
チャーシューを作るのって楽しいですよ。おいしいし。自分で作れば安いし。簡単だし。というわけで今回はチャーシューの作り方です。
- 煮るチャーシュー
- 焼くチャーシュー
の2パターンをご紹介します。
また、叉焼、焼豚、煮豚、チャーシュー、いろいろな言葉がありますが、その違いについては、この記事の最後の方をご参照下さい。とりあえず今回作ろうとしているのは、ラーメンに乗っているようなアレです。
材料
- 豚肉の塊(肩ロース、ロース、モモ、バラなど)
- 醤油
- 酒
- 砂糖
タレについて
煮込むためのタレの味付けはお好みでどうぞ。私はいつも、醤油、酒、砂糖、水をベースに、ショウガ、ニンニクを入れています。すりおろした玉ねぎやリンゴなどを加えるのもいいかもしれません。あと、ラーメンのタレや焼肉のタレが冷蔵庫に少し残ってたりしないですか? そういうのを加えるのもありです。
醤油ではなく塩とダシで作ってもおいしいですよ。
豚肉について
塊であれば、どの部位でもチャーシューは作れます。部位の違い、煮込み方の違いによって味わいや食感が違ってきます。
バラは脂が多くコッテリになります。肩ロース、モモはほどよい脂と肉でいいバランス。普通のロースは肉感が強め。
単体でつまみたいということであれば、バラ、肩ロースがいいでしょう。いろいろな料理に使い回したいということであればロースもあり。とりあえず、肩ロースで一度作ってみて、どうせタレが大量に余りますから、その次はバラかモモかロースでやってみるというのがいいかもしれません。
調理工程
タレ作り
タレの材料を鍋に入れ混ぜ合わせます。甘めにするのがオススメです。醤油が勝ちすぎてしょっぱくなると、食べられなくなります。その点、仮に甘すぎに仕上がっても、それなら食べられます。
ニュアンスとしては焼き鳥のタレ。煮込むタレにしては濃すぎるのですが、方向性としてはあの感じがいいと思います。
豚肉を縛る
最初から縛って売られている塊があると思います。肩ロースが多いかな。あれで十分です。もし自分で縛るなら、100円均一ショップで調理用タコ糸を買ってきましょう。
なぜ縛るかというと、煮崩れを防ぐということもなくはないのですが、ただ単に形を整えるためです。逆に、チャーシューにするのにちょうどいいサイズ、形であれば、縛る必要はありません。

こちらは最初から縛られていた肩ロース(自分で煮込んだあと)。楽です。同じタレでもう一度仕込みたくて、次は普通のロースを買ってきました。

100g98円の安い豚ロースブロック。横に平たいですよね。こいつを縛りますと……。

こうなります。ギュッと適当にグルグル巻きつければいいだけです。
今回は醤油ダレで煮込みますし、さっぱり仕上げたかったので下味はつけませんでした。もし、ギュッと中まで味を浸み込ませたいということであれば、塩を振ったり調味料をまぶして置いておくといいでしょう。一日置けば相当味が浸み込みます。
全面を焼く

しっかり焼き色がつくまで全面を焼きます。ガッツリ色をつけて下さい。詳しくは書きませんが、そうするとおいしさが増すからです。あと、煮崩れを防ぐ、余分な脂を落とすという意味合いもあります。
煮る

