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スペインバル エル・ロセヨ(BAR&DELI ROSSELLO)(学芸大学)はスペイン人が腕を振るう、パンチのある料理がおいしい賑やかなお店。軽めのタパスからガッツリなパエリヤまで本場の味が楽しめます。

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学芸大学駅から徒歩2分。西口商店街沿いに2017年3月9日にオープンしたスペイン料理店、エル・ロセヨ(BAR&DELI ROSSELLO)。オープンして1ヶ月ほど間を開けて行ってみました。オープン直後はバッタバタだろうし、もしかしたらメニューも固まってないかもだし、あえて間を開けました。

ここはもともと林生花園という老舗の花屋だった場所です。前年の11月にはスペイン料理店ができるとの情報を得ていて、店ができあがっていく様子をずっと見てきていました。そんなこともあって、行くのが楽しみだったんですよねぇ。

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店に入ると、マルセロが手をヌッと出します。

「来たよー」

手を握り返します。

スペインから日本に来てまだ数ヶ月の料理人、マルセロ。何度か一緒に他店で飲んでて顔見知り。その日は黒い務衣っぽもののを着ていました。

※追記:マルセロはスペインへ帰った模様。調理人は違うスペイン人になっているかもしれません。追記以上

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1階はカウンター席(喫煙可)、2階はテーブル席(禁煙)。スペイン語が飛び交っていて、活気のある、楽しい雰囲気の店内です。カウンターの一番奥に座ったのですが、椅子に腰かけた瞬間、「お?」。

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座面に傾斜がついていて、腰が奥にフィットします。なんだかとても座りやすい。高さも調整できるんだろうな。カウンター下にはフックもあるし、こういう細かいところへのこだわり、いいですね。

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ビールを飲みながらお通し(300円)=タパスを頂きます。チーズとトマトが串に刺さったものと、バゲットにうずらの卵とピーマン(だったかな?)が乗ったもの(ピンチョスってやつ?)。うん、こりゃうまい。シンプルなんですが、酒のつまみにピッタリ。

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注文した料理が次々とやって来ます。

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タコガリシア(680円)。タコとジャガイモを茹でて、オリーブオイル、塩、パプリカパウダーで味付けしたものです。他店でも食べたことがありますが、店によって味・見た目はさまざま。エル・ロセヨのはシンプルです。ただ、味わいが面白い。

まず、タコの食感。とても柔らかい。超時間煮込んでいるのか、繊維をガッツリ潰しているのか。一度、冷凍するってのも手なんだよね。どうしてるんだろう。そして、香ばしさと、少し和の風味を感じました。気のせいかな。いずれにせよ、他ではあまりない味わいでおいしいです。

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生ハムコロッケ(250円)。刻まれた生ハムが混ざったクリームコロッケって感じ。下に敷かれたソースはマヨネーズかな。クリーミーでおいしい。

ここで、こんなものをサービスで出してくれました。

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メニューには載ってない肉の煮込み。シチューのような感じでめちゃうま。

「マルセロー、ありがとう。おいしいよ」

マルセロがウィンク。スペイン語だから何を言ってるのかはわからないけど、とにかくよくしゃべるヤツでね。飲んでる時も、調理している最中もw だけど、あれこれしゃべりながらも、ちゃっちゃかよく動く。真面目な職人タイプなんだろうな。料理に対するこだわりも強そうだ。

〆にパエリヤを食べたいと思っていました。時間がかかる料理ですから、スタッフの女の子に聞いてみました。

「パエリヤはどれくらいかかります?」

「20~30分です」

「じゃあ頼んでおこうかな。どれにする?」

連れに聞きます。

「タラかな」

「じゃ、タラと季節の野菜のパエリヤお願いします」

パエリヤは2人前から頼めます。

「タラってスペインでも食べるのかね。ポルトガルってイメージはあるけど。隣だしやっぱスペインでも食べるんだろうな」

「どうだろう。けど、イタリアでもイギリスでも食べるよ」

「そうなんだ」

帰って調べたところ、スペインでもよくタラを食べるのだそう。さて、料理はまだまだ出てきます。

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ボケロネス=イワシのスペイン風マリネ(630円)。酸味はほどよくイワシの身はしっかり締まってます。さっぱり。おいしいなぁ。

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セクレトステーキの鉄板焼き ピキージョとポテト添え(1380円)。セレクトじゃなくてセクレト(secreto)。英語のシークレット、つまり秘密。イベリコ豚一頭から600gほどしか取れない希少部位(前足の付け根あたりの肉)だそうです。

なぜ"秘密"なのかというと、小さい(薄い)ので目立たないから、あるいは、あまりにおいしくて解体職人たちがこっそり食べていたから、といった説があるようです。

こちらもシンプルな味付け。イベリコ豚のふくよかなうまみがギュッと凝縮された、肉々しさのある一品です。ピキージョ(ピーマン)もジャガイモも甘くて香ばしくてとてもおいしい。

アヒージョはしらす、ほたて、えび、うさぎの4種。珍しいのでうさぎのアヒージョにしようかとも思ったのですが、オーソドックスにえびアヒージョ(780円)にしてみました。

