肝臓公司ロゴ

立ち食い寿司・一花星/いちばんぼし(学芸大学)はサクッと気軽に食べられる、リーズナブルだけどおいしい寿司屋。つまみも絶品で、〆にはあら汁がマスト!

ichibanboshiの画像

「こういう寿司屋がほしかった」

そう感じる人も多いだろうなぁ。

ichibanboshiの画像

学芸大学駅から徒歩2分。東口商店街の裏手に広がる十字街に寿し 一花星(いちばんぼし)という寿司屋があります。2019年4月25日にオープンしました。

※2022年12月~2023年1月初旬に閉店しました。

ichibanboshiの画像 ichibanboshiの画像

カウンターには椅子が2脚あるのですが、基本的には立ち食いです。この日はテーブル席もありました。いつもあるのかな? もしかしたらテーブル席を希望する予約が入った時だけテーブルを出すとか?

※2019年6月16日追記:基本的には立ち食いなんですが、日によっては椅子が増え、完全な"立ち食い"という感じでもないこともあります。追記以上

ichibanboshiの画像 ichibanboshiの画像

寿司以外につまみ系もあります。寿司は一貫ずつでも頼めますし、5貫、4貫、3貫といったセットもあります。いろいろ食べてみたいので、まずはおまかせ5貫盛り、本まぐろ4貫盛り、貝盛り三貫、光盛り三貫をそれぞれひとつずつお願いしました。

ichibanboshiの画像

オープン直後、平成最後の日、2019年4月30日に行ったので、振る舞い酒。

ichibanboshiの画像

「こちらお通しのおひたしです。鹿島の無農薬の小松菜を使っています」

塩味(えんみ)がさほどありません。かと言ってダシが強いわけでもない。なのにおいしい。へー。なんだろう。もちろん素材のよさもあるんだろうけど。あとは食感か。面白いなぁ。

まずは小皿に醤油を取り、ひと舐め。実は醤油が大きなポイントですから。一花星の醤油には明らかにうまみが加わっていました。なんだろう。

「これは普通の醤油じゃないですよね?」

「いりこのダシを加えてます」

やはり。この醤油うまいなぁ。

ichibanboshiの画像

1、2、3、4手。

ichibanboshiの画像

本まぐろ4貫盛りは赤身、中トロ、大トロ、ヅケ。

ichibanboshiの画像

おまかせ5貫盛りは中トロ、カツオ、カンパチ、甘エビ、アジ。

ichibanboshiの画像

貝盛り三貫は赤貝、つぶ貝、ホタテ。

ichibanboshiの画像

光盛り三貫はアジ、〆サバ、小肌。以上は二人でシェアしました。

うーん、いい。とてもいい。

比較的しっかりとシャリが握られているように感じます。この握り具合とシャリの量、ネタの大きさがちょうどいいバランスです。

特によかったのが光り物、貝、カンパチ。サバもコハダも締め過ぎていない。もしかしたらシャリの酢も控えめかもしれません。シャリもネタもさっぱりさせ過ぎないから、食べごたえを感じます。

ichibanboshiの画像

「ここだから立ち食いにしたんですか? それとも、どこであろうと立ち食いにしようと考えてたんですか?」

「おまかせのコースという店も想定しなくはなったんですが、立ち食いにしようとして、いろいろ探していたら、ちょうどこの物件が見つかりまして。学芸大学をいろいろ見て回ったんですが、老舗や高級店しかなくて、カジュアルに寿司を楽しめる店がないなぁと。じゃあ、カジュアルって何だろうと考えた時に、やっぱり立ちがいいだろうと」

「学大で立ちは面白いと思います」

この物件が空いたとき、物件の形、家賃、もろもろ鑑みて、ここで何をどうやればいいのか私には想像がつきませんでした。そうしたらまさかの寿司屋。ビックリすると同時に、寿司食べ放題もひとつの手だなぁと思っていました。少なくとも客単8000円、1万2000円、2万円といった普通の寿司屋では厳しいだろうなと。

そんなことを考えていたら、内装工事をしている職人さんが立ち食いだと教えてくれて、「おお! その手があったか!」と。

ちなみに学芸大学は立ち飲み・立ち食いでは成功しない街"でした"。このあたりのことは後ほど。

ichibanboshiの画像

アンコウのから揚げ。

ichibanboshiの画像

岩塩をすってもらいました。衣はサクッとしていて、身はしっとりジューシーでハフハフ。うううう。うまいよぉ……。

「いいトリガイがあるので、もしよければいかがですか?」

「どんな感じにしてもらえるのでしょう」

「握りでも刺身でも」

「じゃあ刺身でいただこうかな」

「ありがとうございます。4切れお出ししますね」

ichibanboshiの画像

コリッ。プリッ。いいねぇ。辛味と甘味のあるワサビもうまい。

「どうして貝を叩くんですか?」

「貝って叩くと動くんですね。そうすると新鮮に見えるじゃないですか。そういうアピールのためですね(笑)」

「なるほど(笑) お二人は前から一緒だったんですか?」

「ずっと一緒に働いていて、私が店長で彼は最初アルバイトだったんです」

「それを引き抜いてきた、と(笑)」

「はい(笑) 2年ほど前から彼も本気でこの職に取り組むことを決意して、独立したら一緒にやろうとずっと話していたんです。彼は音楽をやっていて、そのつながりがすごい。全国に知り合いがいるから、それもプラスだろうなぁと」

