100種以上のそうめんを食べてきた素麺マニアの悩み
日本全国のそうめんを100種以上食べてきて、そのほとんどを当ブログで紹介しています。そうめんレビュー数としては日本一かも? それくらいそうめんが好きです。
ただ、そうめんをこれだけ買っていると、どうしても残ってしまいます。
「そりゃそうだろう。そんなに量食えないし」
いや、そうじゃないんです。量の問題じゃないんです。そうめん好きな私ですら食べることをためらうほど、おいしくないそうめんが存在するんです。
6束中3束食べてみた。おいしくなかった。3束残る。次のそうめんも6束中3束食べてみた。おいしくなかった。3束残る。次のそうめんも……。開封済のそうめんがどんどん溜まっていきます。
とはいえ、食べ物を破棄するわけにもいきませんから、まずいそうめんをどうやって消費するかというのが、そうめんマニアの悩みどころでして。たとえば、そうめんを揚げて、あんかけかた焼きそば風にしてみたり、くずぐずに煮込んで台湾麺線風にしてみたり、いろいろ工夫してそうめんを食べてきました。
そんな中、私はひとつひらめきます。
「そうめんは小麦粉を水で練って乾燥させたもの(※)。ということは、そうめんを粉砕すれば、小麦粉と変わらないはず。そうなったらいくらでも活用できそうじゃん!」
こうして私はそうめんを粉砕してみようと決意するに至ったのです。
前置きが長くなりましたが、ここからも長いです。
※そうめんには食塩も使われます。手延べそうめんの場合は食用植物油も。そうめん、手延べそうめんに関しては次項
粉砕すべきそうめんとは
大前提として、ひとつ重要なことを書きます。ここは読み飛ばさないで下さい。
そうめん(広義)には2種類あります。
- そうめん(狭義)=機械麺
- 手延べそうめん
両者はまったく別物です。そして、手延べそうめんは基本的にはおいしいのですが、機械麺のそうめんにはおいしくない、いや、はっきりと書きましょう、まずいものもたくさんあります(それなりにおいしいものもあります)。
両者の違いは商品パッケージの裏面を見ればわかります。原材料や製造者が記載されている品質表示の名称欄に「そうめん/干しめん」と書かれているのが狭義のそうめん=機械麺。「手延べそうめん/手延べ干しめん」と書かれているのが手延べそうめんです。
おいしいそうめんを普通に食べたいのであれば、手延べそうめんを選んで下さい。手延べそうめんでまずいものは、ゼロに等しいくらいありません。もし、おいしくない、まずいと感じたら、それはほぼ100%機械麺のそうめんです。
私が普通の消費者であれば手延べそうめんしか買いません。けど、そうめんをレビューする身としては、スーパーでよく売られている機械麺のそうめんも試さなければいけません(勝手な義務感)。ですから、おいしくないそうめんが残っていく、というわけです。
さて、この記事で冒頭から言っている「そうめん」は機械麺のそうめんを指します。この記事を参考にして、そうめんを粉砕してみようと思われる方は機械麺のおいしくないそうめんでお試しを。手延べそうめんはそのままで十分おいしいですから、そのまま食べて下さいね。
そうめんを粉砕したら思わぬ事態に
では、そうめんを粉砕してみます。
おいしくないそうめんをポキポキと折りながら、ミキサーに詰めてきます。そうめんを折ろうとすると、ポロポロと落ちるので、バットや皿の上で折るのがお勧めです。
では、粉砕!
ものの15秒ほどで粉状に。器に開けてみました。
……あ。なるほど。
私のミキサーでは粉末にはならず、粒状にしかならない!w おそらくですが、これくらいのサイズのミキサーだと、そうめんは粉末状にはならないかもしれません。もし粉末状にしたければ、これをひたすら叩くしかないかな?
