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学芸大学メランコリーはラーメンもおいしいタイ風ぶっかけ飯の店。飲んでつまむもよし、がっつりカオゲーンやラーメンを食うもよし。

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お酒一杯でもOKなタイ屋台風料理店

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学芸大学駅から徒歩1分。東口を出てすぐ、八百屋・ボラボラの脇道を入った先に学芸大学メランコリーというお店があります。

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2000年、ラーメン屋・モンゴメリーがオープン。まったりとした豚骨醤油のラーメンはこの街の住人たちを魅了してきました。学大のおふくろの味――そう言っていいほど愛されてきたお店です。

ところが、コロナ禍でバタバタする中、2021年頃に閉店。2023年7月14日、学芸大学メランコリーとして復活しました。

これは聞いてないのですが、モンゴメリーと語感が似てるからなんとなくメランコリーとしたのでしょう。深い意味はないと思います。

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カウンター8席ほど。ゴチャゴチャっとしたモンゴメリーの雰囲気から一転、さっぱりとしました。

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学芸大学メランコリーはThai style mixed riceと銘打たれています。タイ風ぶっかけ飯(カオゲーン※)のことです。ただ、それ以外にもいろいろあります。また、日によっても異なります。

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お酒はこんな感じ。

「一杯だけ飲みに来てもらってもいいんですけどね」

とマスター・福井滋巳さん。島根県松江市出身。

ですから、タイ風ぶっかけ飯やタイ風のつまみもある、ラーメンがおいしい飲み屋、が学芸大学メランコリーと考えていいでしょう。

日本人でも食べやすいカオゲーン

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参考:筆者作のカオゲーン

カオゲーンのカオはカオマンガイのカオ。意味はお米・ごはん。ゲーンは汁物・スープ。外国人(タイ人以外)がグリーンカレー、レッドカレーなどと称しているものは、正確にはカレーではなくゲーン。汁物に限らず、数種のおかずをごはんに乗せた、屋台でよく出される料理がカオゲーンです。

日によって異なりますが、この日は

  • ガパオ
  • グリーンカレー
  • パッポンカリー
  • パネンカレー

でした。この中から好きなものを1~3種選びます。

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この日は売り切れているものもあったりして、パネンカレーとパッポンカリーの2種がけになりました(1100円)。写真ではわかりづらいですが、そこそこ大きなお皿です。

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おそらくこれはパネンカレーだと思います。確認しなかったw

ほんのちょっぴりピリ辛。辛い物が苦手な人でも問題なく食べられる辛さでしょう。いわゆるレッドカレーよりも食べやすいと思います。ココナッツか何かの甘みがありつつ、タイのハーブがしっかり香ります。

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パッポンカリー。パッは炒める、ポンカリーはカレー粉。卵でとじられていてまろやか。

それぞれを食べつつ、時にこれらを混ぜてみたり。いやぁ。おいしいな。一気に平らげてしまいました。

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「辛いのが苦手という人も多くて。日本人の口に合わせた味にしています」

とマスター。

確かにマイルドではあります。けど、尖ってりゃいいってものでもないでしょうからね。バランスがよく食べやすいカオゲーンじゃないでしょうか。

名店の香り漂うアジアン塩ラーメン

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別日。ハイネケンを飲みつつ、ホロ酔いであれやこれやと話しながら、アジアン ソルト ラーメンを頼みました。

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スープをひと口、麺をひとすすり。

「うんまっ」

「麺はあそこです」

「まじっすか」

私がこよなく愛する関屋城南食品。

「麺の風味がしっかりしてますねぇ」

面白いのが大根です。

「大根ってうまみが出るので」

「わかります。大根、にんじん、根菜っていいダシが出ますよねぇ」

「ひき肉もダシがよく出るので……」

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さかのぼること約3ヶ月。学大メランコリーのオープン日前後のこと。

