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洋食屋・巴里っこ(武蔵小山・西小山)のランチは大人のお子様ランチ。ハンバーグ、カニクリームコロッケ、カレー、スパゲッティと種類が豊富。地域に愛される老舗にはゆったりとした穏やかな時間が流れていました。

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武蔵小山駅、西小山駅から徒歩15分。学芸大学駅からは20分ほどかかりますが、目黒本町、碑文谷あたりにお住まいであればすぐ。円融寺通りに巴里っこという洋食屋があります。

1989年創業。2010年8月7日、建て替えのため一時閉店。2011年2月7日に再開。ですから、20年以上の老舗ではありますが、建物も店内もとてもきれいです。

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もちろん存在は知っていましたが、なかなか行くきっかけがありませんでした。ところが。

「ひろぽん、巴里っこって知ってる? ランチがすごいんよ。巴里っこランチというのがあって、ハンバーグとかコロッケとかがセットになっててさ。今度、一緒に行こうよ」

と、天ぷらカブの平田君。いや、キミもランチやってる人間だろ。いつ一緒に行けるんだよ。予定合わせづれーよ。そんなわけで一人で来ちゃいましたw

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こざっぱりとした店内にはカウンター席とテーブル席。ゆったり落ち着いた雰囲気です。いらっしゃったのは調理担当のご主人とフロア担当のママさん。

なんせ店名が巴里っこですから、フランスで修行されたことがあるか、あるいは日本のどこかのフレンチでやってらっしゃったかでしょう。ホテルで修行していたというのもよくあるパターンか。どういう経歴をお持ちなんだろうな。威厳のある料理長、そんな面持ちのご主人です。

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ランチメニューはこんな感じ。日替わりランチ回数券か。面白いですねw ささっと一瞥して、迷うことなく「すみません、巴里っこランチをお願いします」。

私が口開けでした。直後に入ってきた若めの男性は「巴里っこ」と注文。その次に入ってきたお父さんは「日替わり」と言いつつ、日替わりランチ回数券を買うべく、9000円を奥様へ。そして、おそらくは食後に出されることが通例のコーヒーが、何も言わずとも自動的にお父さんに出されました。みなさん近隣のご常連でしょう。

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テーブルには金属製の箸が用意されていました。まさにこれが日本で独自に発展してきた洋食屋の正装。コロッケ、ハンバーグ、エビフライなどなど、洋食の多くはライスに合わせます。だから箸。

参考/wikipedia:洋食

ペチッペチッペチッとハンバーグのタネを両手でキャッチボールする音。チリチリと油の音。シャッシャッシャッと鍋・フライパンとコンロがすれる音。ちょうどその時のBGMはムーンリバーのインストでした。穏やかなダイニング。

「お待たせしました」

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ふふふ。思わず笑みがこぼれます。ワンプレートに豚のしょうが焼き(ポークジンジャー)、ハンバーグ、蟹クリームコロッケ、パスタ、サラダ。これはまさに大人のお子様ランチ。僕らはいくつになってもハンバーグが好き。コロッケが好き。

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しっかりと焼かれた豚のしょうが焼きはガーリックがきいています。下に敷かれたパスタにしょうが焼きの味が移ることが計算されているのかもしれません。

ハンバーグの肉は豚肉が多いような感じがします。肉にも甘みがあるのですが、かかっているソースも甘めです。人によっては家庭的と評したくなる味わいじゃないでしょうか。

蟹クリームコロッケはほのかなカニ風味。ビシッと塩のきいた濃厚なクリームがサクサク衣とランデブー。

しょうが焼き、ハンバーグ、蟹クリームコロッケが一度に楽しめる巴里っこランチ

10才、いや5才若ければ、ライスを大盛りにしていました。大盛りどころじゃないな。この倍量はほしいところ。そうでなきゃ間に合わないおかずの量・パンチです。けど、これくらいがちょうどいいと感じたのは、私が歳を取ったということか。

なるほど。地域に愛されている洋食屋。その店名を冠したランチメニュー、巴里っこランチ。確かにこりゃいいや。

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カウンターに座っているご常連のお父さんは、日替わりランチを半分ほど食べ終えた頃合いに「おみやも」。ママさんは容器に食事を詰め始めました。体を悪くして外に出られない奥様の昼食用にテイクアウトするのかな?

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食後にやってきたアイスコーヒーには、柄の長いマドラー的スプーンが突き刺さっていました。お店のかわいらしい雰囲気と、この無骨さのギャップがなんとも面白いw もちろんたっぷりとシロップ、クリームを加えます。たるったるになったアイスコーヒーを飲み干すと、ちょうどお腹いっぱいに。

「ごちそうさまでした。おいしかったです」

そう言うと厨房でフライパンを振っていたご主人が振り返り「ありがとうございました」とおっしゃいました。ああ、この感じ……。界隈でもっとも好きだったとんかつ屋・御代鶴がそうだった。人生でもっとも多く食べ、もっとも愛しているラーメン屋・らーめん山田もそうだった。

※御代鶴もらーめん山田も閉店

職人肌で、普段は寡黙なんだけど、調理中でも必ず振り返り「ありがとうございました」と応えるご主人たち……。商売じゃないんですよね。

考えてみて下さい。巴里っこはランチメニューが16種類もあります。ここまでやりますか? 手間のことを考えたら、少なくともカルボナーラはやらないでしょう。僕なら絶対やらないw てか、できない。

昼だけではなく夜もあります。さらに、洋食は営業時間外の仕込みも大変です。厨房はたった一人。

なぜここまでできるかというと、心の底からおいしいものを食べてほしいと思っているから。おいしい料理で喜んでもらいたいから。「ごちそうさまでした」と言うお客さんの笑顔が見たいからでしょう。もし、商売のことを第一に考えていたら、むしろこんなにメニューを用意しません。

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学芸大学ならベジタブルキッチン ボラボラレストラン サンライズくらいでしょうか。こういう老舗洋食屋って、ゆっくりとした時間が流れてて、なんだか心地いいじゃないですか。その温かさは店主たちの愛によって生み出されているんでしょうね。そんなことを改めて感じさせる巴里っこでした。

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店には小さな駐輪スペースもあります。ちょいと自転車を飛ばして行ってみてはいかがでしょうか。

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