街の顔・花たこ
その街を象徴するお店ってのがあると思うんです。地元の人たちに愛されているお店。ごくごく自然に、地域住民のそばにあるお店。生活の一部になっているお店。街の顔とも言うべきお店。街の風景となっているお店。
学芸大学なら、たとえばボラボラ、二葉、東紅苑、サンライズ、すし屋の芳勘あたりがそう。そして花たこも。
学芸大学駅から徒歩1分。西口を出てすぐの日高屋の角を右折、その先の東軒を左折した先に「花たこ」というたこ焼き屋があります。正確な創業年は不明ですが、40年以上の歴史だそう(※1976年創業と判明しました)。学芸大学の名物店の内の一軒です。
もともとは五本木交差点にありましたが、道路拡張のため移転しました(2018年12月31日に旧店が閉店し、翌日、2019年1月1日には新店オープン)。以下には移転前の写真も含まれていますが、移転後もたこ焼き自体は同じなので、写真もそのまま使ってます。
激安だけど何気に手をかけている
で、花たこは何度も食べてますが、ある日、完全な焼き始めに出くわしました。たこ焼きを作っていく過程がじっくり観察できた!
焼き方さんは何人かいるようですが、だいたいが東南アジア方面出身と思しき女性。オーナーさん(店主)もいるのですが、最近はほとんどお見かけしません。オーナーさんは他に生業をやってらっしゃるなどの情報もあるのですが、詳細は不明です。
生地、キャベツ、ネギ、玉ねぎ、天かす、紅しょうが、タコが材料。
ん? あの白いのはなんだ? キャベツの芯? 芯ばかり、葉ばかりにならならないよう、均一にするために葉と芯を切り分けてるのか? あるいはネギ? なんだろう。
※追記:白いのは玉ねぎでした。追記以上
ソース(上画像の赤いキャップ)は3種を独自にブレンドしていました。ベースはおたふくソースです(店頭ののぼりもおたふく)。もうひとつはたこ焼き用のソースで、もうひとつはよく見えませんでした。配合は目分量ですが、私が見た限りだと、おたふくソースが7、あと2種で3という割合だったように感じます。大ざっぱな混ぜ方ですが、ソースにもこだわってんだなぁ。
まずはたっぷりの油を敷き、生地だけを焼きます。次にキャベツを入れ、片面をほぼ完成の状態までしっかりと焼きます。ここでキャベツが蒸し焼きのようになるのでしょう。
タコ、天かす、紅しょうがを入れたら生地をもう一度薄くかけていました。二度がけはなくはないのですが、珍しい。
生地をかけたら、それほど間を置かずに返します。裏面はそれほど焼きません。クルクルと何度も回さない。そして裏面も固まったらでき上がり。
花たこのたこ焼きは激熱
デフォのたこ焼きにマヨネーズをプラス。250円!(2019年以降、マヨたこは300円) 少し大きめで、みたらし団子のごとくソースが塗られています。
回していないので、閉じ切ってません。雑っちゃあ雑w
中はトロっとしています。
味はキャベツが入っているせいか、お好み焼きっぽさがあります。甘めのソースがたっぷりかかっているので、ガッツリ。タコが大きくて食べごたえがあります。
上半分はカリッカリで、下半分は柔らかめです。この食感のギャップが素晴らしい。食感に差を出すたこ焼きってのも珍しいんじゃないかなぁ。まあ、自覚的にそうしてるってわけじゃないと思うけどw
ちょっと変わったたこ焼きではあるのですが、とてもおいしいです。
というのが今回のできたてパターン。次は作り置きパターン。
この写真がわかりやすいと思います。まん丸ですよね。しっかりと閉じていて、ちゃんと球になってる。鉄板の上で売れるのを待っていると、おのずと球になっていくのです。焦げすぎないよう何度もくるくると回しますし。
作りたてと作り置きが混ざっていることもありました。並べると一目瞭然。
作り置きは表面の堅い部分が厚めになります。そして、食感の差はなくなり、全体的にカリッ。少々焦げ臭くもなりがち。上の写真に写ってるたこ焼きもちょっと焦げてるでしょ?
中はそれなりにトロっとしたままなのですが、これは大きさとキャベツが作用しているものと思われます。大きめなので中心に熱がダイレクトに届かず、また、キャベツに水分があるのでトロみを持続させるのでしょう。
作り置きパターンの最大の特徴は熱さです。できたては普通に熱いくらい。そのままひと口でいけます(猫舌だったらもちろんやばいほど熱く感じるはずw)。けど、作り置きは長時間、鉄板の上に置かれているため熱がこもり、殺人的な熱さになります。私は熱いものが比較的平気な方なのですが、作り置きの花たこをひと口でいったら悶絶しますw
花たこの注意点
花たこに関して3つ注意点があります。
ひとつ目は作り手によって若干違うということ。たとえば、この写真と上の方の写真を見比べてみて下さい。生地の注ぎ方・注ぐ量が違いますよね。こちらのほうが多く盛られています。だから何を注意すればいいという話でもないのですが、そういうこともあるとわかっておいたほうがいいかもしれません。
ふたつ目は上述の通り、作りたてと作り置きでは味が異なるということ。もちろん作りたてのほうがおいしいです。これは一般論で言っているのではなく、花たこはその差がより一層大きいというね。
みっつ目。これが重要。
花たこのたこ焼きはできるだけすぐに食べる。これが一番。時間が経つと中はベチョッとして、表面の焦げ臭さも際立ちます。冷めた花たこは正直……。ですから、長時間持ち歩くような手土産には向かないと私は思ってます。通行の邪魔にならないところで、なんとか食べて下さい。あるいはすぐに家に帰ってすぐに食べる!
花たこがあるからこその学芸大学
他地域からわざわざ目指して来るようなお店じゃないかもしれない。けど、学芸大学に来たのなら、そしてこの街に少しでも興味を持ったなら、ついでにちょっと寄ってみて下さい。これが私たち学大住人が愛する味なんです。
あとね、たとえばラーメン食べるじゃん? 腹ペコ男子だとあと少し食べたいじゃん? そこで大盛りにしたりライス頼んだり、餃子を食べたりせず、花たこへ行く。これおすすめ。
妙に細かいところでこだわってる。けど、雑なところは雑。ただ、その雑さは決してマイナスじゃなく、時に多様な食感を生み出し、味わいにいい意味でムラができてそれが毎回楽しみとなる。ちょっと変テコリンなんだけど、愛すべき激安たこ焼き。ぜひ一度、その熱さにも悶絶して下さいw
たこ焼きにはたこが入っています。
たこが入っているからたこ焼きです。
学芸大学には花たこがあります。
花たこがあるから学芸大学です。
SHOP DATA
- 花たこ
- 東京都目黒区鷹番3-7-13
- 090-2448-9857
- 公式