暑くなってくると、そうめんを食べる機会が増えると思います。あるいは、お中元でそうめんをもらうこともあるでしょう。ただ、大量にもらうと、どうしても余りがち。余ったそうめんをどうするかというのは悩みの種でもあります。
あるいは、買ってはみたもののまずくて全部食べられない、そんなそうめんもあるかもしれません。
そんな時にどうすればいいか。200種のそうめんを食べてきて、数えきれないほどまずいそうめんにも出会ってきた筆者がまずいそうめんの活用法をご紹介します。
そうめんがまずい原因
そもそも、そのそうめんはなぜまずいのでしょう。おそらくそれは機械麺のそうめんだからです。
「このそうめんまずいなぁ」と思ったら、パッケージの裏面を見てみてください。そこには「干しめん」「そうめん」と書かれていませんか? それが機械麺。一方、手延べそうめんであれば「手延べ干しめん」「手延べそうめん」と書かれているはずです。
延べて(伸ばして)細くしていく手延べそうめんとは違い、細く切って製麺する機械麺のそうめんは基本的においしくありません。
ただ、手延べそうめんも機械麺そうめんも原材料は基本的に同じです。では、何が違うのか。それは食感です。
手延べそうめんも機械麺も舌で感じる味自体にはそこまで大きな差はありません。けど、手延べそうめんはプリッ、プチッという心地のいい歯切れ・コシがあるのに対し、機械麺そうめんはよくてムニッ、悪ければドロッ、グニャッ、ヌメッとした不快な食感になります。これがまずさの正体です。
天ぷらと一緒に食べて食感をごまかす
食感が気持ち悪い、まずいそうめんに出くわしたら、天ぷらと一緒に食べてみてください。天ぷらのサクッとした食感がそうめんのまずさを軽減してくれるはずです。
機械麺と手延べを混ぜる
ちょっと上級者向けではあるのですが。
たとえば、5段階評価で2のおいしくない機械麺そうめんがあるとします。これを4か5の手延べそうめんと一緒にしちゃうのです。そうすると不思議なことに、まずいそうめんがおいしいそうめんに引っ張られ、全体的にもおいしくなります。
もちろん、最高においしい手延べそうめんでこんなことをするのはもったいないので、普通くらいの手延べそうめんで試してみてください。
そうめんの中華あんかけ堅焼きそば風
天ぷらと一緒に食べるくらいではごまかせないまずさであれば、そうめん自体の食感を変えてしまいましょう。そのひとつの方法がそうめんを揚げるというものです。
そうめんを揚げてあんかけ堅焼きそば風にしてしまえば、そうめんに食べ飽きてても、そうめんがまずくても、まったく違った食事になり、食べやすくなります。
では、さっそく作ってみます。
まず、そうめんを茹でます。30秒、いや、一瞬でも結構です。この目的は茹で上げることではなく、柔らかくして、揚げやすくするためです。そして、水分を含ませることで焦げにくくするためでもあります。
次に、お湯に通したそうめんを揚げていきます。ポイントはみっつ。まず、ひと束分ずつ揚げていくこと。3束分食べるにせよ、必ずひと束ずつ揚げて下さい。
よっぽど大きな鍋で揚げるなら別ですが、深さのある小さなフライパンで、できるだけ少ない油で揚げたいですよね。でしたら、少量ずつ。こうすることで、揚げムラもなく、適度に簡単に揚げることができます。また、少量ずつ揚げておけば食べやすくもなります。
次のポイントは油の温度を上げ過ぎず、じっくりと揚げること。高温すぎるとあっという間に焦げてしまいます。そうめんが吸った水分をジワジワと抜いていくかのごとく、ゆっくりじっくり。
もうひとつ。茹でたそうめんはよく水切りします。そうすると、ダマっぽくなるのですが、できるだけほぐして油に投入します。また、油に入れたら、箸で薄く平たく伸ばすように広げて揚げて下さい。揚げムラをなくすためです。
少々、白い部分が残っていてもOK。キツネ色に揚がったら、油を切り、キッチンペーパーなどで油を吸い取りましょう。これで麺のほうは完成です。
麺の油を取っている間に、あんを作ります。これはお好みで。ちなみに今回は、豚肉、ニンジン、ピーマン、シイタケを炒め、鶏ガラスープを入れ、片栗粉でとじました。個人的にはきつめにしめるのが好きです。また、多めにあんを作ったほうがいいでしょう。足りないより多い方がいいですよね。
あんができたら、麺にかけて完成です。市販されている堅焼きそばより細くてサクサクな、おいしいあんかけ焼きそばになるはずです。
なお、今回は3束分作りました。普通に素麺を食べる際は3束食べることが多いからです。しかし、揚げると油っこくなるため、普通の感覚で揚げると、メチャクチャ多く感じます。2束で十分だった、というのが率直な感想。
※冒頭の画像は3枚(=3束)を重ねています
素麺の台湾麺線風
次は台湾屋台などでよく食べられている台湾麺線。くたくたになるまで煮込んでしまえば、食感もなにもなくなり、食べやすくなるという寸法です。
本来はこのような細麺を使うのですが、小麦粉と塩で作られているというのはそうめんとまったく同じ。細さも似てます。実は中国・台湾のいわゆる"ラーメン"というやつは日本のそうめんが一番近いんですよねぇ。
というわけで、そうめんを台湾麺線風にしちゃいましょう。
材料
- まずいそうめん・あまったそうめん(50g・1束程度で十分)
- かつおダシ(顆粒でOK)
- 醤油
- 砂糖
- 五香粉(ウーシャンフェン)
以上が必須の材料です。あとは好きな具を入れればいいだけなのですが、より本場感を出したければ、以下を用意して下さい。
- パクチー
- 豚しろモツ
- 片栗粉(※詳細後述)
調理工程
- かつおダシ、醤油、砂糖、五香粉でスープを作る。甘めがいいと思います
- 具材を煮込む
- 素麺を3~4等分に折り、スープに入れる
- 素麺がくたくたになるまで煮込む。最低10分
- スープのとろみが少なければ、片栗粉でとろみを出す(※)
- 器によそって、パクチーを添えて完成
- スプーンやレンゲでスープと麺をすくうようにして食べる
鶏ガラを使うイメージですよね? けど、台湾線麺はかつおダシです。ここポイント。
豚モツが苦手ということであれば、普通の豚肉でもなんでもいいでしょう。
そうめんを煮ると(茹でると)、そうめんから小麦粉が溶けだします。これがスープにとろみをつけるのですが、そうめんによって溶け出す小麦粉の具合が違いますし、スープの量、麺の量のバランスによってはとろみがつきづらい。そういう場合は片栗粉でとろみを出して下さい。このとろみが超重要。
なお、ほとんどのそうめんには塩分が含まれています。茹でたお湯は相当しょっぱくなるということを考慮に入れて塩分調整してください。
まじうまい。あんなにまずかったそうめんがこんなにうまくなるなんて!w
まずいそうめんほど溶け出す小麦粉が多くなりがちなので、台湾線麺風にとって、ある意味、まずいそうめんがもってこいw 余っていたそうめんもこれで完全に成仏されます。
あとはお好きにアレンジして下さい。本場ではあまりないようですが、ラー油や花椒(ホアジャオ)を入れてもおいしいです。
ぜひぜひお試しあれ。
粒そうめんという新ジャンル!(追記)
おいしくないそうめんをミキサーで粉砕して粒そうめん(筆者命名)にしてしまう、というのもおいしくなりますよ。詳しくは以下の記事でどうぞ。