簡単でシンプル、だけど本格的な麻婆豆腐の作り方です。これは四川飯店の陳建一さんによる麻婆豆腐の作り方をもとにしています。日本で本格的な麻婆豆腐を普及させたのが陳建一さんの父親、"四川料理の父"・陳建民さんです。
ちなみに筆者は最低でも週に1度、人生で何百回と麻婆豆腐を作ってきました。料理が好きで、人生でもっとも作っている料理が麻婆豆腐です。
材料
- にんにく 1片
- 長ネギ 1本
- ひき肉 200~300g
- 豆腐 1.5丁(300g)
- 豆板醤
- 甜麺醤(テンメンジャン)
- 豆鼓醤(トーチジャン)
- 醤油/塩
- ラー油(or/and ごま油)
- 花椒(ホアジャオ)
- 唐辛子
- 片栗粉
- 鶏がらスープ
- 紹興酒
- サラダ油
以上の分量で、たっぷり大盛り2人分~ちょっと小盛りな4人分です。
麻婆豆腐作りのポイント
麻婆豆腐作りで重要なのは2点だと思っています。
- 焼く
- 油
焼くということ。そしてふんだんに油を使うことをためらわないということ。これが麻婆豆腐をおいしくします。
調理工程
炸醤(ザージャン)を作る
多めの油でひき肉をしっかりと炒めます。ひき肉は豚でも牛でも合い挽きでも構いません。より本格的にしたいなら(そして手間を惜しまないなら)、ブロック肉から包丁で叩いてひき肉にしてもいいでしょう。
最低限、肉からの水分が飛び、油だけになって、チリチリチリという音になるまで炒めます。油も少なくなり、ひき肉がカリカリになるまで炒める店もあるようです。できあがりの風味・食感に差が出るので、どれほど炒めるかはお好みで。
ひき肉にしっかり火が通ったら、甜麺醤を加え、さらに炒めていきます。
全体がなじんだら炸醤(ザージャン)=中華風肉味噌の完成です。
炸醤は汁なし担々麺やチャーハンなど、いろいろなものに使えるので、多めに作り置きしておくという手もあります。いやむしろ、そのために炸醤を作るとも言えます。
逆に、もっと簡略化させたいなら、次の工程と一緒にしてしまっても大丈夫です。詳しくはまた後ほど。
調味料を炒める
豆板醤、唐辛子、豆鼓醤(もちろん豆鼓そのものでもOK)、にんにくを炒めます。お好みでみじん切りにしたショウガもどうぞ。
豆鼓/豆鼓醤は近所のスーパーで売ってないかもしれません。そういう場合は省いてOK。ただ、これを入れると一気に本格っぽくなるんですよねぇ。できれば揃えてみて下さい。
一度、炸醤を取り出して炒めてもいいのですが、面倒であればこのように、炸醤を端にのけて、空いたスペースで調味料を炒めましょう。調味料を炒める理由は、それぞれの風味を引き出すためです。
にんにくが色づくくらいに炒まったら、炸醤、紹興酒を合わせてなじませます。
前述の通り、炸醤作りとこの工程を一緒にしてしまっても大丈夫です。つまり、最初から甜麺醤、豆板醤、唐辛子、豆鼓醤、にんにく、ひき肉を一緒に炒めてしまうのです。作り置き用に大量の炸醤を作るというわけではないのなら、一緒にしてしまってもいいかもしれませんね。
いずれにせよ、しっかりと"焼く"。これが重要です。
スープを加える
全体がひたひたになる程度の鶏がらスープを加え、醤油や塩で味を整えます。写真はスープが少し多めです(筆者の好み)。これで麻婆豆腐のベーススープが完成です。
豆腐を茹でる
豆腐は木綿でも絹でもOK。
あらかじめ豆腐のパックを開けておき、常温に戻しておきます。そして、塩を入れたお湯で豆腐を茹でます。豆腐から水分を抜くため、そして型崩れしづらくするためです。熱湯で2分も茹でれば十分でしょう。
コンロがひとつしかなくて面倒ということであれば、ここは省いて下さい。ただ、その場合はベーススープを少し濃い目に作っておくといいかもしれません。
