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大衆酒蔵 浅野屋(学芸大学)で過ごした何気ない夕刻~私的居酒屋流儀

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※追記:浅野屋は2016年6月30日に閉店しました。追記以上

学芸大学でもっとも有名な居酒屋は、もしかしたら大衆酒蔵 浅野屋かもしれません。テレビや雑誌でも取り上げられていますし、吉田類氏も訪れています。

昭和41年開業ということは約50年ですか。源平に次ぐ老舗です。そんな浅野屋には何度かうかがっています。今回、久々に行ってきたのですが、浅野屋をいまさら普通に紹介しても面白くありません。ですから、はなはだ僭越ではありますが、普段、私がどんな風にして居酒屋をめぐっているかを紹介しつつ、浅野屋の雰囲気をお伝えしようかと。

一人で居酒屋に行ったことがない、居酒屋に入るのはちょっと勇気が必要、そんな風に思っている方のちょっとした参考になれば幸いです。

1.カウンターに座る

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一人ならもちろん二人でも、初めて行く居酒屋であれば必ずカウンターに座ります。そうすれば、お店の方やご常連とも話ができます。できれば、ご常連の近くがいい。一人ポツンと座るのはいけません。

今回はご常連がコの字カウンターの片側に隙間なくズラリと並んでらっしゃったので、反対側に座りました。ちょっと残念。

2.最初の一杯を迷わない

席に着き、どれにしようかとあれこれ悩むのは無粋。なんでもいいので一杯目はパッと頼んじゃいます。私の場合は基本的に瓶ビール、ホッピー、レモンサワーあたりを注文することにしています(ビールは瓶に限る!)。

席に着き、お母さんが「いらっしゃいませ」とおしぼりを持って来ます。すかさず「ホッピー白お願いします」と注文。

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浅野屋のホッピーはジョッキに並々と焼酎が注がれています。少し飲んではホッピーを足し、ちょっと口をつけてホッピーを足し、を繰り返します。相当な量なので"中"のおかわりはしません。1セットですべてを飲み切りました。

余談ですが、浅野屋で瓶ビールを頼むと小さなコップが出てきます。これが正解です。背の高いタンブラーを出すような店はいけませぬ。

3.一杯目を頼んだら焦らず、店内を観察

一杯目を注文したら、そこからはじっくりと店を観察します。どんな飲み物、料理があるか、どんなお客さんがいるか、ご常連たちは何を頼んでいるか、お店の方はどんな方で、どういう動きをしているか、など。観察すべきことは無数にあります。

浅野屋の面白いところは、マスターとお母さんのポジションチェンジです。普通はどちらかが厨房、どちらかがホールと担当がわかれています。しかし、浅野屋は基本的に料理はマスターですが、二人が入れ替わり立ち替わり、注文を取ったり料理を運んだり会計したりします。この様を見ているだけで楽しいです。

4.ご常連が頼んでいるものを頼む

食事はできればその店の特徴が出ているもの、店がちゃんと手をかけて作っているもの、名物とされているものを選びます。よくわからない場合は、ご常連が何を食べているかを見ます。ご常連が頼んでいるものなら間違いはないはず。

今回はわかりやすい。大衆酒場のコの字カウンターには煮込みの寸胴が置いてあることがしばしば。ここ浅野屋もそう。そして、浅野屋といえば牛もつ煮込み。もちろん頼みます。

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大衆酒場らしい味噌の濃厚な味付け。牛モツはトロトロでお酒が進みます。

今回は注文しませんでしたが、若め(といっても私より年上ですが)のご常連はみなさん串カツを頼んでらっしゃいます。隣に来た串カツを見ました。巨大な串カツが2本。デカイな。これだけでお腹いっぱいになりそうです。

5.ベストタイミングで注文する

居酒屋好きの腕の見せ所。お店の方の動きを観察し、手のあいた瞬間を見計らって「すみません」と声をかけます。「はーい」とササっと来てくれたら勝ち。「少々お待ち下さい」なんて言われたら反省w