どう仕上げるかによって煮方が変わります。
オーソドックスなやり方は、普通の鍋なら1~2時間ほどポコポコと煮立っている程度の温度で煮るだけです。ガンガンに沸騰させる必要はありません。煮終えたら、火を止めて冷めるまでそのまま放置します。冷めたら肉を取り出して、ラップに包み冷蔵庫へ。鍋ごと冷蔵庫に入れちゃってもいいですけどね。
チャーシューを単体だけじゃなく、他の料理にも使いたいということであれば、あっさり目に仕上げるのもあり。1時間煮たら、ほんの少し冷まして、肉を取り出しラップに包み冷蔵庫へ。こうすると味の浸み込みが抑えられて、あっさりになります。
低温調理でしっとり仕上げるという方法もあります。70度弱くらいの温度をキープしつつ1時間煮ます。その後、しっかり冷めるまで放置。冷めたらラップに包んで冷蔵庫へ。レアな感じに仕上がるのですが、ある程度、経験があったほうがいいでしょう。こういう類の調理が初めての方は避けた方がいいかもしれません。
いずれにせよ、長時間煮る、もしくはしっかり冷めるまでタレの中で休ませると、味がよく浸み込みます。
なお、圧力鍋を使えば早く煮込めますが、煮込み過ぎに要注意。ホロホロになり過ぎてもいけません。ですから、普通の鍋で十分だと思います。
チャーシューでトロトロなヤツとかめっちゃ柔らかいヤツがありますよね。あれは長時間煮ているからそうなっているわけじゃないです。脂分が多い、もしくは低温で長時間煮ているからです。
寝かせる

上述の通り、冷蔵庫で一度しっかり寝かせましょう。ひと晩、冷蔵庫に寝かせてもいいくらい。しっかり冷やすことで肉が締まります。そうすると切りやすくなります。冷えてないとボロボロっと崩れちゃいます。
この写真のチャーシューは、あえてあっさりに仕上げたので、淡い色合いになっています。
温かいチャーシューを食べたいということであれば、切ったあとに温めましょう。フライパンで温めてもいいのですが、魚焼きグリルやオーブントースター、あるいはバーナーなど直火で炙るといい感じになります。
タレを煮詰める
チャーシュー本体の仕上がり具合、タレの濃度にもよるのですが、もし食べる時にタレをかけたいということであれば、調理に使ったタレをギュッと煮詰めて下さい。
たとえば、チャーシュー5枚なら、お玉一杯分のタレを小さなフライパンに移し、水分量が1/3くらいになるまで煮詰めます。そうすると甘辛い濃厚なつけダレができあがります。ほんの少し冷ますとトロミが出ていい感じになりますよ。
できあがったチャーシューの活用法


上はロース、下は肩ロース。

こちらは豚モモ肉。
酒のつまみとしてもいいですが、晩御飯のおかずとしても十分です。

ラーメンに入れてもおいしい。さいの目に刻んでチャーハンにしてもいいでしょう。いずれもタレを使って下さいね。ラーメンの返しにしたり、チャーハンにまぶしたり。それはそれはおいしくなります。
焼くチャーシューの作り方

ジップロックで豚肩ブロックをタレに丸一晩漬け込みます(冷蔵庫に入れて)。タレは醤油、オイスターソース、砂糖。お好みで酒、みりん、ショウガなどもどうぞ。

冷蔵庫から出して室温近くまで戻し、200度に予熱したオーブンへ。フライパンでじっくり焼いてもできると思います。

表20分、裏20分。けど、これくらいでは色があまりつきません。これはこれでいいのですが……

さらに両面10分追加。これくらいしっかり焼き色がついたほうがおいしそうw
焼けたら、オーブン内でそのまま放置。オーブントレイが素手で触れるくらいまで冷やします。肉汁を安定させるためです。肉が締まり切りやすくもなります。

