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そば処 大むら(学芸大学・柿の木坂)のカツ重、もりそばにはひと工夫が見られておいしかった~祐天寺「手打ちそば 大むら」の直系店の実力を見た!

古くからある地域に根差した、丼物もうどんも何でもある、手打ちではない定食屋のごときそば屋を"街場のそば屋"と呼んでいます。こういうそば屋の多くは、おなじみの屋号を使っていることが多いです。学芸大学界隈で言うと松月庵、朝日屋、大むらなどなど。

ただ、街場のそば屋といってもさまざまで、旧態依然の昔ながらの店もあれば、跡取りなどがよりいいそばを提供しようと工夫を凝らしていることもあります。そのことを実感したのが、たとえば朝日屋(碑文谷)。どのような歴史をたどって来たかはよくわかりませんが、他の普通の街場のそば屋とはかなり違います。そばに相当な工夫のあとが見られます。そして、今回訪れたそば処 大むら(柿の木坂)も同様でした。

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学芸大学駅から徒歩10分強。駒沢通り沿い、環七と駒沢通りの交差点・駒沢陸橋からすぐのところにあるそば処 大むら。

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店頭からして賑やかです。すき焼き定食、サバの味噌煮定食、鮪ねぎとろ丼ざるそばセット、麻婆茄子丼うどんセット――なんでもあり。いわゆる"街場のそば屋"の特徴ではあるのですが、それにしてもすごいラインアップw

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店内はとても広くてきれいです。写真には写っていませんが、奥にも席があります。

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前日の夜から、あまり食べていません。お腹ペコペコ。カツ重そばセットがあるのですが、それじゃあ物足りません。カツ重ともりそばをそれぞれ単品で注文しました。

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カツ重は醤油が濃い目で甘くてガッツリ。おいしいのですが、そんなことよりサラダです。スライサーでフワリとなっているキャベツに市販のドレッシング。ここまでは普通。けど、さいの目に切られた二色のピーマンが散らされています。こいつはすごい。ここまでやりますかね。街場のそば屋で。逆に、ここまでやるってことは、こだわりがあるってことです。

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次にもりそば。とてもきれいなおそば。よく見ると薄茶色の粒が紛れています。まずはそのままひとすすり。むむ? そばの香りはそれほど強くありませんが、そこそこコシがあります。機械を使ってはいるのでしょうが、これは上等です。歯切れも喉越しもいい。うまい。

青い文様の入ったそば徳利、手触りのいいそば猪口。黒いそば猪口はあまり好きじゃないですが、でも、しゃれてるじゃないですか。とてもきれいです。

汁はダシが香ります。醤油感と甘さがいい塩梅。

そば湯はほぼ白湯。口開けだからでしょうね。混み合いだすと白濁していくと思います。汁をそば湯で割ると、ダシの香りがさらに強まります。いいスープです。

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会計時、あえてレジの方へ進みました。厨房をちら見します。何人かの店員さんがいるのですが、一番奥には先代と思しきおじいちゃん。手前のご主人はなかなかお若い。会計をしながら話を聞きました。

「こちらは暖簾会には所属してらっしゃいますか?」

「いえ、暖簾会には入っていません。組合には入ってますが」

組合? 全国麺類生活衛生同業組合連合会(全麺生連)に入っていることは店内外のポスターを見てわかります。あとは東京都麺類協同組合? あるいは一家会麺業協同組合(砂場、大むら、大橋屋)?

「この辺りにも何軒か大むらってありますよね」

「ほとんどは別々にやってますね。暖簾会に所属しているお店は大村庵って"庵"がつくんじゃないでしょうか。ウチは祐天寺の大むらの直系です」

「祐天寺? 中央中通りの方ですか?」

「いえ、祐天寺駅のちょっと先、上目黒小学校の近くです」

お客さんが入って来ました。お仕事の邪魔をしてはいけません。

「お忙しいところすみませんでした。おいしかったです。ごちそうさまでした」

「ありがとうございました」

大むらと名のつくそば屋は、学芸大学あたりだと、三宿、中央中通り、祐天寺などにもあります。私にとってこの柿の木坂のそば処 大むらが初。他がどうなのかはわかりませんが、ここのそばはとても上等でおいしいそばでした。

帰って調べたところ、祐天寺は手打ちそば 大むら。創業70年以上を誇る老舗名店でした。いま現在の店主の先代か先々代かが手打ちそば 大むらで修業されていて独立した、ということでしょうか。

柿の木坂のそば処 大むらは老舗の直系という自負があるのでしょうね。手打ちではないかもしれませんが、ちゃんとしたそばを出そうという気概が見て取れます。と同時に、"街場のそば屋"らしくいろいろなメニューを開発している姿勢も素晴らしい。もし初めて行くなら、ぜひもりそばは食べてほしいなぁ。

とりあえず、近いうちに祐天寺にも行かなきゃ。そば屋巡りって、いろいろなことが勉強になって面白いw

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