ただ、瓢箪から駒。ケガの功名。不幸中の幸い。そうめんセレンディピティ。
粉末になったら、それはそれでよかったでしょうけど、粒状ってのも面白そうじゃないですか。予想とは違いましたが、これはこれでよし。粒状のそうめんをどうするかということを考えていきましょう。
命名。粒そうめん!w とにかく一度ゆでてみます。
そうめんのパッケージに表記されていたゆで時間通り、3分ゆでてみました。
な、なんだろうな。この得も言われぬ……。
まずはそのままひと口。
……。
わからんw
頭の中の食データベースをひっくり返してみても、一致する過去データが見つかりません。クスクス? いや、クスクスよりは粒が大きい。ブルグル? いや、ブルグルよりも粒は小さい。
味は基本的にはそうめんと変わりませんが、このサイズ感・食感は私の拙い食経験で初めてのものでした。
決してまずくはありませんが、「おいしい!」とうなるようなものでもありません。ただ、今回の目的はおいしくないそうめんを少しでもマシにして消費すること。おいしくなかったあのそうめんを食べ進めるよりも、これで食べた方が断然いいと感じられたので、一応は成功とみなしましょう。
ゆでた粒そうめんをいろいろアレンジしたらおいしかった!
とりあえず、クスクスやブルグルだと思ってアレンジしてみました。
まずは即席なんちゃってサルサを作ります。
- 玉ねぎ
- きゅうり
- ホワイトセロリ
- プチトマト
- 唐辛子
- レモン
- 塩
- コショウ
が材料です。これらすべてをみじん切りにして和えるだけ。本当はパクチーも入れたいところ。
このサルサを粒そうめんと混ぜ合わせます。題して、クスクスサラダ風エスニック粒そうめん。
!!!
えっ! めっちゃうまい!w そうめんというよりもサラダ感覚。さっぱりしてて、なんぼでも食べられそう。
先ほど、「一応は成功」と書きましたが、ここで「間違いなく成功」と訂正します。エスニックが好きな方はぜひぜひ試してみて下さい。
前日のカレーが残っていたのでこうしてみましたが、もちろんおいしかったです。
なお、どの写真もお粥のように見えるかもしれませんが、実際はお粥とはぜんぜん違います。食感はムチッ、プリッ。ちゃんと一粒一粒がはっきりしています。
粒そうめんを衣にして唐揚げにしたら、まさかのアレになった!
次に、粒そうめんを衣とした鶏の唐揚げを作ってみました。
鶏もも肉を醤油、しょうが、にんにくのタレに1時間ほど漬け込み、粒そうめんをまとわせます。何気にしっかりとつきました。
揚げても粒そうめんの衣がはがれるということはありません。
おおお。おいしそうじゃない。たぶん、ごま団子っぽいのかなぁ。どれどれ。
なぬっ! ええええ!?
想像していたごま団子とはまったく違います。衣の食感はポリッ、コリッ。未知なる食感……いや、待てよ。未知じゃない。どこかでこれに出会ってる。いったいこれは……。
あっ!
チキンラーメンをそのままバリボリ! アレだっ! まさにアレ! しかも、これは醤油味の鶏肉。味までチキンラーメンに似てる! これはもう言わばチキンラーメン実写版! なに言ってんだ俺?w けど、そう言いたくなるくらい本当にチキンラーメンっぽい。
じゃあ、これがうまいのかと問われれば、少し間をおいて「まー、なくはない」と答えるしかないのですが、面白くはあります。意表を突かれる味・食感。二度目はないかもしれませんが、一度はやってみてもいいかもしれません。
余談。ゆでた粒そうめんを衣にしたらどうだろうと想像してみたのですが、粒そうめんが水分を含むので揚げづらくなると思います(or 揚がるのに時間がかかる)。ですから、乾麺状態の粒そうめんのほうがいいような。あくまでも想像ですが。
粒そうめんで垣間見た素麺の新たな可能性
結論。
そうめんをミキサーで粉砕すると粉末にはならず、粒そうめんになる。粒そうめんはクスクスやブルグルだと思って調理するとおいしい。粒そうめんを衣にして鶏の唐揚げを作るとチキンラーメンを感じられる。揚げるよりもゆでるほうがいいかも?
これが結論ではありますが、予想していなかった粒そうめんに出会い、もっといろいろな活用方法があるのではないかと、そうめんの可能性にワクワクしましたw また違ったアレンジを考え、いいものができましたら追加で紹介していきたいと思います。
余っているそうめん、おいしくなくて食べたくないそうめんがありましたら、試してみてはいかがでしょうか。