「龍雲寺通り」と名付けられた!w(2018年2月6日更新)
この記事を執筆したのち、環七・龍雲寺交差点から三宿病院入口交差点までのバス通りの名前が「龍雲寺通り」と命名されました(2016年)。以下の記事は命名前に書かれたものだとお知りおき下さい。
野沢通りと幻の東京オリンピック
ずっと謎だったんです。ラーメン屋「せたが屋」のある環七の龍雲寺交差点から北東へと伸びるバス通り。この道の名称がよくわかりません。だけど、三宿病院入口交差点から先、目黒区内は「野沢通り」と呼ばれています。野沢は世田谷区なのに!w
1936年、1940年に東京オリンピックが開催されることが決定しました。ところが支那事変などの影響で日本政府は開催権を返上。東京オリンピックは中止となります。
開催が決定し、中止が決まるまで、オリンピックに向け各地でインフラが整備されます。一番の典型例が駒沢オリンピック公園総合運動場です。メイン会場として使われるはずでした。そして、駒沢公園までの幹線道路として整備されようとしていたのが野沢通りです。
ただ、ややこしくして申し訳ないのですが、この道の成り立ちと道の名称については話が逆のようです。
世田谷区役所に聞いてみた
これは「ローソンストア100 世田谷下馬」の前を蛇崩・中目黒方面に向いた図。標識は目黒区、電柱には野沢通りとあります。
まったく同じ場所で反対方向、下馬一丁目、龍雲寺方面へ向いた図。世田谷区という標識はありますが、通り名はどこにもありません。
ちなみに、真下へ目をやりますと……。
ふおおおお。め、目黒区と世田谷区がががが! これがなんなのかはよくわかりませんが、目黒区の方が勢いがある! 矢印に強い意志を感じます。
「まじ、こっから目黒区だかんな。入ってくんなよ」
みたいな。
「あ、はい……すみません」
と恐縮する世田谷区!
ま、それはさて置き。
野沢通り? 野沢通りじゃないの? なんなの!? いったいどういうことなのか、世田谷区役所に電話で聞いてみました。
「すみません、世田谷区内の道路とその名称に関しておうかがいしたいことがあるのですが、ご担当の部署はどちらでしょうか」
「その道路は区道でしょうか?」
「区道!? いえ、それはよくわからないのですが……」
「では、道路区分も含めて、道路と名称に関するお問い合わせ、ということですね。担当部署につなぎますので、少々お待ち下さい」
ああ、そうか。国道、都道もありゃ区道もあるし、なんなら私道もあるしね。そこまでは考えが至らなかったなぁ。
「お待たせしました。○○部の○○です(部署名失念)」
「つかぬことをおうかがいしますが……」
「いえいえ」
「環七の龍雲寺交差点から北東方向に伸びるバス通りがあるんですが、その通りの名称はなんでしょうか?」
「少々お待ち下さい。えーと……住所はどちらになるでしょうか」
「住所、住所……。すぐ横のせたが屋というラーメン屋は世田谷区野沢2-1-2となってますねぇ」
「ああ、わかりました。ここですね。確かにここは区道です。世田谷区では道路台帳が整備されてなくて、道路に番号や名称をつけてないんです」
「え? あ、そうなんですか。いえ、その先の三宿病院入口という交差点がありまして、その先は目黒区になるんですが、そこは野沢通りと呼ばれてるんですね。けど、世田谷区ではそういう名称を設けていない、と」
「はい」
「なるほど。お忙しいところすみませんでした。ありがとうございます」
「ありがとうございました」
なんということ! 世田谷区では道路名を決めていない!www これは意外でした。
※その後、主要な区道にちゃんと名称をつけて公表するようになりました。
※クソ重いので要注意。リンク先のPDFを開く前にパソコン上の全作業を終わらせ、編集中のドキュメント類は保存しておきましょう。
以上から、なんとなく経緯がわかってきます。
- "幻の東京オリンピック"へ向け、現在の山手通り付近から西方面へ道路を整備・拡張
- 当時、便宜的な名前がついていたり、役所的な番号は振られていたかもしれませんが(後述)、特に道路に名称があったわけじゃない
- いつかは不明ですが、目黒区が自区域の当該道路を、(おそらく、野沢へと続く道だから)野沢通りと命名。世田谷区は道路に名前をつけないので、世田谷区内に道路名はない
結果として、あるいは区の違い(都合w)により、青葉台一丁目(のちょっと奥)から上目黒五丁目までの区間が野沢通りとなった、世田谷区内に名称はない、と。逆に、野沢通りの東端は渋谷区との区境。渋谷区内は野沢通りとは言わないわけでして。
※追記:上述の通り、2016年にこの区間の通りは「龍雲寺通り」と命名されました。追記以上
補助50号線と野沢通り
記事執筆後にわかったのですが、実はこの野沢通りは東京都が管轄する都市計画道路補助50号線(下の図のピンクのライン)の一部です。
渋谷駅南口から歩道橋で246を渡ると桜丘町になります。ここに桜並木の坂(さくら坂/さくら通り)がありますよね。これが補助50号線の北端(東端)です。ここから駒沢公園まで道路を作ろうというのが補助50号線。私の記憶が確かなら、戦後間もない頃に決定された計画です。
この桜並木を登り切ると、正面にジョナサンがあります。実はここを突っ切る予定だったのですが、まだ道路は通ってません。いきなりつまづいてるw もう少し詳しく地図と写真で見てみましょう。
東京医療センターがあるので駒沢公園方面まで続いてないのですが、それはさて置き、まずは龍雲寺交差点(A)。ここもつながってません。銭湯「ノザワランド」のところで尻つぼみ。
B地点は先ほども見た世田谷区と目黒区の区境です。正確に言うと、この三宿病院入口交差点より東が野沢通りです(青いライン)。
C地点は西郷山公園の脇道。写真奥で上を横切っているのは山手通り。立体交差になっている橋がちょうど目黒区と渋谷区の区境、つまり野沢通りの東端です。電柱をご覧下さい。「野沢通り」と書かれています。橋の先は渋谷区ですから、「野沢通り」という表記はどこにも見あたりません(野沢通りではないしね)。
補助50号線の整備計画は現在、何も進んでいません。かといって廃止されたというわけでもなさそうです。渋谷区、目黒区、世田谷区にまたがった、忘却の彼方にある補助50号線。そして、もしかしたら主要幹線道路として繁栄していたかもしれないんだけど、そのチャンスを逃した野沢通り……。
便宜上、このサイトでは龍雲寺の交差点から延びる道路全体を野沢通りと呼んでいます。マイナーなこの愛すべき道路を少しでも多くの人に知ってもらいたいというのもありまして。
どうせ名前ないんだもん。みんなもそう呼んどきゃいいんだよw
※追記:上述の通り、2016年にこの区間の通りは「龍雲寺通り」と命名されました。追記以上