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モンゴメリー(学芸大学)の豚骨醤油ラーメンは時に優しくて柔らかく、時にガッツリ濃厚。スウィングするモンゴメリーのラーメンは学大の"おふくろの味"

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学芸大学駅から徒歩1分。東口正面にある八百屋・ボラボラの脇の細い路地を道なりに進むとモンゴメリーというラーメン屋さんがあります。2000年12月創業。学芸大学でも屈指の人気ラーメン店です。

※2023年2月6日追記:2021年ごろに閉店していました。追記以上

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「ラーメン専門店」はよくある。けど、「栄養豊富」はあまり見ません。あえてこのひと言を入れるってところに、何かメッセージを読み取りたくなります。そして、「ラーメン専門店」「モンゴメリー」のフォント。変わったフォントなんですが、既視感もあります。なんだろう。昭和の特撮・怪奇系の映画ポスターのような、あるいは……早く店に入れって?w

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カウンター8席のみの小さなラーメン屋です。BGMはジャズ。いつもモンゴメリーに入って感じることがあります。モンゴメリーのスープはとても濃厚なのに、その割には店内がそれほど豚骨臭くないんです。これが不思議。どうしてだろう。

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注文はこのようにして下さい。トッピングを言ってから量を伝えます。私はキャベツ・普通、連れは辛ネギ・普通を注文しました。

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これは以前に食べた、トッピングなしのデフォルトのラーメン(700円)。

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別日に食べたラージャオ中盛り(800円+50円)と炙りバラ普通盛り(+200円)。辛いラージャオは甘いスープを引き締めます。デカい炙りバラはトロトロ・ホロホロで甘みがあって濃厚。

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で、今回のキャベツ(700円+100円)と辛ネギ(700円+150円)。

青磁の丼です。ラーメンをやってた頃のきんちゃんも青磁の丼だったんだよなぁ。ラーメンショップ系家系なども青磁の丼を使っていることが多いような気がします。駒沢大学の家丸も青磁だし。白や黒が現在の主流なんでしょうが、青磁ってのはなぜだか懐かしい感じがしていい。

ん? キャベツはノリが立てられてるぞ。隣の辛ネギはノリが寝てる。単にスペースの問題なのか、たまたまネギの方は倒れただけなのか、あるいは何か意図があるのか。ふふ、ノリ一枚でいろいろ想像を膨らませるってのが、なんとも楽し……早く食べろって?w

久々だなぁ。ラーメン自体を食べる機会がとんと減ってしまったしなぁ。まずはスープをひと口。

「!」

モンゴメリーのスープは豚ゲンコツや鶏ガラなどで作られていて、10種ほどの野菜をブレンドした香味油が使われているのだそう。基本的には豚骨醤油なんですが、記憶していた味とかなり違います。前回はとても甘みが強くてまろやかな印象でした。けど、今回は醤油がかなり強く出ています。豚骨感はマイルドなんですが、味わい自体はガッツリで濃厚。パンチがある。

この差はいったい……。いくつかの可能性を考えました。

  • 日によるブレ
  • 季節によって変えている
  • トッピングによって変えている
  • 年月と共に変化させてきた
  • 単なる私の勘違い・記憶違い

最後はさて置き、どれであってもまったく構わないのですが(むしろ私はプラスとさえ思います)、なんなんだろうな。体調によって感じ方が変わることもあるし、開店直後とスープが少なくなってきた閉店間際では煮詰まり方も違ってくるしなぁ。なんなら、客を見て味を変えるというラーメン屋もあるくらいだし。まあ結局、想像の域を出ないし考えても仕方ないかw

いずれにせよ、今回は醤油が前面に強く出た、濃厚でパンチのあるスープでした。パンチはありますが、変な臭みはありません。そして、単に強いというだけではなく、深みを感じさせてくれます。

コシのあるブリッブリな中太の縮れた麺(手揉みによる縮れ?)はこの濃厚なスープを引き連れ、口内で暴れまくります。デフォでついてくるのが嬉しい玉子は、コクのあるスープをマイルドにしてくれます。チャーシューはしっとりとしていて柔らかく、食べごたえがあります。一瞬サッとお湯に通したキャベツはシャクっとした食感を残し、ピリ辛のネギはいいアクセント。

前回と印象は違うけど、やっぱうまいなぁ。

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卓上に置かれた調味料類。こいつがまた悩ましい。胡椒、ニンニク、唐辛子などに加え、ショウガ、お酢もあります。こうや(矢口渡)も似たようなラインアップ。ラーメンショップ系でもこんな感じのところがあります。今度、しょうがや酢を試してみよう。

※その後、酢を試してみました。濃厚なスープがさっぱりします

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勘定を終えると、こちらから尋ねたわけでもなく、店主はこんなことをおっしゃいました。

