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マルニハム(学芸大学・祐天寺)はソーセージ・ハムの工場兼直売所。ウソみたいに安くてウソみたいにおいしい!

マルニハムはあの名店も御用達!

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祐天寺駅から徒歩5分強、学芸大学駅から10分強。駒沢通り沿い、デニーズ祐天寺店のすぐ近くにマルニハムというお店があります。ソーセージやハムなどを製造・販売している工場兼店舗/直売所です。

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2022年2月に24時間稼働している自販機が設置されました。

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1階が工場で、この階段を昇ると

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こじんまりとした店舗。日によっては行列ができるほどになります。大人気店。

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店内には冷蔵ケースがふたつあり、ソーセージやハムがびっしりと並んでいます。

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まず驚くのは値段です。100円台、200円台がメインで、高くても300円台。店頭にいらっしゃった女性にちょっとお話をうかがいました。

「安いですね」

「そのままの値段(卸し値)でやらせてもらってます」

「これだけあると悩むんですが……。人気のものってありますか?」

「よく聞かれるんですけど、どれというのがなくて(笑)」

「万遍なくどれも人気なんですね(笑) ひとつうかがいたいのですが、祐天寺にばんってありますよね。もつ焼きの。そこのメニューにチョリソーがあるんですけど、もしかして……」

「はい、ウチのです。いま手にしてらっしゃる(笑)」

「やっぱり(笑) 『工場直送』って書いてあったから、このあたりで工場といったら、絶対こちらだろうなと。おいしいですよねぇ」

「ありがとうございます(笑)」

ふふふ。これに気付いている人間はそういまいw

「こちらはどれくらいになるんですか?」

「この形を始めたのは震災後で、ここに来てからは20年くらいです。その前は精肉店だったんです」

おっと。お客さんだ。本当はもっと話をしたかったのですが、会計を済ませます。

「保冷剤お入れしますか?」

「お願いします」

「ありがとうございました」

「ありがとうございました」

マルニハムの歴史

帰って詳しく調べてみました。

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画像転載元/マルニハムFacebookページ(下写真同)
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創業者・新飯田二夫さんは日進ハム(※1)に就職。精肉の知識を得つつ、ハム・ソーセージの製造・販売で経験を積み、1967年(昭和42年)に27歳で独立。学芸大学駅近く(※2)に丸二精肉店を開業しました。

ハム・ソーセージがおいしいと評判になり、全国の企業やレストランに加工肉を卸してきたのですが、近隣にスーパーができて精肉の売り上げが激減。1990年(平成2年)にハム・ソーセージを主力とするFKマルニハムとなりました。

2000年(平成12年)に現在地へと移転し、家族経営のお店となります。そして2011年、震災で食料品が不足する中、冷蔵庫の商品を近隣の方々に提供したことをきっかけに、今のような小売店となりました。

なお、現在、工場長を任されているのは娘さん。家業を継ぐにあたり、本場・ドイツでソーセージ作りの勉強をしたそうです。

※1 日進ハムは日進畜産工業株式会社の通称のようなもの。麻布のスーパー・日進ワールドデリカテッセンの運営会社でもあります

※2 丸二精肉店/FKマルニハムは手打蕎麦 いしおかの場所にありました

参考/東京都食肉事業協同組合公式サイト「おいしくお肉を食べようよ!」:(株)マルニハム

食べ比べて一層よくわかったマルニハムのおいしさ

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こちらが買ってきたもの。安いからいっぱい買っちゃったw これ全部で1166円! 左上からローズポーク岩塩ソーセージ、スモークチョリソー、ゲブルツソーセージ、ブロックベーコン、モルタデッラ。

ローズポーク岩塩ソーセージだけ生肉製品です。他はすべて加熱食肉製品。加熱食肉製品はそのままでも食べられるとおっしゃっていました。

いやぁ、食べる前からなんだかワクワクしますなぁw

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スモークチョリソーとゲブルツソーセージ。肉がしっかりと詰まっています。噛むと皮(羊の腸)がパツッと弾けます。おいしいなぁ。

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ブロックベーコンは

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こうして

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こう! ナスとベーコンのトマトパスタ。うーん、おいし……あっ!

あああ、わかった。

ソーセージもそう、ベーコンもそう。スーパーでよく売られている普通のソーセージやベーコンとまるで違います。

市販品ってフレーバーが強くつけられているじゃないですか。マルニハムのソーセージ・ベーコンはそれがないので、しっかりと肉の味、香辛料(スパイス)の味がするのです。特にベーコンでそれを感じました。

なるほどなぁ。肉本来の風味がしっかり出ているからおいしいんだ。

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後日に作ったカルボナーラでも、ベーコンの力強さを感じることができました。やっぱおいしい!

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モルタデッラはいわゆるボローニャソーセージなんですが、これもやばいです。止まらない。この味を支えているのはきっと塩味。塩の加減が絶妙すぎる。そして塩が肉(豚・牛)のうまみを引き立てています。

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たまたま普通のハムが冷蔵庫にあったので、モルタデッラを食べた直後に食べてみました。うっ、甘っ! 原材料を見たら糖類がガッツリ使われています。風味はいかにも調味料でつけました、という感じ。もちろん、これはこれで構わないのですが、マルニハムを食べた直後だと、その人工的な味わいがすごく気になってしまいます。

当たり前だけど、ぜんぜん違うね。

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ローズポーク岩塩ソーセージはホットドッグにしてみました。パンはパンの田島で購入。プレーンのカットされてないコッペパンだけでも売ってもらえます(120円)。

