学芸大学駅から東口商店街を抜け、四川麺条 香氣(こうき)の交差点を左折。次の十字路を右折すると油面通りなのですが、anea cafe(閉店。現在は'S -sale-(サーレ))、セントラルを通り越して真っ直ぐ行くと中央中通りにぶつかります。中央中通りを右折すると。
タケノとおはぎに行列。けど、今回行こうとしているのはタケノとおはぎではありません。この角を曲がり路地を入ります。
同じ建物にDans la Poche(ダンラポッシュ)というカヌレ専門店があります(テイクアウトのみ)。学芸大学駅、祐天寺駅から徒歩10分強です。2018年1月6日にオープンしました。オープンした4日後くらいに、界隈に住んでいる友人から聞いて開店を知ったのですが……
「タケノとおはぎ」は中央中通り沿い「イトシン電気」跡。3ヶ所のどこかだろうとアタリをつけて見て回ったらビンゴ。この勘はさすがに自分でも引いた(笑) #学芸大学 #学大開閉店情報 pic.twitter.com/8l0MKPvLMN
— 後藤ひろし(ひろぽん) (@gokky_510) 2018年1月6日
オープン日に前を通ってるってのに気付かなかった!w 自画自賛してる"勘"のなんて鈍いことよw
やっているのは土日祝の11:30~。何回くらいかなぁ。4、5回のぞいたのですが、毎回、売り切れ。オープンして2ヶ月ほど経とうかという頃に、ようやく買うことができました。店に着いたのは12:30くらいだったかな。たぶんギリギリ。1週間で数時間しか売っていない"幻のカヌレ"にようやくw
中は厨房(工房)になっていて、受付用カウンターがポンとあるだけ。中をのぞくと。
「もしかして学芸大学の情報をいろいろ書かれてる……」
「あ、そうかもしれません」
「わかるもんですね(笑)」
「ははは」
最近はまた帽子かぶることが多いから余計にわかりやすいのかな。
ショートカットで丸メガネのかわいらしい子です。子と言っていいのかな。いや、若いんですが年齢不詳w 不思議な雰囲気を持ってます。
カヌレは2種(各300円)。プレーンともう1種は日によって変わるようです。この日はチョコ(いちぢく、くるみ)でした。
「これとこれ、お願いします」
「一個ずつで?」
「はい。こちらの前はどこかでやってらっしゃったとかではないんですよね」
「はい、独学で」
「すごいなぁ。何度も来てるんですが、ようやく買えました。こんなにすぐ売り切れるということは、それほど多くは作れないということなんですか」
「100個作ってるんですが、型に蜜ろうを塗って、焼くのに1時間ほどかかるので……」
あとでFacebookページを見てみたところ、仕込みには2日かかるそう。店舗を構える前からカヌレは作っていて、いろいろなお店やイベントに出していたみたいです(現在も)。
こんな風に三角に包んでくれます。おしゃれ。
さて、帰って食べてみました。ちなみに、このようなものを食べたことはあるのですが、カヌレだとは意識せず食べていたと思います。どこで食べたかも味も覚えていません。その程度の経験値です。
カヌレのもともとの意味は「溝のついた」。だからこういう形なんですね。まずはプレーンから。
外はカリッ、パリッ。蜜ろうを塗っていると言ってました。とするなら、これはキャラメリゼだ。香ばしくて甘い。例えるならクレームブリュレの焦げた部分。どっちもキャラメリゼだから同じなんだけど。
中はしっとりです。パンやケーキのフワッ、ボソッという感じは一切ありません。あくまでしっとり。甘くて濃厚。
もうひとつ、お酒の風味を感じます。あとで調べたらカヌレはラムを使うようです(つうか、店頭の説明に書いてあったw)。ちなみに連れはアルコールアレルギーですが、食べられました。ですから、お酒が飲めない方でも食べられるはずです。
食感のギャップと濃厚で甘い生地。これがカヌレの妙味なんだろうなぁ。いやぁ、うまい。めっちゃうまい。
もうひとつはチョコ(いちぢく・くるみ)。いちぢくの甘みとくるみの香ばしさ、ビターとまでは言わないチョコの香ばしさ。甘さという点ではプレーンのほうが甘く感じます。チョコはナチュラルで控えめな甘さです。いちぢく、くるみのポリっとした食感も楽しい。カヌレはボルドー発祥のお菓子なので、ボルドーの赤ワインと合わせてみたいところ。
自称カヌレ好きという連れは「これほどパリッとしたカヌレは食べたことがない。私がこれまで食べてきたのはもっとジャンクな感じ。これは相当洗練されてる」と言っていました。
