学芸大学駅から徒歩2分。十字街のW.GAKUGEIDAIGAKUビルにBALLAD by Thunderbolt(バラッド・バイ・サンダーボルト)というバーがあります。2018年6月9日にオープンしました。
※追記:2024年5月18日に閉店しました。追記以上
中目黒の有名店・Thunderbolt(サンダーボルト)の3号店です。このあたりの詳細はまた後ほど。
サンダーボルトが学大にやって来る――あちらこちらの店では、オープン前からそんな話で持ち切りでした。私も個人的な事情があり、BALLAD(バラッド)のオープンには特別な感慨を持ち、とても興味深く見ていた口。このあたりのことも追々。
BALLAD(バラッド)は3階。エレベーターもしくは階段で上がります。
店内には長いカウンター席、テーブル席、プロジェクターが映し出されている壁の向こうには半個室も。
この写真は出る直前に撮ったので人がいっぱいいますが、たぶん私が口開けでした。カウンター内には女性。
「サンダーボルトからですか?」
「いえ、そういうわけでは。10年ほど前に2、3度行ったことはありますが。お一人で?」
「私はお手伝いというか……。もうすぐ店主が来ます」
一杯目、定点観測のジントニックを飲み終えそうな頃合いに扉が開きます。
「あ、店主が来ました」
「いらっしゃいませ」
「こんばんは」
ヒゲをたくわえた長髪の大きな店主。
「10年ほど前に2、3度、サンダーボルトにはうかがったんですが、その時はシュッとした若い人が立っていたような……」
「10年前だったら、私もシュッとしてました(笑)」
「ははは」
「初めまして。店主のルパンです」
「…よろしくお願いします」
0.5秒の逡巡。非礼を承知で、そしてある種のうぬぼれ・思い上がりから、あえてこちらは名乗りませんでした。何をうぬぼれてたかって? 恥ずかし過ぎて書けない。
※後日、再訪した際、改めてご挨拶させて頂きましたw
「ここならではという飲み物は何かありますか?」
「ホテルのバーにいたんで、カクテルはなんでもできます。あとはコーヒー酎がよく出ますね。コーヒー酎を豆乳で割るんです。シロップを入れて甘めにすると飲みやすいと思います」
「コーヒー酎を豆乳で割るんですか。それは飲んだことないなぁ。甘いのも好きだし、お願いします」
「中、大、メガとありますが」
「中で(笑)」
あ。こんなん余裕でメガいける。
「おいしいですねー」
「いいですよねー」
やばいなこりゃ。ほんといくらでも飲める。めっちゃうまい。
これは別日に頼んだ中、大、メガ。うまっ。ぜんぜんメガでもいけるね。ただ、量的コスパはメガが一番いいけど、氷の溶け具合を考えると大(1100円)が一番いいとスタッフの金子君談w
「じゃあ、サンダーボルトが学大に来るってんで来てくれたんですか? ありがとうございます」
「なんで学大なんだろうと思ったら、こちらの方(女性)とお知り合いだったとか」
「そうなんです。彼女がここでバーをやってたんですが、閉めることになって、替わりにやらないかと」
いろいろ合点がいきました。ここはKEBALANという服のショップを兼ねたバーでした。その店主だったのがこの女性・チカコさん。そもそもKEBALANを作る際にもルパンさんに助けてもらっていたそう。
「サンダーボルトを出す際、実は学芸大学でも物件を探してたんです。けど、当時の学芸大学はまだ……。結局、中目黒に出すことになったんですが、当時の中目黒と今の学芸大学が似てるんです。若い人たちがどんどんお店を出してて」
1998年にオーガニックカフェがオープン(2005年閉店)。2001年にchano-ma(チャノマ)がオープン。2006年にサンダーボルトがオープン。GTビル(中目黒駅隣)、中目黒アトラスタワー(目黒川沿い)の再開発が始まろうとする中、新旧が入り乱れ、いろいろな人たちが集まり、若い人を中心に中目黒は活気づいていきました。
学芸大学に大規模再開発はないのですが、若い人が増え(店も客も)、ちょうどいい具合に新旧が交差しているという状況は確かに似ています。私はこれを常々"学大の中目化"と呼んでるのですが(ポジティブな意味で)、このことはまた日を改めて。
「おいくつですか?」
「今年で45。丑です」
「僕は子(ね)だから同じくらいですね」
豪快で快活。体も声も大きい。気持ちのいい人だなぁ。
カウンターやバックバーには学大の店のショップカードがいっぱい並んでいます。トリケン、関本恭平などなど。みんな来てるねぇ。
オープンした月は毎日店に出てて、翌月は休みを取って学大巡りをするのだとか。ある種の営業にもなるでしょうし、顔の広い方ですから知り合いの店を回るということもあるのでしょうけど、たぶんそれだけじゃない。この街を知ろうとしてるのだと思います。なんだか嬉しいな。
