ってますよね?」

「ハサミで。普通に黒板に書いてもカフェっぽいし、普通のフォントで印刷しても面白くないので。そのショップカードとかマッチもそうなんですよ」

「ほんとだ。おしゃれ」

カウンターにはシングルレコードも並んでるし、切り文字はどこかレトロな感じがして、店内にはかすかに昭和モダンの香りも漂っています。それがゴールデン街っぽさを醸し出してるのかもなぁ。

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「おすすめのバーある?」

よく聞かれるのですが、答えに窮します。バーで大切なのは肌です。肌が合うかどうか。これは人によって違いますから勧めづらいのです。実際に行ってみて、よければ通えばいいし、合わなければ違う店を探す。そうするしかありません。

BAR VINEは少なくとも私の肌には合いました。けど、あなたに合うかどうかはわかりません。少しでも興味を抱いたなら、とりあえず飛び込んでみて下さい。確かに見た目は怪しげかもしれませんが、カジュアルで落ちつけるいいバーですよ。

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