脂と肉汁がジュワッ。

漬け込んでいたタレを一度沸騰させて煮詰め、焼豚にかければ完成です。

残ったら、大きめにざっくり刻んで、食べる直前にバーナーで炙って、まぜそばの具にしたり。
煮ると焼くどっちがいい?
煮る方が簡単です。時間も短くて済みます。そして、しっとり柔らかく仕上がります(相対的な話)。
焼いた方が縮みます。オーブンがないと作りづらいです。
私は煮る方が好きかな?
備考
正確に計ったことはありませんが、ラップにつつんでおけば、3日は余裕で持ちます。タレも冷蔵庫に入れておけば3日は余裕。本体もタレも冷凍しちゃえば、長期保存も可能です。
チャーシューに限らずですが、肉を煮たり焼いたりする場合、量が2/3ほどになると思っておいて下さい。ギュッと縮むので、その分を考慮して買いましょう。
焼豚、チャーシュー、叉焼、煮豚の違い
ところで、焼豚、チャーシュー、叉焼、煮豚と、いろいろな言葉(料理)があります。何が違うのでしょうか。とてもややこしい話で、しかも不明なことも多いので、よーく読んで下さいねw
まず大前提。中国の「叉烧(ピンイン:chā shāo/チャーシャオ)」という料理があります。皮つきの豚肉に香辛料などをまぶして、専用の炉で焼いたものです。

こちらはマカオで撮影しました。見づらいかもしれませんが、左上に「燒臘」とあります。叉焼をはじめ、鶏や鴨(ガチョウ)などのローストを提供する専門店という意味です。中央に赤い棒状の肉が吊るされていますよね。中華街でも見かけると思います。このように刺して(叉)焼くから「叉焼(チャーシャオ)」。
以下は私の想像が多分に含まれています。ですが、おそらくそう外れた想像でもないと思います。
この叉焼が日本に伝わります。当初はきっと叉焼しかなかったのでしょう。そして、「叉」という字が日本では馴染まないので、豚を焼いているんだから「焼豚(やきぶた)」と呼ばれるようになります。「叉焼」も「焼豚」も内実は一緒ですから、いつからか「焼豚」も「チャーシュー」と言われるようになります。ある意味、当て字ですな。
ただ、日本でこれを作るとなると大変です。専用の炉が必要ですし、香辛料も入手しづらい。そこで、豚肉を(場合によっては焼いた上で)醤油などで作ったタレで煮込んだものが作られるようになります。
これが日本式の叉焼=焼豚=チャーシューの誕生ではないかと。日本では広く、この煮込んだチャーシューが作られるようになり、特にラーメン屋などで提供されるようになりました。今や、チャーシューと言えば、ラーメンに乗っているあのチャーシューです。
ちなみに、この日本式チャーシューは作りやすいということはもちろん、タレをラーメンの返しなどにも利用できるという利点があります。
ところが、時代が進みますと、原理原則に帰ろうとする人が出てきます。
「あのさぁ、ラーメンのトッピングで乗ってるあの豚肉、みんなチャーシューって言ってるけど、本来、中国ではチャーシュー(叉焼)ってのは焼いたものなんだぜ。日本のこれは煮てるから煮豚じゃん」
実際、「揚州商人」というチェーン系ラーメン店にはこのような文言が書かれていました。今はどうか知りませんが。
まあ、言ってることは正しいです。確かに「煮豚」というのが正確でしょう。中国人が日本にやってきて、ラーメンに乗っている"チャーシュー"を見たら、「いや、これは叉焼(チャーシャオ)じゃないってw」と思うはず。
とは言え、じゃあ「ラーメンの上のあいつをチャーシューと呼ぶのはけしからん! あれは煮豚だ!」と主張したところで不毛。主張した結果、日本全国のラーメン屋がチャーシューではなく煮豚と呼び変えるかというと、そんなことはありえないわけでしてw
叉焼、焼豚、煮豚、チャーシューの正確なところを知らずとも、生活で苦労はしません。特に何か問題が生じるわけでもありません。とするならば、私個人としては、
「知識としてとりあえず、叉焼、焼豚、煮豚、チャーシューってのはいろいろ違うと知っといた上で、ま、なんでもいいじゃん。ラーメンに乗ってる豚肉はチャーシュー、それでオーケーオーケー。そもそも、なんでこんなことになったのかすらよくわからんのだしw」
という態度でいたいかなと。そして、いつか本来のチャーシュー=叉焼をオーブンか何かで作ってみようかなぁと。
似た話が「ジェノベーゼ」でもありまして、興味がおありでしたら、ご一読下さいませ。