私はカヌレ経験値が低いので、他と比べてこれが洗練されているのかどうかはわかりませんが、少なくとも丁寧に作られたお菓子だということはよくわかります。表面のパリッと感を出しつつ、中をしっとり仕上げるためには、生地作りもさることながら、おそらく温度がとても重要なんだと思います。一気にたくさん焼くことができないだろうし、一人でこのスペースでやるには、昼に売り切れてしまうくらいの個数が限度なんでしょうね。
翌日、Facebookページに前日と違うカヌレがあると案内されていたので、再び行ってみました。着いたのは12時過ぎごろ。
「カヌレおいしかったです。Facebookページを見たら、昨日とは違うのがあるそうなので、また来ました」
「ありがとうございます」
この日はプレーンとスパイス。スパイスは「白ワインに合います」と書かれてます。
「昨日のチョコも赤ワインに合いそうだなぁと」
「お酒に合うお菓子というのがコンセプトなんです」
「なぜカヌレを?」
「ワインが好きで、飲んだ後に必ずお菓子を食べるんですが、何が一番合うかなぁといろいろ試したら、カヌレが一番だったんです」
そこで自分で作っちゃおう、自分で店出しちゃおうってのがすごいw
「そこらへんですぐ頂くんで、適当でいいですよ」
「じゃあ紙袋にお入れしますね」
というわけで、近くの公園で頂くことにしました。
割った瞬間、フワッと甘い香りがしました。甘い? いや、なんだろう。紅茶、しかもアールグレイのような香りです。
食べてみると、食感は昨日のと同じ。表面はパリッ、中はトロッというわけじゃないんだけど、トロッと感じさせるくらいしっとり。
味もやっぱりアールグレイのよう。フルーティーで爽やかなんだけど、鼻を抜けて行く香りがとても濃密。スパイスって書かれてたよな。なんだろう。先ほどスマホで撮った写真を見返しました。
グレープフルーツ、ライム、マンゴーといった柑橘の香りが魅惑的なティムールペッパーをたっぷりと。
ティムールペッパーとな。初めて聞きました。調べたところ、ネパールで栽培されている山椒の一種だそう。けど、山椒/花椒の感じはしません。ティムールペッパー本来の爽やかな柑橘の香りが、カヌレの甘い生地、香ばしいキャラメリゼと相まって、私にアールグレイを感じさせたのかな。食べた後もしばらくは香りが鼻腔に残っていました。余韻がすごい。これまで食べた3種で一番好きかも。超うまい。
いやぁ、もちろんワインでもいいんだけど、スコッチにも合うだろうな。あの感じだったら、マッカランとかボウモアとかさ。もしお酒に弱いってんなら、ティフィンミルク、アマレットミルクとかがいいかも。ああ、一路の特製B&B(ブランデー+ベネディクト)にも絶対合うよ。うーん、このカヌレをブルーリーフ(Blue Reef)で食べるのも格別だろうなぁ……。学大のバーとそこで飲んだ酒がどんどん思い浮かびます。持ち込んで食べることはできないんですがw
なるほどなるほど。「お酒に合うお菓子」と言ってたけど、これは飲みたくなってくるお菓子だw あー飲みてぇw
追記。某所で差し入れされたカヌレをおすそ分けして頂きました。プレーンとショコラバスク。外はカリっ、中はトロリ。味がおいしいのはもちろん、やはりこの食感ギャップがたまりません。追記以上。
フランス語でdansは「~の中(に/で)」、laは女性単数名詞につく定冠詞、pocheは「ポケット」。英語だと「in the pocket」、「ポケットの中」といった感じの意味になります。一応、フランス語を第二外国語で学んでいたので、ここまではわかっていました。おそらくは「ポケットにしまっておきたくなるようなカヌレ」といった意味合いなのでしょう。パン屋「BOLSO(ボルソ)」と同じだw
けど、こんな慣用句があるということは知りませんでした。
C'est dans la poche!
c'estはce(it)+est(is)。そのまま英語にすると「It's in the pocket!」。フランス語の意味合いを込めると「I have got it made!」。日本語にするなら、「もうポケットの中にあるようなもの」=「うまくいった!」「やったぞ!」。まさしく今の私の気持ちです。
ついに幻のカヌレを手に入れた! おいしかった!
お菓子、スイーツ好きな方はもちろん、ぜひお勧めしたいのがお酒好きな方。お酒に合うでしょうし、Dans la Poche(ダンラポッシュ)のカヌレを食べると、「あれに合わせるとどうだろう」「あれと合うんじゃないかな」など、いろいろ想像が膨らんで楽しいですよ。
SHOP DATA
- Dans la Poche(ダンラポッシュ)
- 東京都目黒区中町1-36-6 イトウビル1F
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