今回食べてみたのは株式会社山一の手延べそうめん・名水の絲(めいすいのいと)です。
オオゼキ 祐天寺店で購入しました。279円/300gでした。スーパーで売られている一般的な手延べそうめんとしては少し安めの値……
って、おい。翌日に行ったオオゼキの別店舗では214円じゃないか。なんてこと。手延べそうめんでこの値段は安すぎます。以下を読まずとも速攻で買いなされw
島原手延べそうめんと謳わない戦略
名水の絲は商品パッケージのどこにも「島原」という文字がありません。唯一、製造者の住所に「南島原市」と書かれているだけです。
ホームページを見ても同様です。トップページには「島原手延べそうめん」という言葉は一切なく(HTMLのメタにはある)、「島原」「南島原市」という単語がほんの少しあるだけです。なんならグループ会社の所在地・香川のほうが目立ってますw
以前のホームページでは「島原手延べそうめん」と強調していたのですが、2010年ごろから現在のホームページデザインに変わり、「島原」がなくなりました。
憶測ですが、島原という地域に愛着を持ちつつも、それに頼らないブランディングを進めているのかもしれません。「島原手延べそうめん」と言ってしまうと、無数の同業他社の中に埋もれてしまいますしね。
私は三輪山本(白龍、白髪など)を思い出しました。三輪山本も商品に地域名を出しません。まあ、これには三輪と島原というあれこれな事情もあるわけですが。詳細はリンク先の記事でどうぞ。
密度の高い麺
麺の表面を滑らかにする工程を経て麺を束ねておりますので、麺帯がずれる事がございます。
このような注意書きは初めて見ました。
確かに麺がツルツルしていて、束紙はゆるゆる。麺が滑ります。
乾麺状では少し細目でしょうか。よくしなります。いいそうめんの証。
ゆで時間は3分~3分半が目安です。
いやぁ。この細さで3分は長いんじゃね? 私の経験からすると、2分~2分半で十分なような。場合によっては1分半~2分でもいいかもしれないくらい。
沸騰したお湯に3束を入れ、1分半から1本ずつ取り出しては口にして、様子をうかがいました。1分半ではまだ早い。2分でギリいいかも? 結局、2分15秒で上げました。
乾麺の状態では細かったのですが、想定よりも太くゆで上がりました。まずはそのままひと口。
ひゃあ。これはこれは。
山一独特の強いコシと艶・旨味が絶品のそうめん。 島原の伝統的な手延べの技を使って造ったこだわりの逸品です。
公式サイトにはこんな文言があります。
よくあるんですよ。「独特」と言いながら、実際に食べてみると「いやいや、こんなのよくあるって」と思うことが。けど、この名水の絲はまさにおっしゃる通り。コシが独特です。
細い三輪素麺であれば、中心部にプチっという強いコシを感じるのですが、そうじゃない。麺全体がしっかりとしたコシをまとっています。密度が高いとでも言いましょうか。とても強い跳ね返りを歯・舌に感じます。
博多豚骨ラーメンのバリ堅? いや違う。これは何かに似てる……。ああ、わかった。パスタのアルデンテだ。大げさに言えば、ポリっ、コリっとしたような力強さを感じます。まったくないとは言いませんが、なるほど「独特」というのは間違いありません。
プルン、ツルリ、気持ちいい
翌日は表示通り3分ゆでました。2分強ゆでよりも若干太く感じます。
プルン。麺全体にまとっていた強いコシは、心地のいい穏やかな弾力へと変化しました。大矢知手延素麺や半田手延めん オカベの麺、太めの小豆島手延べそうめんに似た雰囲気です。あるいは稲庭うどんに感じるような弾力とも言えます(稲庭うどんも手延べなので、似ているのも道理)。
ゆで時間がどうであれ、やはりツルリとした舌触りがとても気持ちいいです。ここが名水の絲の最大の特徴かもしれません。
ちょっと太めのプリンとした麺がお好きであれば、きっとおいしく食べていただけるはずです。安いですし、一度試してみてはいかがでしょうか。その際は2分強ゆでと3分ゆでの両方を食べてみてください。面白いですよ。
渋滞しているパッケージ
以下はそうめんとは関係のない話です。
パッケージの表面には「名水の絲」という商品名が2度登場します。「名水」という単語が3つもあります。さらに「MEISUI」というアルファベット表記も。
同様に「手延べそうめん」「tenobe soumen」とこちらも重複。
また、名水庵は山一の直売店ということは調べればわかりますが、福寿は調べてもわかりませんでした。なんのことだ?
パッと見はすっきりとしたいいデザインなのですが、よく見てみると、言葉・情報が渋滞しまくり。
実は山一はロゴマークもとにかく多い。ひとつひとつに意味はあるのでしょうけど、消費者から見ると、統一感がないというか、山一に対する認知を阻害しているような気すらします。
気持ちはわかるんです。
「あれも入れたい、これも入れたい」
「あれも言わなきゃ、これも言いたい」
けど、あれもこれもとやっていては、情報が散漫になり、時として消費者に対する訴求力が低下します。
溢れんばかりの気持ちがあることはいいことですが、それをどう表出させるかってのはまた別の話でして。
ロゴマークにせよ、宣伝文句、キャッチコピー、ホームページにせよ、すべて一回、ちゃんと整理してみるといいんじゃないかなぁと思いました。ホームページはもう10年以上デザインが変わってませんしね。付け足し付け足しで見づらくなってます。
名水庵をチラッと見た限りはとてもオシャレ。センスはあるはず。だからこそ。もっといいものを作れそうな企業なのになぁ。もったいないw
名称 | 名水の絲(めいすいのいと) |
原材料名 | 小麦粉(国内製造)、食塩、ごま油、澱粉 |
製造者 | 株式会社山一 |
評価 | ★★★★☆ |