ちょっと変わった形の機械麺そうめん
「私が極めた麺」というそうめん(機械麺)を見つけました。
販売者は株式会社イースマイルジャパン、製造者は株式会社ナガヤワークス(いずれも岐阜県)。
パッケージには「星野屋謹製」とあります。このことも含め、もろもろのことには後ほど。
プレッセ 中目黒店で購入しました。246円/200g。一般的なそうめんの量・300gに換算すると369円です。手延べそうめんはだいたい250円~350円ほど。手延べそうめん以上に高い機械麺なんて普通は購入しません。
ちなみに隣の三輪素麺(三輪そうめん小西)は当サイトの5段階星評価で星5を獲得しています。おいしいそうめんが食べたければ、機械麺ではなく、この三輪素麺のような手延べそうめんを選んでください。
ただ、このようなタイプの機械麺そうめんを初めて見かけたので、ためしに買ってみました。棒にかけてそうめんを乾燥させるので、このような形状になっています。
※手延べそうめんは棒にかけて延ばしたり乾燥させるので、基本的にすべてこのような曲がった状態で仕上がります。曲がったままで売られる手延べそうめんの典型例が南関そうめん(当サイトの例外の星6)、大門素麺です。
ただ、手延べそうめんのほとんどは曲がった部分を切り落とします。切り落とされた部分がふしめん、バチめんといった名前で販売されていることもしばしばです。
もったりと重い機械麺そうめん
私が極めた麺はしまだ製麺法という方法で製麺されています。普通は長い麺線を乾燥させてから、適当な長さに切断するのですが、しまだ製麺法は短く切断した後に乾燥させます。珍しくはありますが、唯一無二、独自というわけでもありません。
しまだ製麺法/島田掛け/島田作りに関しても後ほど。
開封。穏やかで甘く香ばしい小麦の香り。
そのままでは長いので、曲がった部分で折って茹でます。「袋のまま軽く握って輪の部分(袋の上部)を下にして、台に強く打ち当てれば半分に折れます」と説明があります。その通りにしてみたのですが、すべてがきちんと折れるわけでもありません。長いものもそのままにして、長短が入り混じった状態で茹でることにしました。
「キッチリ二分三〇秒」とあります。2分30秒茹でて、冷水でしっかりと洗いました。
長いものは少々の食べづらさを感じますが、そこまで気になりません。
味自体は可もなく不可もなく。食感はムニッ。コシと呼べるようなものはありません。もったり重め。
普通の麺つゆよりも濃いタレに合わせた方がまだマシでした。写真はピリ辛担々麺風つけダレ。
さすがにこのまま食べきるのは辛かったので、長めに煮込んだにゅう麺にしました。こうしたら普通に食べられます。
ただ、こうするのがこの麺の食べ方の正解ということではありません。単においしくないそうめんも、煮込んでしまえば食べられるというだけのことです。
パッケージでいろいろ御託を並べていますが、普通の機械麺そうめんとほとんど変わりません。よくある機械麺そうめんです。まずいとは言いませんが、おいしくはない。しかもこれが手延べそうめんよりも高額ときた。★2で。
不可解な表示
表の商品名は「私が極めた麺」。けど裏には「私の極めた麺」。絶対に一致させなきゃいけないわけではありませんが、大切な商品名のはず。また、わざわざ「が」を「の」に変える理由があるとも思えません。いい加減なメーカーだなぁという印象を受けました。
「おいしさ日本一」
不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)や不正競争防止法に抵触してません?
参考/J-Net21:「日本一おいしい」とのぼりに表示する際の、注意点を教えてください。
「伝承しまだめん 星野屋店主」
「星野屋謹製」
きん‐せい【謹製】
〘名〙 つつしんで心をこめて作ること。また、その製品。特に、菓子などの製造者の用いる語。
表には星野屋謹製とありますが、裏面の製造者は株式会社ナガヤワークス。星野屋はブランド名のようなものなのかもしれませんが、ネットで調べてみても、星野屋に関する情報は見つけられませんでした。
しまだ製麺法/島田掛け/島田作り
いくつものメーカーが「しまだ製麺法/島田掛け/島田作り」(以下、しまだ製麺法)でそうめんやうどん、ひやむぎ、そばなどを製造しています。しまだ製麺法とはなんでしょう。
まずは言葉の話から。
しまだ製麺法の「しまだ/島田」は江戸時代の島田髷(しまだまげ)に由来します。文金高島田というのがありますよね。文金高島田も島田髷の一種です。
島田髷の発生は、東海道島田宿(※静岡県島田市)の遊女たちが結い始めたのが、しだいに一般化したものである。
島田髷は、髷が撥(ばち)の形をしているのが特色で、長い下げ髪を頭上にまとめるには、一度百会(ひゃくえ)に束ねて、その余りを後方から前に出し、毛先を中央に折り返して、全体を結び留めるという、もっとも自然的な方法である。
出典・画像転載元/コトバンク:日本大百科全書(ニッポニカ)「島田髷」の解説
次に製麺の話。
先述の通り、普通は長い麺線を乾燥させて適度な長さに切断しますが、しまだ製麺法は麺線を約40cmで切断して乾燥させます。真ん中で棒にかけて乾燥させるため、最終的には20cmくらいの商品に仕上がります(そのまま茹でると曲がっている部分が真っすぐになり40cmになる)。
麺線を棒にかけた状態が島田髷のようなので、しまだ製麺法と呼ばれるようになったそう。ただ、この製麺法がいつ、しまだ製麺法と呼ばれるようになったのか、誰がそう呼び始めたのかは不明です。
なお、私が調べた限りでは、手延べそうめんで「しまだ製麺法/島田掛け/島田作り」という言葉を使っているものは見当たりませんでした。すべて機械麺です。
いずれにせよ、重要なのは製法ではなく味・クオリティなわけでして。パッケージにはしまだ製麺法が他の普通の機械麺製麺法よりも優れているということが書かれていますが、この内容が事実なのか、科学的に正しいのかは私にはわかりません。とりあえず私には、しまだ製麺法なるものが他に勝っているとは感じられませんでした。
法律に抵触する可能性のある文句。不透明で曖昧な製造者情報。味に反比例する値段。なんだかなぁ。
名称 | 私が極めた麺 |
原材料名 | 小麦粉(国内製造)、食塩 |
販売者 | 株式会社イースマイルジャパン |
製造者 | 株式会社ナガヤワークス |
評価 | ★★☆☆☆ |