豆腐を投入
茹でた豆腐をすかさずベーススープへ。
豆腐とスープが馴染んできたら、大きくカットした長ネギ(青い部分)も入れて煮込みます。
本来は葉ニンニクを使うのですが、葉ニンニクは入手しづらいので、長ネギで代用しています。ニンニクの芽でもいいのですが、ま、長ネギでいいでしょう。
片栗粉を投入して焼く
一度、火を弱め、水で溶いた片栗粉を入れ、堅めにとじます。そして水分を飛ばすように強火でしっかりと焼くように煮炒めていきます。
ここでしっかりと"焼く"ことが重要です。片栗粉に火を通すという意味もあるのですが、こうすることでコクが出ます。フッ素樹脂加工されたフライパンだとなりづらいのですが、鉄のフライパンであれば底が少し焦げるくらい焼きます。それくらいのイメージで。
仕上げ
仕上げに花椒、ラー油、みじん切りにした長ネギ(白い部分)を入れます。
プッシュ式の瓶のラー油がありますよね。100円均一で売っているような。あれだったら1瓶すべて使うくらい入れて下さい。
こういう類の中華料理で一番のポイントは油なんです。お店で食べる中華料理っておいしいじゃないですか。チャーハンも回鍋肉(ホイコーロー)も青椒肉絲(チンジャオロースー)も麻婆ナスも。これらは油が大量に使われているからおいしいんです。健康のことを考えちゃだめ!w
全体をひと混ぜしたら完成です。
皿によそったら、お好みでさらに花椒をどうぞ。どうしても花椒が手に入らないということであれば、普通の日本の山椒で。これはこれでなかなかよいですよ。
麻婆豆腐をさらにおいしくするコツ
自家製ラー油
5分でできます。ぜひ試してみて下さい。
1.ごま油・サラダ油(好きな比率。どちらかだけでもOK)で、すりおろした/みじん切りにした香味野菜を炒める(にんにく、しょうが、長ネギなど)
2.この油を熱々のまま、粉末状にした唐辛子・花椒に注ぐ
たったこれだけ。作ったらすぐに使えます。簡単でしょ? 焦がさないようにご注意を。
より詳しく知りたいという方はこちらをどうぞ。
辛くするには?
辛さには2種あります。麻(マー)と辣(ラー)です。麻は花椒によるしびれる辛さ、辣は唐辛子によるホットな辛さ。
花椒、唐辛子の量を増やせば辛くなるわけですが、特に唐辛子。辛い唐辛子を使ってください。質の悪い唐辛子だと、いくら入れても辛くなりません。どの唐辛子が辛いかは、いろいろ買って試してみるしかありません。
コクを出す
もし、もっとコクを出したいなら、ひき肉を炒める際に、あめ色に炒めた玉ねぎやフライドオニオンを加えるのがおすすめです。最後に荒く砕いたナッツ類をトッピングしてもおいしいですよ。
うまみを加える
中華料理で大切なのは、油と"うまみ"です。ただ、安易に味覇(ウェイパー)などのうまみ調味料を加えるのはおすすめしません。その味になってしまうからです。またいつものあの味かぁと。
鶏ガラスープの素くらいはいいとして、それ以上にうまみを強く出したいと思うなら、砂糖、砂糖が嫌ならハチミツでもなんでいいのですが、甘いものを加えて下さい。うまみと甘味は紙一重なので、甘味を加えるだけで、グッと"うまみ"が強くなったように感じます。
干しエビやオイスターソースを使っても面白いですよ。
どうでしたか? 難しくはないですよね。このレシピはあくまでも基本です。
あとはいろいろとアレンジして、自分好みの麻婆豆腐を見つけてみて下さい。
↑一番外側が真っ赤でしょ? これが油。ラー油。四川飯店もこれくらいラー油を入れているということです。実際にどれほど入れているかは15:00あたりからご覧ください(仕上げだけでこの量!)