「なんでタイなんですか?」

「もともとタイ料理が好きで、いろいろ食べ歩いていたんです」

「だとしても、あのラーメンがなくなるのは、僕も含め悲しむ人も多いと思うんですよ」

「ちょっともうあれはできないですね。(モンゴメリーを)休んでる間、ラーメン屋で働いてたんです」

「ほぉ! どこだろう」

「有名なお店です。青山墓地の隣と言えばわかりますか?」

「え? かおたん?」

「はい」

「えええ!」

「かおたんの社長(※1)が島根県出身、同郷で、そんな縁があって。だから、そのうちラーメンもやろうかと」

そんな話を聞いていたので、喜楽/かおたんちょろり(※2)っぽいラーメンを作るのかと思いきや……。

醤油ではなく塩。揚げネギではなく揚げエシャロット。メンマ・きぬさやではなく大根。タイ料理と材料を併せるためにこうしているのかもしれませんが、だとしても、このアレンジたるや。

マスターはアーティストなんだなぁ。やっぱジャズだ。だから譜面をそのままなぞらない。かおたんそのままにはしない。と言いつつ、そこはかとなくかおたんを感じさせます。なんとも絶妙。

※1 社長ではなく店主の落合一元さんが島根県出身と言っていたかもしれません。失念

※2 喜楽、かおたん、ちょろりは同じ系譜。ちょろり 目黒店は現在、ちょろりからラーメンを教わった香湯拉麺 ひろやになってます

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このチャーシューは日本式の煮豚チャーシューではなく焼豚。窯で焼いた叉焼。タイではムーデーン。

「マスター、ひとつわがまま言っていいですか? このチャーシュー、一切れだけもらっていいですか?」

「どうぞ」

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ムチムチっとした焼豚は中国の叉焼ともまた違います。そして、スープに浸かると食感が変わってしっとり。

おっとっと、赤みがかった焼豚にひき肉か。昌田も彷彿させるなぁ。昌田もモンゴメリーと同じく南京軒食品だったんだよなぁ。

「この甘くて、外側がピンクの、これって中国では色をつけてるんですよねぇ。中華街とかでも売ってる。このチャーシューがすごくいいですよね。この辺ではなかなか……」

ほろ酔いで随分と語ってたな、俺w

学芸大学メランコリーのアジアン ソルト ラーメン

塩スープのベースは鶏でしょうか。深みがあって、脂/油でまろやか。コクがあります。揚げエシャレットで香ばしく、スープ・かえし・チャーシューの甘みも相まって、ふくよか。

魚介の団子も入っているのですが、私はなくてもいいと思いました。ただ、"アジア"を謳うのであれば、これはこれで。この類が入るとグッとアジア感が増しはしますよね。

先述の通り、麺は関屋城南食品。茹で加減は私より長めですが(私はいつもバリ堅)、ツルッツル、しこしこ。

うれしいなぁ。こんなに愛している麺を使ってくれてるなんて。私がどれほど愛しているかは、こちらの記事をご覧ください。

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関屋城南食品の麺を使ったちょろりオマージュ(筆者作)。かおたんラーメンえんとつ屋 南青山店のラーメンも似た感じ

「自分でもラーメンを作りますが、こうはできないです。実は脂(油)が重要だと思ってて……」

プロに向かって、なんてことを言ってるんだ俺は。けど、ほんとそう。うまみはいくらでも重ねられますが、深さや厚みはそう簡単には出せません。

やっぱプロはすげーや。

マスターとの会話も楽しい!

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酔っぱらって一方的にあれやこれやと話してしまったのですが、それを飄々と受け流すマスター。この感じ、なーんか好き。

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確かにモンゴメリーのラーメンがなくなったのは残念です。けど、あのラーメンを作っていた店主がべらぼーにうまい塩ラーメン、しかも名店の香りをまとったラーメンを新たに作り出したんですよ。喜ばしいことじゃないですか。

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ぜひ一度、飲みに、すすりに、しゃべりに行ってみてください。マスターと同郷・島根県出身の方は話が一層弾むと思いますよ。

おまけ:学大メランコリーの焼豚で中華 昌田オマージュ

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学大メランコリーの焼豚(ムーデーン)を知った時から狙っていました。これで作りたい。あのラーメンを。

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テイクアウトさせてもらいました(いつでも誰でもテイクアウトできるかどうかはわかりません)。

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中華 昌田(閉店)の肉入り辛子ソバオマージュ。ひき肉餡のしょうがの具合、唐辛子の加減、スープの味、量、熱さ、パーフェクト。再現度100%。そしてやっぱりこの焼豚うまい!

これが作れたのも学大メランコリーのおかげ。あざっす!

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