学芸大学駅から徒歩15秒。東口を出て右に曲がったすぐ先に味之郷という中華料理店があります。2021年4月22日にオープンしました。
中華料理店の賑やかな外観は結構好き。中国にもよくありますよね。駅前にこういうのがあると街がパッと明るい印象になるような。
テイクアウトもやっています。
店内にはテーブル席と一人用のカウンター的な席。全86席というのは学芸大学ではかなりの大型店です。
グルメサイトなどを見ると、四川出身の料理人がいるそうな。フロア担当も中国出身と思しき方々。たどたどしさはありますが、それは決して嫌なものではなく、丁寧に接しようとする姿は好印象。
香飘四溢は香りが充満しているという意味です。同義語は香氣四溢。学芸大学にもある担々麺の店・香氣 四川麺条の店名の由来となっている言葉です。
ランチの四川麻婆豆腐は穏やか
ランチメニューは四川よだれ鶏、青椒肉絲、黒酢酢豚、海老マヨ、麻婆豆腐といった定食のほか、五目あんかけ焼きそば、ラーメン、担々麺、五目炒飯など麺・ご飯ものも。
「トンブリセット」w 「ドンブリセット」でしょうね。写真を見る限り、丼でもなさそうですがw 中華料理店など外国人が多く働く飲食店で見かける妙な日本語、私は好き。
平日の14:00~17:00は定食全品100円割引きです。うまいやり方だと思います。経営的にも、来客をバラけさせたほうがいいというこのご時世的にも。
「ピリ辛だけび」w 「ピリ辛だけど」でしょうね。
頼むものは来る前から決めていました。もちろん四川麻婆豆腐定食です。私は麻婆豆腐を食べるのも好きなんですが、それ以上に作るのが大好きなんです。人生で何百回と麻婆豆腐を作ってきました。
四川麻婆豆腐定食。
半炒飯(+200円)、餃子(オープン記念100円)もやって来ました(麻婆豆腐は数口食べた後)。ボリューミー。いえね、+200円でご飯が炒飯に変更できるというパターンも予想していたんですよ。そして、おじさんにはそれくらいでよかったんだけど、やっぱり変更ではなくプラスでしたw 若い人にはこれくらいがいいかもね。ちなみにご飯大盛りは無料です。
四川麻婆豆腐は少し甘め。中国の香辛料がほのかに感じられます。粉状になった花椒(ホアジャオ)はそれなりに香りますが、麻(マー)というほどでもなし。辣(ラー)はほとんどなし。
気になるのは片栗粉の閉じ具合です。きつめに閉じられているというよりも、閉じた後に時間が経っているかのような固まり方。デロっとしてます。ぬるいから、大量に作り置いたものを注文ごとに温め直してるのかな?
仮に作り置きだったとしても、それ自体が悪いとは思いません。ランチは効率的にこなしたいでしょうから、それくらいはまったくもって許容できます。ただ、そうするにせよやり方ってのがあるはずで。
テーブルに据え置かれていたラー油を大量にかけました。どうです? 見た目はおいしそうになったでしょ? 実際、これでようやくそれなりにおいしく頂けるようになりました。
こうしてもさほど辛くはなりません。辛さより重要なのは油。麻婆豆腐は大量に油を使うということがポイントなんです。この四川麻婆豆腐は麻辣と油が足りてないんだよなぁ。
わかりますよ。いい意味で手を抜くのもアリだと思います。原価のこともあるでしょう。ランチに求められる幅広く受け入れられる味というのもあるかもしれません。けどさ、にしてもねぇ。
「麻婆豆腐は四川の料理。だから四川麻婆豆腐と謳って何も間違ってない!」
「お前の言う麻婆豆腐は陳健一が日本で作り出した麻婆豆腐だろ。本場・四川ではこうなんだよ!」
そうかもしれないけど、そうじゃないでしょう。僕ら日本人が「四川」と聞いてイメージするのはこれじゃない。そして四川かどうかということが本質でもない。この麻婆豆腐自体がどうなのよ?と。
ぬるくてデロッとしている、まずくはないけどおいしいとも思えない、麻も辣も控えめな、少なくとも"四川"とは感じがたい麻婆豆腐……。「トンブリ」「ピリ辛だけび」を直す際、「四川麻婆豆腐」の「四川」を取っちゃったらいいのに。もちろんクオリティも見直してほしいところですが。
炒飯はパラパラというよりもパサパサ? 味付けもさっぱり。ついでにスープもさっぱり。