6.お店の方に話しかける

居酒屋の面白さはコミュニケーションにあります。まずはお店の方と話をします。話の内容はなんでもいいです。「暑いですねぇ」でも「賑わってますね」でも「こちらは何年になるんですか?」でも「かわいいですね」でもw

忙しく動き回っているお母さん。タイミングを見計らい話しかけました。

「あの金魚、すごいですね。何年生きてるんですか?」

とてつもなく大きな金魚がいるので、こんなことを聞いてみました。

「もう10年かな。すごいわよね」

「すごいですね、そんなに生きるもんなんですねー」

注文を促す声がかかり、お母さんはあっちへ行ってしまいました。

なんてことはない会話ですが、ひと言でも会話をすることが重要です。特に一見であれば。こちらも緊張しているかもしれませんが、あちらにとっても同じこと。常連の多い居酒屋であればなおさら、一見が来たら「誰だろう」「前に来たことある人かな」とお店の方はいろいろ考えます。ちょっとでも話すことで、お互いの緊張がほぐれるのです。

7.ご常連に話しかける

できるだけご常連ともコミュニケーションを取るようにしています。60歳以上くらいのご年配がいいかな。ご年配はみなさん、まあとにかく話すのが好きですからw

最初のとっかかりはなんでも構いません。

「暑いですね」「白鳳強いですね」「あの飛行機、どうしたんでしょうね」「それおいしそうですね。僕も頼んでみようかな」「このあたりにお住まいですか?」「ここはもう長いんですか?」

今回はコの字カウンターの対岸のご常連とひと言ふた言、言葉を交わしました。

「遊覧を禁止してるったって、実質的にはみんなやってるんでしょ」

NHKニュースにそう突っ込むお父さん。

ですよねー、といった表情で頷き、お父さんのほうを見やると、目が合いました。「ねぇ」とお父さん。

今回は席位置がよくなかったので、あまり話せませんでしたが、普段は隣のご常連とあれこれ話してます。そんなことをしていたら、時には「お兄ちゃん、一杯飲むかい?」なんてごちそうしてくれたりも。こういう場合は断ってはいけません。「ほんとですか? じゃあ遠慮なく。ありがとうございます」と頂いちゃいます。こういう店の若輩はおごられ上手でもなきゃいけませぬ。もう若輩って歳でもないんですけどね(^^;

なお、ご常連が先に席を立ったら「おやすみなさい」「いってらっしゃい」、こちらが先に出るなら「お先に失礼します」と軽く挨拶をするようにしています。また、お店の方には必ず目をやり「ごちそうさまでした」と言って店を出るようにしています。

8.酒も腹も八分目

初めて行く居酒屋で目いっぱい飲んで食っては避けるようにしています。過度な酔いは粗相につながりがちです。ちょっと足りないくらいがちょうどいい。その不満足感は次回への楽しみにもなります。

9.千円札を用意しておく

こうした居酒屋は安いです。2000円、3000円程度。なのに一万円札を出しているようでは、居酒屋マナーにもとります。細かいお金をちゃんと持って行くようにします。

10.気に入ったら間を開けずに行く

今後も通いたい、常連になりたいと思ったら、次の日にでもまた行くようにしています。二日連続で行けば、顔も覚えてもらえるので。数週間開けてまた行ってでは、いつまで経っても覚えてもらえません。

私の場合、浅野屋はたまに行くくらいなので、そういうことはしませんでしたが、ボトルを入れているような店、たとえば、さいとう屋や味心なんかは2日、3日と連続して顔を出しました。そうすることで、スッと店に早く馴染めます。

私はこうして居酒屋めぐりをしています。いい店、いい人にたくさん出会い、そのつながりがまた違う店へと誘います。さて、次はどこへ行こうか。いや、「さいとう屋」にも顔を出さないといけないしな。あ、「信八」にもちょっと用があったんだ。

みなさんもぜひ、"自分の居酒屋"を探してみてください。学大ライフがより一層楽しくなると思います。

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