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地獄谷のごとくグツグツしています。で、エビが大きい。食べるとアツアツでプリップリ。ニンニクがめっちゃきいていて、うまっ。

アヒージョはオリーブオイルを楽しむもの。オリーブオイルにカリッと焼き上がったバゲット(1枚50円)を浸して食べます。

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たっぷり入ったニンニクを乗せてみたりね。絶対、臭くなるけど、いいの。これがうまいんだから。結局、バゲットは4枚ほど食べました。それでもまだオリーブオイルがたっぷり残っています。もったいないけど仕方ない。

パエリヤがそろそろでしょう。私のところからは見えませんが、連れのところからなら見えるかな。

「パエリヤ見える?」

首を伸ばして連れが厨房へ目をやります。

「ここからは見えない」

「パエリヤって長時間、火を使うじゃん。だからどうしてんのかなと。注文が集中すると大変だろうな」

そんな様子をマルセロが見ていたのでしょう。こちらに向かって何か言ってウィンクしました。スタッフの女の子がこう言います。

「あと5分だそうです」

別にせかしたわけじゃないんだよw ほどなくしてタラと季節野菜のパエリヤ(1580円×2)がやってきました。

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カウンターに置かれた瞬間、魚介の香りがブワッ。いい香り。

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タラのパエリヤはスタッフの方が混ぜてくれました。他のパエリヤもこうするのかどうかはわかりません。

うんまっ。ダシがよく出てる。米の具合もちょうどいい。タラもフワっとしてておいしい。ただ、塩味(えんみ)が強過ぎw これがたまたまそうだったのか、タラだからこうなのか、パエリヤは全般的にこうしてるのか。今回がたまたまってならいいんだけど、いつもこうなら、ここだけは改善の余地ありだなw いくらなんでもこれは塩が勝ちすぎている。超しょっぱい。

とは言え、味つけ自体はとてもおいしいです。すべてのパエリヤにアリオリがついてくるのですが、少し乗せると味わいがまろやかになって、これもまたいい。

見た目以上に量があります。皿に二度、軽く盛って食べたところで、連れの手が止まりました。パエリヤはまだ半分ほど残ってます。

「何気に量あんね」

「ふぅ。お腹いっぱい。もう食べられない。これ1人前で頼めればいいのに」

「まあねぇ。たぶん、鍋の大きさ、オペレーションのしやすさ、そんで商売的に、2人前から頼んでほしいんだろうね。その気持ちもわかる」

「女の子二人だったらキツいだろうな」

確かにねw エル・ロセヨに行く際は、パエリヤから逆算して注文するものを考えるといいかもしれません。パエリヤ2人前は4人で食べてちょうどいいくらいの量です。どうしても2人で食べたいなら、パエリヤ以外のメニュー数を少なめにするか、小ポーションのメニューを頼むのがいいでしょう。

私が次に来る際、もし2人ならパエリヤは頼まないと思います。一度食べたし、コスパ的にもね。炭水化物がほしいなら、アヒージョ+バゲットを〆代わりにするでしょう。パエリヤを頼むなら4人以上の時だな。いずれにせよ、それくらいの量だってことです。ご参考までにw

全体的に料理はパンチがあります。物によってはすごくニンニクや塩がきいていて、お酒が進みます。デートならカウンター、友人らとワイワイやるなら2階席と、いろいろなシーンで利用できそうです。今後どうなるかはわかりませんが、オープンして間もない現在はいつも混んでいます。行く際は予約をぜひ。

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さて、エル・ロセヨを運営しているのは株式会社G'Styleです。同社は大阪の天満駅を中心に天満たこやき酒場 GOBUGOBU天満ビストロワイン酒場 GOBU+(ゴブプラス)天満駅前西洋酒場ゴブトレスを展開していて、エル・ロセヨがオープンする1ヶ月前にはQUATTRO GOBU(クアトロ・ゴブ)(梅田)というお店も開店していました。エル・ロセヨは東京初店舗です。

ビストロと謳っていますがゴブプラスはスペインバルなので、スペイン人が多く働いていて、エル・ロセヨにはミケルが移ってきました。店頭で生ハムを切ってる帽子のあんちゃんです。

また、オープン当初は大阪から応援もやって来ていました。そう言えば、その内の一人、アユミ君がこんなことを言ってたなぁ。

「デリ(deli)ってテイクアウトするって意味なんですよ。だから、いつかはランチもやりたいしテイクアウトもやりたいなぁと思ってるんです」

※その後、テイクアウトもできるようになったようです。

大阪から、いや、スペインから、学芸大学にやって来たエル・ロセヨ。変わりゆくこの街で、もしかしたら他と同様、取り壊され、真新しいビルになっていたかもしれない築何十年という物件をキレイなお店にして、商店街に華を添えてくれました。

店頭で生ハムを切り、商店街を往来する人たちと触れ合い、店が終わった後は、あちらこちらの店に顔を出し、この街に早く馴染もうとしているようにも見えます。今はまだ物珍しさや話題性で注目されていますが、3年後、5年後には学芸大学の名物店として知られるようなお店になるといいですね。

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