祐天寺駅から徒歩5分強、学芸大学駅から徒歩10分強。五本木交差点の近くに中華料理 栄楽があります。いわゆる街場の中華屋さんです。
ちょうど昼の12時。2つのテーブル席はご常連で埋まっていました。みなさん、ビールやワンカップを飲みつつ談笑しています。私はカウンターに座って、物腰の柔らかい、優しそうなご主人にチャーハンと餃子を注文しました。
ガラスの扉には赤いフィルムが貼られているので、店内は全体的に赤みがかっています。昔のスナックやキャバレーのような色合い。カウンター前も朱色、つまようじ入れのフタも赤、ラー油、七味も赤。赤で覆われたこの空間は昭和でノスタルジックな感じですが、妙に艶があります。なぜだか『赤色エレジー』を思い出しました。
奥のドアを開けるとご自宅の居間になっているようです。ご主人は居間の冷蔵庫からいろいろな材料を持ってきます。そして、ご常連も勝手に居間へ上がり、冷蔵庫から氷を持ち出しています。もう一人のお父さんに至っては、勝手に厨房に入り、水道でおしぼりを冷やしていました。フリーダムすぎwww
テレビでは甲子園をやっています。厨房からは中華鍋とオタマのチャッチャッチャという音が聞こえてきます。なんだかいい雰囲気。まったり。懐かしい。
ここであることに気付きました。背後の席から聞こえてくる、かわいい声の弾丸トーク。この声のマシンガントークといえば、この界隈ではお一人。学芸大学の学大横丁にあるカラオケパブ・湖畔のママw 甲子園を観るフリをして振り返ると、やはりママでした(たぶん)。
2、3度お会いしたことがあるだけ。当然、あちらは覚えてらっしゃいません。お友達同士でワイワイとやってらっしゃいますし、とりあえずは他人のフリをしておきましょう。
そんなこんなで、チャーハン(スープ付)と餃子がやってきました。
チャーハンはザ・街場の中華料理屋。ただ、味付けは比較的薄めです。こういう店にしては。なかなかおいしい。餃子も下味が薄め。けど、そこそこおいしいです。スープはしょうゆ味で、ネギ、ほうれん草、ワカメが入っています。このスープはそのままラーメンのスープにもなるんでしょうね。レンゲにも醤油皿にも栄楽と書かれています。おしゃれ。
そろそろ食べ終えるという頃に、思案します。どうしたものか、と。
「湖畔のママですよね? お店には焼き鳥 しまのけんさんに連れられてうかがってますし、BAR BULLBULLでもお会いしたことあります」
と一気に詰めて、なんならその酒の輪に入ってしまおうか。いや、お仲間同士で楽しくやってらっしゃるんだ。ここはやはり、最後まで他人として振る舞おうか……。
すべてを食べ終え会計をして、出口へ向かうその刹那、悪魔がささやきました。
「イタズラしちゃえ」
出口の赤い扉を開けると同時に、テーブル席に向かって軽く会釈。キョトンとするママに笑顔で「またうかがいますね」とだけ告げ、立ち去りました。
ふふふ。
「え? 誰だろう」「お客さんでいらしたかしら」
ママの頭の中は混乱しているはずw 夏の暑さと、赤い光がそうさせたんです。すみませんでした。近いうちに湖畔へ行き、タネ明かししてこようかな。……万が一でも違っていたら、それはそれですみません、こんな記事にしちゃってw
※追記:その後、湖畔にうかがって、こんなことがあったんですよーとお伝えしました。ママは覚えてらっしゃいませんでしたw 詳細は以下の記事でどうぞ。
おっと、栄楽の話だった。お父さん・お母さん方の社交場にもなっている、ノスタルジックな赤い空間。昔ながらの中華料理は優しい味わい。一度ぜひ。
SHOP DATA
- 栄楽
- 東京都目黒区五本木2-21-1
- 03-3713-1076
- 公式