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菊川の糸(山崎製麺)はプツプツッとしたコシが心地よく、細いのに力強さを感じさせます。とても満足度の高い素麺でした~下関市菊川地区の素麺の歴史

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下関市菊川町の手延べそうめん

山崎製麺(山口県下関市菊川町大字下岡枝)の菊川の糸(きくがわのいと)。通販(楽天市場)で購入しました。山口県産の素麺を食べるのは初めてです。もちろん、このブログで紹介するのも初めて。

他の素麺産地と同様、菊川地区も組合制度が敷かれていて、複数の生産者が菊川町手延素麺組合を組織しています。私が今回食べた菊川の糸は山崎製麺所の商品ですが、代表の山崎百合男氏は同組合の組合長でもあります。なお、山崎氏はもともと鉄工所を営んでいて、2002年に製麺所を始めました。

菊川町における素麺産業、素麺の歴史に関しては、また後ほど。

50g×7束=350gで808円(税込・送料込)でした。350gというのは珍しい。ゆうメールですから山崎製麺が負担する送料は310円。これを差し引くと808円-350円=458円。一般的な素麺が300gですから、300gに換算すると458円÷350g×300g=約392円。

スーパーで売られている揖保乃糸は250円~300円/300gなので、菊川の糸は揖保乃糸より高めです。ただ、これは菊川の糸が高いというよりも、揖保乃糸の安さが異常なんですw 全国に莫大な量の商品を流通させることにより、スケールメリットで安くなっています。それだけ揖保乃糸がすごい、ビジネスとして上手とも言えるのですが。

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開封。とても細いです。そして香りが面白い。いい意味で和紙のような香りがするのです。香ばしいような甘いような柔らかい香り。和紙もいい香りじゃないですか。素麺も和紙も植物からできているので、香りが似ていてもおかしくない?

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茹で方の説明も面白いです。

水約三リットルを沸騰させ、素麺七把をさばきながら入れ、再び沸騰すれば差し水カップ1/2をそそぎ、沸騰したらゆで上がりです。ザルに取り、清水に移し、よくまぜながら数度水を替え、油抜きをします。これを再びザルにとり、冷し素麺、又は温かい素麺(ニューメン)にしてお召し上がり下さい。

この方法自体は素麺の茹で方の一般的な説明です。よく目にします。ただ、具体的な時間が記されていないというのが面白いですね。この細さから判断して、1分30秒を目途に茹でることにしました。

沸騰したお湯の中で素麺を攪拌すると、軽やかにサラサラと泳ぎます。これは期待できます。こういう素麺はおいしいことが多いんです。結局、1分40秒ほど茹でました。

気持ちのいい歯切れ

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素早く、しっかりと冷水で〆て盛ります。この写真は4束分です。

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まずは何もつけずにそのままひと口。

ブラボー!

まとめて食べると、プツプツプツッと気持ちのいい歯切れ。素麺一本一本が立っているとでも言いましょうか。気泡緩衝材をプチプチプチッと潰すあの感覚に通じるものがあります。口内がとても楽しい。

風味も強いとまではいいませんが、しっかりとあります。ほんのりと塩味を感じたのは気のせいか。もしそうだとしたら、それは私の茹で時間が短かったからかもしれません。そして、もしかしたらまだ残っていたこの塩味も決して悪いわけじゃありません。素麺に力強さをもたらしています。

いやぁ。うまい。いい素麺だなぁ。気持ちのいい素麺。私が好きなタイプの素麺でもあります。

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今回はこんな感じにしてみました。底には麺つゆが張ってあります。ここに素麺をつけ、具と一緒にパクッ。味の濃い具と一緒に食べても、菊川の糸は負けません。箸が止まらない!

一心不乱に菊川の糸をかきこみ、4束を一気に食べ切りました。量的にもクオリティ的にも大満足。心の中で再びスタンディングオベーション。もちろん満点、★5です。素晴らしい。お見事!

追記:菊川の糸のおいしさを再確認

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2024年9月8日、山口県出身の方(プレミアワン店主・健作君)から、お土産的に菊川の糸(5束)をもらいました。

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前回と同じく山崎製麺の菊川の糸です。

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茹で時間も変わらず、1分40秒が最適でした。

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やっぱりコシが強い。ブリブリブリっとした跳ね返りを歯に感じます。

改めて菊川の糸のおいしさを確認。いやはや、これは相当ですよ。

菊川町と素麺

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山口県下関市の中央部に位置する菊川地区。木屋川という川が流れているのですが、木屋川とその支流・田部川がY字に合流する地域が山崎製麺のある菊川町大字下岡枝です。

昭和47年、菊川地区の農家が閑散期に手延べそうめん作りを始めました。なぜ手延べそうめんを作り始めたのかは、こちらをご参照ください。閑散期に作っていた米俵の需要が減った、そうめんの需要が高まっていた、ということが主な理由です。

参考/下関市:「市報しものせき」2019年2月号テキスト版

リンク先の内容にひとつ付け加えることがあります。なぜそうめん需要が高まっていたかです。

昭和47年と言えば、高度経済成長期(~1970年(昭和45年))は終わったものの、まだまだ日本が元気な頃でした。各種の消費自体が高まっていたのですが、その中でもお中元、お歳暮のニーズがとても大きかったんです。当時は誰しもがお中元、お歳暮を贈るような時代。そして、そこでよく活用されていたのが素麺でした。ですから、ここ菊川地区に限らず、日本の農林業地では「うちでも素麺を作ろう」という機運が高まっていた、というわけです(他にも要因はいくつもあります)。

もちろん、作りたい、作りました、はいできました、とはいきません。素麺作りは大変です。菊川地区の人たちは揖保乃糸の生産地、兵庫県たつの市の工場で勉強して、多額の借金を抱えながら素麺作りをスタートさせました。

ところが時代が進み、これもまた他の素麺産地と同様、最近は後継者不足が悩みだそう。菊川町手延素麺組合には最多で9軒の組合員がいたのですが、2019年現在は山崎製麺、岸山製麺、加島製麺、竹井製麺(※)の4軒になってしまいました。おそらくどこも、ほぼご家族だけによる小規模経営だと思われます。

前出のリンク先のインタビューで、山崎氏は「その4軒も職人の高齢化で、いつまで続けられるか分らない」とおっしゃっています。こんなに素晴らしい素麺なんですから、もっと多くの人に知ってもらい、もっと多くの人に食べてもらえるようになって、これからも長く産業として続いていくといいですね。

※山崎製麺、岸山製麺、加島製麺は菊川の糸を作っています。竹井製麺は下関の糸という手延べそうめんを作っていて、おそらく菊川の糸は作っていません

DATA
名称菊川の糸
原材料名小麦粉、食塩、食用植物油
販売者山口県農業協同組合菊川営農センター
製造者山崎製麺
評価★★★★★