TODAY'S SPECIAL 自由が丘で「夏の麺」というフェアをやっていました。
そこには約10種の手延べそうめんがラインアップされていて、本村製麺工場の島原手延べそうめん・水晶の光がありました(※1)。
540円/250g。ということは、一般的なそうめんの量・300gに換算すると648円。揖保乃糸は250円~300円ほどですから、これに比べると高額です。ただ、小さな製麺所のそうめんでは珍しくはない価格です。
また、通販で購入しようとすると約1250円(※2)になってしまいます。そう考えると540円も致し方なし。食べたことがないので買ってみました。
※1 水晶の光の両隣の一筋縄 葛入り手延 半生そうめん、大門素麺はレビュー済
※2 公式サイトで購入すると、478円(本体)+770円(送料)=1248円
見ていて楽しくなる商品パッケージです。和紙のような包み紙は手触りもいい。
ここに描かれているのは島原の名所でしょう。温泉岳、温泉神社、須川港、鹿社鼻。鹿社鼻ってなんだろう。Google検索してみても情報が一切ありませんでした。
旭はある種のブランド名のようなもの。と同時に、同社には旭というそうめんもあります。
裏面には「島原手延そうめんの歴史」が記されています。
「むぎなわ」は麦縄。索餅(さくべい)のことです。遣唐使により持ち帰られた唐菓子で、これがそうめんの原型と言われています。
ただ、これがそのまま現在のそうめんになったかというと、おそらくそうではなく、奈良時代以降、中国から手延べ麺の製法が伝わり、日本各地へ伝播していきました。
島原そうめんの発祥に関してはふたつの説があります。ひとつは島原の乱がきっかけとなったという説です。もうひとつは中国福建省から長崎県に渡ってきた人たちによって手延べ麺の製法が伝えられたという説です。
有名な説は前者で、パッケージにもそう記されていますが、どちらかというと後者の方が有力とされています(本村製麺工場公式サイトでは両方の説が紹介されています)。ただ、歴史というのは原因と結果がひとつずつピッタリ対応しているってわけでもありません。両説共に間違いではないということだってありえると思います。
それはさて置き。
開封。甘い小麦の香りが強く漂います。細さは手延べそうめんとしては普通ですが、バラつきがあります。手延べだからこそこうなります。そしてそれは悪いことではありません。
茹で時間は1分半~2分半とあります。この細さなら1分半で十分でしょう。
流水で洗っている最中から感じていたことですが、見た目にもピンとした強い張りがあります。
ひと口目で驚きました。これは……。
そこまで多くのそうめんを食べ比べていない人は「コシが強くておしい」と普通に思うでしょう。けど、そうめんマニアから言わせると、そんな生ぬるいものじゃありませんぜ。
確かにコシは強いのですが、たとえば三輪素麺などで感じるコシとはまるで違います。というか、このコシは初めて。
普通の細い手延べそうめんはプチプチっと弾けるような歯切れがします。けど、水晶の光のコシは、どちらかというと小豆島のちょっと太めの手延べそうめんに感じるコシです。ベクトル的にはムチッとしたコシ。ただ、水晶の光は細いです。細いのにこのコシというのが珍しい。
説明するのが難しいのですが、太めだけどコシのあるそうめん、あるいはコシの強いうどんでもいいでしょう、そうした麺のコシではあるのですが、細いのでギュッと圧縮されている感じがします。ムチっとした弾力がみっちりと圧縮されたようなコシ。
もうひとつ特徴的なのは風味です。小麦の甘みがとても強い。その甘みは塩で引き立っているようにも感じます。
いやー面白い。こんなそうめんがあるんですねぇ。驚きました。
特にこだわりなくそうめんを食べてきたという方はいきなり水晶の光を買わず、できれば以下のようにするのがおすすめです。
まず揖保乃糸を食べてみて、手延べそうめんのスタンダードを知る。次に三輪素麺で細い手延べそうめんの強いコシを味わう。そして小豆島や半田の太めの手延べそうめんで、ムチっとした弾力を体験する。
その上で水晶の光を食べてみてください。そうすれば、単においしいというだけではなく、水晶の光の特異性もわかると思います。
他の細い手延べそうめんとは一線を画す独特なコシ。甘みが前面に出ている豊かな風味。おいしくて興味深い逸品でした。星5。
名称 | 水晶の光 |
原材料名 | 小麦粉(国内製造)、食塩、食用植物油 |
製造者 | 本村製麺工場 |
評価 | ★★★★★ |