松田十郎商店(島根県松江市美保関町)の鯖塩辛(さばのしおから)をお土産でいただきました。とにかくまあ、これがうまい!
原材料は山陰沖産のマサバ、食塩のみで、こんな風に加工されています。
まず、小ぶりで身が締まった、脂の乗りがちょうどいい鯖を選び、ひとつひとつ丁寧に手作業で骨と内臓を取り除きます。
次に皮を残したまま身をぶつ切りにします。皮を残すのは身崩れを防ぐということと、程よい歯ごたえを残すためだそう。
そして、秘伝のタレに鯖を漬け込み、時折、攪拌させながら約半年間、発酵熟成させます。秘伝のタレは長年継ぎ足されてきたもので、天然塩のほか、鯖の身・皮・わたから出るうまみも染み込んでいます。
参考/松田十郎商店公式サイト
最初は適当にお茶漬けに乗せてみました。味の詳細はのちほど触れますが、これは完全に失敗。乗せすぎw
だって、公式サイトにこんな画像が載ってたんだもんw 撮影用にこうしているだけなんですね。本当にこの量をいったらやばいです。上のお茶漬けですら多すぎたくらい。
これが正解。ご飯一膳に小さな鯖の身ひと切れで十分です。
1mmほど削ってご飯と一緒に口に運びます。最初に感じるのは強烈な塩気。人によっては「日本一辛い(しょっぱい)」と評するほどですから、相当な塩気です。また、ほんのわずかに発酵由来と思しき酸味も感じます。
とてつもなくしょっぱいのですが、噛むとすぐさま、鯖の風味が口内に広がります。鯖のうまみがギュッと凝縮された、それはそれは濃厚な味わい。そして、発酵食品独特のふくよかな香りが鼻腔を満たします。
う、うますぎる……。まじでうまい。ご飯が止まりません。本当にこのひと切れで一膳を平らげてしまいました。しかも秒で。
塩辛というとイカの塩辛を思い出すかもしれませんが、味わいはまったく違います。似ているのは鯖のへしこ。
製造工程という点では、米ぬかが使われているかどうかという差があります。食感的にはへしこのほうが乾いた感じがします。この鯖の塩辛は見た目の通り、生っぽくてジューシーです。
といった違いはあるものの、風味の方向性はへしこと同じ。いやむしろ、へしこ以上に鯖感が満載でパンチが強い。鯖の塩辛を知ってしまうと、へしこが穏かに感じられるくらい。
公式サイトにはさまざまな調理例が掲載されています。それはそれでおいしいのでしょう。私もあれこれと試作したいタイプです。けど、この鯖の塩辛に限っては、下手に調理に使いたくない。もったいない。このままがいい。大事に大事に、チビリチビリとつまみたいかなぁ。
ひとつ悔いが残るとするなら、日本酒と合わせなかったこと。また食べる機会があったら、とびっきりの日本酒に合わせよう。
※註:筆者が好きな魚介ベスト3は鯖、たこ、うに。珍味と言われるものも大好きです。そういうバイアスがかかっているということをお知りおきくださいw
正直、好みが分かれます。おそらくですが、7割くらいの方は敬遠したくなるような味だと思います。けど、珍味、特にへしこが好きであれば、きっとうまい!とうなるはず。筆者にとってもたまらない味わいでした。ぜひ一度。ほんっとにおいしいですよ。