ローズポーク岩塩ソーセージは脂があって甘みがあり、ガッツリ。食感もいいですし、食べ応えがあります。うまっ。濃厚だから、こうしてパンに合わせたり、酸味のあるマスタードと合わせたのも正解でした。

ボイルして焼くのがいいと教わったのですが、これはボイルだけ。私はおいしく頂けましたが、脂が苦手という方は焼いたほうがいいかもしれません。ケーシング(皮)に包まれているとはいえ、少しは脂が落ちると思います。

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翌日、MEGURO Maruei(丸栄ベーカリー)でパンを買ってきて、スモークチョリソーとゲブルツソーセージをホットドッグにしてみました。

なるほど……。

スモークチョリソーとゲブルツソーセージは肉感があるとはいえ繊細。もちろんおいしいのですが、ここまでしてしまうと、そのよさがわかりづらくなりました。こうするのであれば、市販のよくあるソーセージでジャンクにするか、あるいはローズポーク岩塩ソーセージのようにパンチのあるソーセージを使うべきでしょう。

スモークチョリソーとゲブルツソーセージはぜひ、そのままで食べて下さい。そのままが絶対にいい。

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あまりにおいしかったので、すぐさまマルニハムを再訪。ハーブ&レモン、チーズ&ほうれん草のソーセージとソフトサラミ。

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どれも肉々しくておいしい! なお、写ってるパンはTRASPARENTE(トラスパレンテ)

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別日の生ハムと黒豚ソーセージ。

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生ハムは一般的にイメージされるそれとは少し異なります。しっとり、ねっとりで生肉感が満載。おいしいですし私は好きですが、この感じは好き嫌いが分かれるかも?

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黒豚ソーセージは真空パックのままボイル。肉のうまみ、脂の甘みがたっぷりで、噛むと皮がブチッと弾けて脂がジュワッ。変に強い味付けはされていなくて、ナチュラルなおいしさです。これは誰もがおいしくいただけるはず。

マルニハムのソーセージとハム

もちろん、どれもおいしかったです。けど、おいしいという以上に、優しさや温もり、穏やかさを感じさせてくれる商品でした。地域の人たちに喜んでもらえるものを丁寧に作ろう、そんな気持ちが伝わって来るようです。

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ウソかと思うほど安いです。ウソかと思うほどおいしいです。ぜひ一度、マルニハムに寄ってみてください。そして、どれにしようかと大いに悩んでください。ま、どっちか悩んだらどっちも買っちゃえばいいさ、安いんだしw

SHOP DATA

マルニハムのマルニって何だ?丸二と屋号の話

丸+数字はセリの名残

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丸二といえば、丸二青果。中目黒(東急ストアの前)、中延、池上などにあります(全国にある)。昔はある種の"チェーン"だったようですが、今は互いに関係はないようです。

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西小山にはマルサングループ 安信屋という八百屋がありますね。マルサンは丸三のことです。

丸二に丸三、一体これらは何でしょう? 実は昔のセリが起源となっている屋号なんです。

昔々、セリの入札をする際、札に自分の名前や屋号を記して目印としていたのですが、いちいち名前や屋号を書くのは面倒です。あるいは、そもそも明治以前は名字を持たない人がほとんどでした。

そこでどうしたかというと、各人に"記号"(印)を割り振りました。たとえば、

  • カネ/矩(┐)
  • マル/丸(〇)
  • ヤマ/山(∧)

といった記号に一、二、三を加えて、カネイチ、カネニ、カネサン、マルイチ、マルニ、マルサン、ヤマイチ、ヤマ二、ヤマサンといった具合です。

識字率という問題もあったでしょうね。文字が読めない人もまだ多かった時代、簡易な図形と数字を組み合わせて、誰でもわかる屋号にした、と。

それはともかく。

漢数字の「ニ」を〇で囲っていたのがマルニ=丸二。丸二青果は、昔のセリの名残が屋号に表れているということです。マルニハム/丸二精肉店がなぜ「マルニ」なのかは、聞いたわけでもないのでわかりませんが、もしかしたら同じようなことかもしれませんね。

丸+名前で縁起を担ぐ

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学芸大学には肉の丸徳という精肉店があります。丸はし総本店というそば屋もあります。武蔵小山の金物屋(よろず屋)はMARUSEI/マルセイ。三輪素麺のメーカー・マル勝髙田商店、百貨店の丸井、食品メーカー・マルハニチロ(マルハとニチロが経営統合)……。

これらすべてかどうかはわかりませんが、セリとは関係なく、縁起を担いで丸+一文字を屋号とすることもあります。

その昔、〇(丸)で文字を囲んだ屋号にすると商売繁盛につながると言われていました。ですから、店主の名前などから一字を取り、それを〇で囲み屋号としていたのです。

マルニハム/丸二精肉店も創業者の名前が新飯田二夫だから「マルニ」にした、という可能性もなきにしもあらず。

丸以外の例

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カネとヤマの例もたくさんあります。ヤマサ、山一証券、カネヨ、かねふく……。平和通り商店街の鮮魚店・山やも「∧ヤ」となってます。

なお、カネ/矩(┐)は曲尺(かねじゃく)のこと。「商売にまっすぐ」という誠実さを表したり、あるいは矩(カネ)と金(カネ)をかけて、商売が繁盛するようにという願を懸けていたりします。

もちろん、マル、カネ、ヤマだけではありません。いろいろな印にいろいろな言葉がくっついて屋号になっています。キッコーマン、オオギイチなどなど。

マル、ヤマ、カネといった言葉がついた店を見つけたら、そこは老舗かもしれません。屋号の由来や店の歴史を調べてみると、きっと面白いですよ。

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