「麺は南京軒です。去年、それまで麺を仕入れていた製麺所が潰れてしまって、変えたんです」

武蔵小山の老舗製麺会社・南京軒食品です。閉店してしまったジャンボが南京軒食品の麺でした。なんでわざわざ南京軒食品とおっしゃったんだろう。

確かに気にはなっていました。ギュッギュっと力強く麺を揉んでから茹でている様子をつぶさに見てました。麺の入った木箱もチェックしました。側面に書かれているであろう製麺所名が見えなかったから、少し残念に思っていたのも事実。

けど、私がそこまで考えていたとはわかっていなかったはず。あえて南京軒食品だと言ったのには、何かメッセージが込められてる? 何かのなぞ解きを私にさせようとしてるのか? 単にブログ用にひとつネタを提供してくれただけ? あるいは私の考え過ぎで、他意があったわけじゃない??

くぅ~。「南京軒」というひと言は私を惑わせるに十分なひと言でした。やられたw

店主・福井滋巳さんは島根県松江市出身。ジャズバーで働いていたこともあり、2000年にモンゴメリーをオープンさせました。ジャズギタリスト、ウェス・モンゴメリー(1923年~1968年)に由来する店名だそう。

ウェス・モンゴメリーのつま弾くギターには大きな特徴があります。親指一本で弾くということと、オクターブ奏法です。これらが相まって、とても優しく柔らかい音が奏でられます。

モンゴメリーのラーメンもウェス・モンゴメリーのギターのように優しくて柔らかい――そう書ければキレイにまとまるのですが、今回食べた印象だと、そうは締められないw 確かに以前は甘くて優しい味わいでした。けど、今回はパンチがきいてて、醤油が強くてガッツリ濃厚。はてさて、この記事をどう……。

ああ、そうか。これが"スウィング"ってやつなのか?

決まった分量の豚骨を煮ていても、毎回、同じ味になるわけじゃない。仮に同じになったとしても、まったく同じことがいいとも限らない。豚骨醤油という譜面の中で、日によって(?)その味わいはかすかに揺れる。けど、その揺れによって、前回の味、今回の味、次回の味とアクセントがつき、独特のリズムが生まれます。まさにスウィングです。そして、これが気持ちのいいグルーヴとなり、私たち学大住人は飽きることなくまたモンゴメリーを目指します。

結局、学大住人が戻る味――モンゴメリーは学大住人にとって"おふくろの味"だw

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「学大のラーメンで一番好きかも。豚骨が強すぎなくて、醤油の味がするし」

初めてモンゴメリーを食べた、豚骨ラーメンがあまり好きじゃない連れがそう言いました。そうだね。確かに、福岡豚骨が苦手な人でもこのラーメンなら食べられるだろうなぁ。

学大を代表するラーメン店・モンゴメリー。もしまだ行かれたことがないのなら、ぜひ一度。店内に流れるジャズのスウィングに身を任せ、スウィングする豚骨醤油ラーメンをすすれば、そのおいしさに心もスウィングするはずです。

マスターから聞いたモンゴメリーこぼれ話

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スープの味は日によって変わるとのこと。なるほどやはり。工場で作ってるわけじゃないので、日によって味が変わるのは当然。

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今回はネギにしてみました。スープの味は前回と打って変わって、甘くてまろやか。やっぱりスウィングだ。そして、唐辛子を入れ、そのあとに酢も。

「酢が意外といいですね」

「特に唐辛子と合わせるとおいしいです」

確かに。いろいろな味変を楽しめるのもモンゴメリーのよさだなぁ。

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このステッカーは2020年12月、20周年記念でもらいました。看板と同じ文字・フォントです。昭和の特撮映画のタイトルを彷彿とさせるレトロなレタリング。何かをイメージしたものなのか聞いてみたところ、「看板屋がこれにしてきた」だけとのことw

「当時はダサいなぁと思ってたんですけど、いま見ると、これもいいかなと」

「ええ、とてもいいですよ。レトロな感じがして」

創業当時のことも聞きました。

「ここってもともとは何かの店舗だったんですか?」

「直近は弁当屋だったみたいです。その前はスナック。ウチが入る前は3年で4軒変わったみたいで、オープン当初は『またすぐ潰れるだろう』と言われてました(笑)。オープン時はL字カウンターだったんです。けど、私が通れないから入口側はなくしました」

マスターが指さす先には、当時のカウンターの名残がありました。

モンゴメリーがオープンした2000年当時は、まだまだ閉鎖的と言いますか、地元意識の強い人が多かった街で、「よそ者という目で見られてた」のだとか。そんなモンゴメリーはいまや学芸大学を代表する一軒となっています。

時代はどんどん変わっていくんですねぇ。

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