この道、よく通るんですけどね。まったく気づきませんでした。人間の注意力なんてのはアテになりませんな。
「ランチ」というのぼりに初めて気づいたのが半年前くらいでしょうか。幾度も行こうとしていたのですが、今回ようやく。
祐天寺駅から徒歩10分、学芸大学駅から15分。中央中通りの駒沢通り寄り、スーパー三和ととんこつ麺 砂田(閉店)の中間あたりにCOFFEE 軽食 喫茶プチというお店があります。オオゼキ 祐天寺店・デニーズの裏、水道局目黒営業所の近く、そんな風に説明した方がわかりやすいかもしれませんね。
プチがあるのは1967年築の目黒セントラルマンションの東端・裏手の一画。すごい場所です。なぜゆえマンションの裏に美容室や喫茶店があるんだ? このマンションの尋常ではない大きさ、形状はなんなんだ。摩訶不思議。
営業時間は11:00~14:00(たぶん)。日替わりでランチが1種類あります(700円)。表の看板にその日のメニューが張り出されているのですが、写真を撮った日は「エビ・カボチャフライ、コロッケ、ほうれん草とエノキ煮びたし、明太パスタ」でした。私が食べに行った日は「ナスと白身魚の揚げ物、肉野菜炒め、おから」。
店内はテーブル席が4つ、カウンター席が3つ。観葉植物がドンドンと豪快に配されていて、ジャングルを突き進むテーマパークのアトラクションのような雰囲気を醸し出しています。面白いw
女性二人がやってらっしゃいます。お二人の顔が似てるので、もしかしたら姉妹? お客さんは男性が二人、女性が一人でした。みなさんよく来られている方のようです。
メニューは見当たりません。促されるまま席に着いたきり、私はひと言も発しませんでした。けど、料理は作られていきます。店に来たら自動的にランチメニューが用意されるのでしょうね。特別に何かを言わない限りは。
ほどなくして日替わりのランチ定食がやって来ました。
わぉ。なかなかボリューミー。
肉野菜炒めはあらかじめ作られていたもの。冷めているのですが、それもまたよし。味がよく浸みますから。中華風の味わいで、タケノコ、キクラゲがちょいと贅沢気分にさせてくれます。
ナスと白身魚の天ぷらです。衣には塩コショウが振られていて、天つゆが少し。サクッとしている部分とツユに浸ってしっとりしている部分が混ざり合い、味わい・食感がとても楽しい。
いや、これはいいぞ。ひじょーーにいい。とてもおいしいです。見た目は地味で、料理自体もシンプルではあるのですが、ひと工夫がピリッときいています。料理上手なお母さんが作る家庭料理。そんな感じ。
食後にコーヒーが出てくるかな、と思ったのですが、周りを見ると出て来ていません。私にも出ませんでした。別途、注文すれば出てくるのかもしれませんが、よくわかりません。また、ランチではなくコーヒーだけを飲みに行けるのかどうかも、よくわかりません。たぶん大丈夫なんだろうけど。
あ。
おおう。久々に見たよ。"喫茶店"のテーブルゲーム。SANWAとあります。なんのゲームなのかな。
会計時に聞いてわかったのですが、40年以上の歴史だそう。最初はお父様がやってらっしゃって、二人が継いだとか? いずれにせよ、マンションが建った当初からこの場所で「プチ」は営業していたのでしょうね。以前はおそらく普通に喫茶店としても営業していて、いつからか定食屋のようになった、のかな?
なんだか不思議な空間だなぁ。メニューがひとつしかない、注文せずとも定食が出てくる、だけどコーヒーは出てこない、要塞のごとき巨大マンションに埋め込まれたレトロな外観の喫茶店。喫茶店? なのか?
こういう老舗の"喫茶店"って面白いですよね。長年やっていく内に独自の進化を遂げ、店主、客、店の雰囲気が相まって、妙な磁場を形成します。碑文谷のアレッタ(ALETTA)もそう、閉店しちゃったけど上馬交差点近くにあったカフェ・ド・ラ・メールもそうでした。
一見にとっては妙に見えるかもしれないけど、常連さんにとってはこれが心地いい。なぜなら、その雰囲気を作り上げてきたのが、まさに常連さんなのですから。逆に、一見が妙に感じるような空間こそが素晴らしいと思うんです。それだけ長い年月を経てきた、それだけ愛されてきた、それだけ素敵な店主・店ということなのですから。
「今日はなんだろう」
そんなことを考えながらプチに向かってみて下さい。なんだかいっつも、魅力的なメニューを掲げています。うまそうなら、そのまま不思議空間へと吸い込まれましょう。メシの安定感は保証します。
SHOP DATA
- プチ
- 東京都目黒区中町2-47-5
- 03-3710-7883
- 公式