西小山駅から徒歩3分。西小山駅のロータリーから南西に伸びる通りを真っ直ぐ行き、最初の十字路を左へ見やるとすぐそこにあるやきとん道場 三鶴(みつる)。以前、丸東へ行った際、途中で見かけ気になっていました。
やきとん道場 三鶴は昭和40年創業。吉田類氏も『酒場放浪記』で訪れたことがあるそうです。キレイな外観ですが、たぶん一度改装が入っているだろうな。と思ったら、ちょい違いました。西小山駅の再開発で駅近くからここに移転してきたのだそう。7年ほど前のことかな?
移転前は年季の入った店内でしたが、今は広くてとてもキレイです。大きなコの字カウンター。やきとん道場というよりも"やきとん劇場"とでも言いたくなる感じですw
昔はヤンチャだったんだろうなぁと思わせるマスターにホッピーをお願いしました。何気にホッピーは久しぶりだ。
ほぉ。三冷! 私は三冷主義者ではありません。氷入りもぜんぜん許容できます。けど、やっぱ三冷はうまいですねぇ。
こちらがお通し。生の玉ねぎをザク切りにして、ちょっとダシの香る醤油に浸しています。なんじゃこれ。メチャうまじゃん。
カウンターには常連さんが5、6名。埋まり具合は3割といったところかな? いい調子で飲んでらっしゃいます。
とりあえず、焼きとんをお願いしました。
カシラ、コブクロ、シロ。カシラは柔らかく、いろいろな部位が混ざっています。コブクロはブリっとした産後のコブクロ。シロはムチッ。炭火で焼かれた焼きとんは、どれも香ばしくてふくよかで、辛めのタレと相性バッチリ。とてもうまい。
それほどメニューはありません。ホワイトボードに書かれている炒め物もおいしそうですが、マカロニサラダをお願いしました。持って来てくれたママさんは、マスターの奥さま。お二人はこの店の二代目とのことです。
なかなかの量。コーン、ニンジン、キュウリの食感がいい。トロっとしたマヨソースもいい。酒が進むうまいマカロニサラダです。
「昔は長い米だったんだよ」
「パッサパサでねぇ。あれを芋と混ぜてさ」
70代のお父さん方が、配給の話をしてらっしゃいます。常連さんの半分くらいはツケで帰って行きます。不思議なのはお勘定。お店の方は一切、メモを取りません。お酒は全部暗記して、皿と串の数で計算しているようです。すごいなぁ。ちょっと違うけど、昔の「香月(かづき)」(恵比寿)を思い出しましたよw 麺堅めだとか濃い目だとか、ややこしい注文を全部暗記するのが名物でした。
続いて注文したのは煮込み。
おおお。豚の白モツかと思ったら牛でした。牛スジなんですが、ホルモンのようなものも少し混ざっている気がします。なんだろうこれ。小腸? いや違うな。アキレスでもないしなぁ。まあいいや。甘くて濃厚。激うま。最近食べた中ではダントツだな。やばいこれ。
二杯目のレモンサワーを飲み終え会計をしてもらいます。うん、串と皿を数えてるやw
一見への気遣いなんでしょうね。マスターは私に対してはすっごく柔らかい笑顔で対応してくれました。優しい人だなぁ。西小山に住んでたら、まず間違いなく行きつけにしてます。さすが名店。その実力はダテじゃありませんでした。
潰れる店もあれば、こうして長く続く店もある。マスターもママも若いし、ここはまだまだ大丈夫そうだ。
SHOP DATA
- やきとん道場 三鶴(みつる)
- 東京都品川区小山6-5-13 ファミリスタ1F
- 03-5498-1237
- 公式
消えゆく老舗
目黒通りの清水交差点から清水稲荷通りを下ります。居酒屋・いつもの処へ行くために。
え……。最近まであった看板が取り外されています。椅子が粗大ゴミとして表に出ています。まじかぁ。もっと早くに行っておけばよかった……。
そのまま武蔵小山方面へ。もう一軒、気になっていた店に向かいます。南西に伸びるパルム商店街を抜けた先にある焼きとん屋・とりき(鳥㐂/鳥喜)へ。
え……。ガランとした店内にはバイクが停められていて、若い男性が二人、話してます。
「とりきは……潰れちゃったんですか?」
「そうなんです」
茫然。なぜもっと早くに行かなかったんだ。後悔の念に苛まれます。
うん。寂しいし残念だけど、しゃーない。いつかは潰れる、それが店。気を取り直して西小山へと向かい、そして三鶴へとたどり着いたのでした。