私は学大という街が大好きです。だから学大を愛していると感じさせてくれる店が大好き。
そうこうしている内に、お客さんが増えてきます。3杯目の角ハイボール。
「ちなみに、どういう料金設定ですか? たとえば、このハイボールはおいくらでしょう」
「ハイボールは800円で、ノーチャージ。食べ物の持ち込みは自由です」
「へえ」
と、ここで隣のかわいい子がこんなことを。
「じゃあ、お弁当買って来て、ここで晩御飯も食べられるね」
ま、まあ(^^; 別にいいんだけど、バーだからねぇ。普通はつまみ系を買ってくるんじゃないかなぁ。ここで弁当食うってのは……いや、いいんだけどw
この子がなんか面白くて。
「じゃがりこ食べます? 電車の中で食べてたら、思いのほか音が大きくて食べられなかったんです」
バーで弁当、電車でじゃがりこ。どんなw
「ありがとうございます。このあたりにお住まいですか?」
「○○のほうです。この前、歩いて帰ろうと思ったら、駒沢とか三茶とかのほうに行っちゃって」
「ええ? ○○はここからほぼ道一本ですよ(笑)」
「そうなんですか!」
ここで常連さんから開店祝いのシャンパンが入りました。私たちもご相伴にあずかります。
「まさかシャンパン飲めるとは」
「お得でしたね(笑)」
「このお店、雰囲気よくないですか? 和っぽさもあったり、あっちはアメカジっぽいし、あの絵もお店の雰囲気にすごく合ってるし」
うん、確かに。エスニックなテイストも感じるなぁ。いろいろな要素が入り混じってる。けど、雑然としてたり混沌としてるわけじゃない。これらが妙にマッチして、独特ではあるけど、まとまったひとつの世界を作り上げてます。オシャレ。センスがいいんだなぁ。
「なんだか落ち着くんですよねぇ」
「いいですねぇ」
ジャックダニエルのロック、再びハイボール。そもそもこんなことは少ないのですが、特に一見で訪れたバーで5杯も飲むことなんてまずありません。不思議と居心地がよく、この雰囲気が私に酒を促しました。
会計は5杯で4200円。シャンパンをふるまってくれた常連さん、隣の面白い女の子に挨拶をして店を出ます。表までお見送りしてくれるルパンさん。
「またぜひ」
「はい。ごちそうさまでした」
帰りは階段。足取り軽く階段を下れたのは、お酒が入っていたからじゃなく、店・店主が気持ちよかったから。足が軽すぎて、その後さらに3軒もハシゴしてしまうのですがw
BALLAD by Thunderboltには、ルパンさんにはパワーがある。人を惹きつける力です。その力はきっとこの街に新しい風をも呼び込んでくれる。そう予感させてくれました。
ノーチャージですから気軽に寄れます。オシャレでゆったりしてて、女性も行きやすいと思います。中目黒という巨大な街をもけん引してきたそのパワーをぜひ一度感じてみてください。元気がもらえますよ。
SHOP DATA
- BALLAD by Thunderbolt(バラッド・バイ・サンダーボルト)
- 東京都目黒区鷹番2-20-19 W.学芸大学3F
- 03-6712-2887
Thunderbolt(サンダーボルト)の歴史
京王プラザホテルのバーで経験を積み、2006年、中目黒にThunderbolt(サンダーボルト)を開店させたルパン・J・葉山さん。同店は早々に中目黒の名物店となりました。
2014年、中目黒の山手通り沿い、百麺(ぱいめん)の隣に2号店となるSTAND by Thunder Bolt(スタンドバイサンダーボルト)がオープン。2018年、学芸大学にBALLAD by Thunderbolt(バラッドバイサンダーボルトがオープンしました。
物件契約時、店舗名を聞かれた際、ちょうど近くに雷が落ちたので「Thunderbolt(雷)」。そしてThunderbolt店長は歌もやっていて、歌っている曲名から、「STAND」「BALLAD」という店名がつけられたのだそう。
※中目黒のSTANDは2020年7月7日に洋食STANDるぱんに変わりました。
バーってのは結局、人。だから多店舗展開はかなり難しいはず。けど、ルパンさんのいない中目黒の店舗にも変わらず客が来てるということは、スタッフたちにも魅力があるからでしょう。そして、そんなスタッフたちが集まるというのは、やっぱりルパンさんの人柄。
上の写真の左奥、坂を上った先が鎗ヶ崎の交差点です。そのすぐ近くに10年ほど住んでいました。そして学芸大学に越して来たのが5年前。
中目黒から学芸大学へ――BALLAD(バラッド)と私に似てる部分もあって、Thunderboltが学芸大学にやって来るってのに「特別な感慨」があったんですよねぇ。