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鮨つね(三軒茶屋/中里通り商店街)の寿司は気前がよくて男前。惜しみない質、量、手のかけ方で、なのにリーズナブルです。

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三軒茶屋駅から徒歩6分。駒沢大学駅から徒歩15分弱。学芸大学視点で言うと、東京学芸大学付属高等学校付近にお住まいであれば徒歩15分ほど。中里通り商店街の世田谷観音通り(旧明薬通り)寄りに鮨つねというお寿司屋さんがあります。2016年12月14日にオープンしました。

工事をしている時から何ができるんだろうと思っていて、寿司屋ができたのも知っていたのですが、正直、特別な感慨はありませんでした。「へー、お寿司屋さんができたんだ」くらいなもの。だけど。

12/15 (木) 晴れ 昨日、『鮨つね』オープン致しました。 10代の頃からお世話になってる先輩が三軒茶屋にて独立。 そんな記念すべき初日を先輩の隣で握らせて頂けるとは。 感無量です。 小僧の頃にミソクソにして頂いたのはいい思い出と最高の酒の肴。 僕、伊藤剛が接客・仕込み・握りが確立されているルーツとなる方。 より良い鮨屋にするべく、またさらに追求心探究心好奇心を爆発させていくことと思います。 切磋琢磨する先輩を見習い、又更に自分も日々精進致します。 誰よりも商売繁盛を願って応援してますので出来ることがあったらなんでも言って下さい。 本当におめでとうございます。 あ、自分は1日限定復活だったので普段は中目黒やまやで働いてます。 タイミングがあればこっそり鮨つねで握ってるかも… 最高の立会いに感謝。 料理とは、愛情。 鮨つね 〒154-0011東京都世田谷区上馬1-33-10 カサ・デ・三軒茶屋1階 03-5787-6535 #鮨つね

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浅草の寿神 ふた川で長く板前をしていて、その後、中目黒のやまやで働き、現在は学芸大学・中目黒のひとひらで腕を振るっているいとぅーのインスタグラムをたまたま見て、まじかと。じゃあいつか行ってみよう、そう思っていました。

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ただ、その日は特に食べに行こうと思っていたわけではありません。偶然、前を通りかかるとランチをやっていて、何気なく表のメニューを見たら「づけまぐろ丼 650円」とありました。へぇ、こういう店なのに安いじゃん。スマホの時計を見たら、ランチのラストオーダー・13:30の5分前。急いで店に入りました。

「ランチ時間ギリギリですが大丈夫ですか?」

「はい、どうぞ」

「づけまぐろ丼お願いします」と告げ、リュックを下ろしつつ、カウンターにあるメニューを改めて見ます。うっ。ううう。

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「あ、すみません。やっぱり日替わりにぎりで」

「9貫にしましょうか、13貫にしましょうか」

「13貫で」

席に着き、供された熱くて濃厚なお茶を飲みながら、ゆっくりと店内を観察します。

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奥は店主の久恒正行さん

大きな白木のカウンター、背後には座敷、壁はシックな黒。とてもキレイにまとまっているのですが、気取り過ぎない雰囲気がいい。お寿司屋さん、特に一見で入る店って緊張するじゃないですか。けど、ここにはそういう感じがありません。落ちつきます。

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店員はえらい男前の(おそらく)店主、メガネ君(勝手に命名)、なんだかかわいい、独特な笑い方をする女性スタッフ。店主の奥さんだったり? 客は常連と思しきお父さんが一人いらっしゃいました。

メガネ君が手際よく、ポンポンと握ってくれています。

「お待たせしました」

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おおお。こりゃすごい。見た目が豪華。

「味噌汁です。アラなので熱くなってます」

ほう。なるほど。

下処理をするとはいえ、アラはどうしても魚臭さが残りがち。おそらく、普通の味噌汁よりも熱めに仕上げることで、臭みが和らぐのでしょう。たぶん、この言い方はそんな感じ。実際、臭みなどまるでなく、しっかりとした味付けで甘みがあり、とてもおいしいアラでした。勉強になるなぁ。

※追記:後日、信頼できる職人さんに聞いてみました。やはり、臭みを飛ばすためだろう、と。ただ、その方の好みではあるのですが、アラに限らず基本的に味噌汁は熱い方がおいしいとも言っていました。ちなみに、塗りの椀を使う場合は塗りがダメになるので熱くし過ぎるのはよくないのだそう。勉強になりました。追記以上

さて、寿司です。大いに悩ませます。何からいくべきだ? あまり悩むのも行儀が悪い。ええいとコハダをパクリ。いやぁ、うまい。

ネタはボリュームがあります。シャリもほどよい量。箸でしっかりつまめるのですが、口に入れるとシャリがほどけていきます。ネタとシャリのバランスがちょうどいい。メガネ君、やるじゃないかw って、ここでこんな風に握れるくらいなんだから、彼も相当のキャリアがあるはず。立派な職人をつかまえてメガネ君呼ばわりも失礼か。けど、なんかそう呼びたくなる親しみやすさがあってねw

カンパチ?と鯛はヅケです。第一義的には店側の都合なんでしょうが、結果としてバリエーションが出て、とてもいい。マグロにネギを乗せているのも面白い。

別に必ずそうしなきゃいけないってことではないと思うんです。些細なことかもしれない。食べる側は気にも留めないようなことかもしれない。けど、そこにひと手間かける。これが職人なんだなぁ。

軍艦も強く印象に残りました。ネギトロも赤貝もイクラも、想像以上にボリュームがあり食べごたえがある。イクラをこれだけ乗せてくれるのは嬉しいです。

寿司屋は夜が本番です。寿司屋のランチの裏事情もまったく知らないわけじゃない。寿司ランチにあれこれ言うのも野暮ですが、でも、「さすがにこのランチはどうなのよ」って感じることありません? ちょっといい加減すぎるだろうと。ネタはよくないし、量も少ないし、握りも適当だし、それでこの値段取りますかと。

けど、鮨つねのランチ握りはそうじゃない。見た目もそう、ネタの切り方もそう、手の加え方、量、値段もそう。気前がいいんだな。セコくない。ここまでやってくれるのか、夜も絶対いいんだろうな。そう思わせてくれます。このクオリティ、ボリュームで1080円はかなりお得です。

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個性的なお店や老舗が軒を連ねる中里通り商店街。そこに鮨つねといううまい寿司屋ができて、さらにNATIVO(ナティーボ)というバケモノも本格オープンします。

ちょいと厳しい時期もあったとは思うんです。CO.COのママさんも言ってたし。「この辺りは大変よぉ」って。だけど、こうして新しいお店もできてきて、再び賑わいを取り戻そうとしています。いい商店街だなぁと思うのと同時に、この商店街にやって来たお店に「よくぞ」と敬意を表したくもなり。別にわたしゃ関係者でもなんでもないのですがw

それはさて置き鮨つね。昼はテイクアウトもできます(夜も?)。私の記憶が確かなら、夜はつまみ等を含むコースで4000円、5000円くらいだったような。界隈に寿司屋はそれほどありませんから、機会があればのぞいてみてはいかがでしょうか。ランチでこのクオリティですから、夜も間違いないはず。男前な握りにきっと満足できると思いますよ。

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