餃子はほんのり甘めでふくよか。そのままでも食べられますが、タレをつけたほうがよかったかな。おいしくはありますが、可もなく不可もなく。これもアツアツではないんだよなぁ。
私は構いませんが、人によってはもう少し火を通してほしいと思うかもしれませんね。
全体的にぼやけてます。引っかかりがない。「本格中華」という言葉が何を意味しているのかと話し出すとややこしくなるのでそれは横に置いておいて、とりあえず本格的とも感じられず、かと言って日本人が大好きな日式中華としても物足りない。
最大限によく言えば、穏やかで食べやすい中華料理でした。これがいいという人もいるでしょうし、他のメニューを食べてませんから、まあ……。ランチですしね。安いですしね。
夜の四川陳麻婆豆腐はがっつり麻辣
その日の夜。ちょっと仕事の話があって、食べながら話そうということになり、再び味の郷へ行ってみました。ランチのあの麻婆豆腐だけがイマイチという可能性もありますし。
夜も定食系のメニューがあるので、食事だけをしに行くこともできます。
品数がすごいな。私は怖かったのですが、相手がどうしても食べてみたいと言うので、本格!四川陳麻婆豆腐と香辣ホルモン干鍋を注文してみました。いずれも「辛めで」とオーダー。
話は逸れますが、夜のメニューにもところどころ妙な言い回しが散見されます。とはいえ、サラッと読んでいるとほとんど違和感がありません。これを作った人の日本語力はすごい。もし作ったのが日本人だったら? もうちょっとちゃんとしましょうw
奥に見えるのが一人用カウンター席。
まずはビール。紹興酒や焼酎のロックで使いそうなグラスです。これはこれで風情があっていい。
さて、四川陳麻婆豆腐がやって来たのですが……
そう。これだよ、これ!
ランチは四川麻婆豆腐、夜は四川陳麻婆豆腐。メニュー名に違いがあるとはいえ、この差よ。ランチも「四川麻婆豆腐」というメニュー名とあの写真を見たら、これを期待しますよねぇ。
ひと口。
はい、正解w 辛い!というほどではありませんが、しっかり麻辣がきいています。コクがあって、アツアツ。めっちゃうまいじゃん!
正直に言います。昼を食べた直後はプンプンでした。けど、夜にこの麻婆豆腐を食べて気持ちが収まりました。
香辣ホルモン干鍋。鍋の下に固形燃料が入れられるようになっているのですが、それを使うわけではなく、出てきたらすぐにそのまま食べられます。
ホルモンは豚の白モツ(大腸)とガツ。両方ともしょっちゅう自分でも調理します。大好きな食材。
辛くはありません。モツはしっかり煮られていてクセはなく柔らかい。変にきつい味付けでもなく、食べやすいです。鍋の底には玉ねぎが敷かれているのですが、サッと火が通っているだけ。シャクシャクとした食感が残っています。こりゃいいな。今度マネしよう。
ただ、おいしいんですが、これは3、4人で来た時に頼むものですな。2人じゃ多いw
ランチの麻婆豆腐はアレだったけど、夜の麻婆豆腐はとてもおいしかったです。香辣ホルモン干鍋もよかった。これなら他のメニューもきっとおいしいはず。たぶん。
つまめるものもあって、ガッツリ食べられるものもあって、値段はお手頃。狭い街中華や餃子の王将には入りづらい、かといって本格中華に行く感じでもない。そんな時にピッタリだと思います。カジュアルに、リーズナブルに、ゆったりと頂ける中華料理店・味の郷。一度、寄ってみてはいかがでしょうか。
味之郷の運営者
以下は推測です。
味之郷を運営しているのは株式会社中西商事。学芸大学駅西口にある大阪王将 学芸大学店および大阪王将 宅配専門 下馬店と同じだと思われます。
※2022年10月2日追記:いつの間にか、大阪王将 宅配専門 下馬店の運営が株式会社西陽商事に変わっていました。追記以上
神田にある餃子の郷の運営者と何らかのつながりがあり、プロデュース的なことをしてもらっているんじゃないかと。餃子の郷も中西商事、という可能性もなきにしもあらずですが。
あくまでも推測です。
SHOP DATA
- 味之郷
- 東京都目黒区鷹番3-3-16 YKビル1F
- 03-6303-1381
- 公式