一緒に働いていたという店はまぐろ人 狛江店。当時の馴染み客であろう方との会話で、もうお一人がきくちゃんと呼ばれていることがわかりました(本名は河島弘和さん)。ベースをやっていたそう。笑顔がとてもいい。人を惹きつける魅力がある。店主・沼田貴光さんが右腕としてきくちゃんを連れて来たかったというのも頷ける。いいコンビだなぁ。

握りに戻りましょう。ここからは一貫ずつ注文。

ichibanboshiの画像

くじらの塩ダレ。ごま油がいい感じ。

「本当はクジラ専門店にしたかったくらいなんです。このあたりにないじゃないですか。本当のクジラベーコンはみなさんが知ってるものとまるで違う。そういうのもいっぱいご紹介できたらなぁと。ここも少しずつクジラ色を強めて行けたらいいんですけどねぇ」

どうだろう。とりあえず、ここを立ち食い寿司として成功させて、その後、どこかにクジラ専門店を出せばいいんじゃないかなぁ。学大という街でクジラ専門店はちょっと尖り過ぎ、絞り過ぎのような。いや、他の街からも客が足を運ぶような人気店にするんだという強い気概があるなら、学大でもありか。

ichibanboshiの画像

生サーモンはわずかにシャクっとしています。意図してそうしているのかどうか。私はこれでいいと思いますが。こってり濃厚。

ichibanboshiの画像

ちょっと贅沢してうに。

「塩をふっているので、そのままどうぞ」

あーあ。うめぇなぁ。

これはきっと私の勘違いなんですが、先ほどのセットと一貫ずつで頼んだ場合とで、握り具合が違ったように感じました。一貫ずつのほうが緩い。ウニがそうなるのはわかりますが、クジラもサーモンもそうでした。けどまあ基本的には同じだろうな。私の思い過ごしw

ichibanboshiの画像

ねぎとろの細巻きはまったりコクのあるマグロ。くぅ。

握りの注文は客に書かせてもいいかもね。立て込んだら大変じゃないかなぁ。

ichibanboshiの画像

あら汁を最初に口にした連れが声を漏らします。

「めっちゃうまい。やばいよ」

うわぁ。チンチンに沸かされたアツアツのあら汁。うまみがやばい。

「なんぼでも飲めるな」

「二つにしておけばよかったね」

「もうひとつののり汁とひとつずつとかね」

〆にあら汁はマスト。絶対に頼んで下さい。これは絶対です。

「お会計をお願いします」

「ありがとうございます。お待ち頂いている間、お口直しにこちらをどうぞ」

ichibanboshiの画像

ポリッ。大根の醤油漬け?

「大根ですよね」

「はい。大根の皮とか、大根を摺っているとどうしても少し残るじゃないですか。そういうのを使ってます」

「おいしいですねぇ」

「ありがとうございます」

会計は二人で約7600円。今回は振る舞い酒もあったので、ドリンクを頼んでいません。もし2杯ほど頼んでいたら、一人4000円~5000円ほど。

ichibanboshiの画像

店を出て連れと話します。

「学大4つ星だね」

「へぇ。何がよかったの?」

「水が大きいグラスだった」

うわ。確かにウーロンハイサイズでした。けど、それを最初に挙げるか。いいところ突くね。悔しい。やられた。

「立ち飲み・立ち食い嫌いじゃん?」

「あれならぜんぜん大丈夫」

「ちょうど1時間か。あとは?」

「ガリも甘すぎなくてよかった。一番よかったのはトリガイかも。あの値段であのクオリティは相当いいよ」

実は前日、すぐ近くの焼酎呑ミ処 2nd.(セカンド)で一花星の話題になりました。そうしたら、隣で飲んでいた女性が「行ってくる」と中抜けして食べに行き、30分後、戻って来ました。

「どうでした?」

「立ち食いの寿司が好きでいろいろ行ってるけど、ここがナンバーワンになりました。〆サバが特によかったですね」

本当はゴールデンウィーク明けに行こうとしていたんですが、こうまで言われたら我慢ができず、翌日に行ってしまったというw

鳩乃湯に続き、新しい学芸大学を感じさせる一軒でした。サッと気軽に行って、サッと食べてサッと出られる。立ち食いだけど、女性からの評価も高いし、人気店になるんじゃないかなぁ。

飲み過ぎなければ、リーズナブルにおいしい寿司が楽しめるはずです。もちろん1軒目でもいいのですが、2軒目にサクッと行くというのもいいかもしれませんね。ぜひ。

SHOP DATA

学芸大学と立ち飲み

学芸大学の飲食店は地元民が7割、8割というお店がほとんどでした。他の街からわざわざ目指してやって来るような街ではなかった。

そんな学芸大学に住む学大飲食の客たちは、馴染みの店でどっしり腰を落ち着かせて飲みたい。だから立ち飲みを敬遠しがちでした。

また、立ち飲みで重要なのは回転です。けど、学芸大学の"パイ"なんてたかが知れています。回転するほどの人口じゃない。

というようなことがあって、学芸大学で立ち飲みは成功しませんでした。最初は立ち飲み、もしくは座りメインで立ちの席を設けていても、しばらくすると絶対に椅子を置くようになります。例外はふたつ。立ち飲みを貫き通せたのは晩杯屋日本酒専門店 圭のみです。なぜ晩杯屋と圭が立ち飲みでうまくいったかは略。

ところが、学芸大学が変わりつつあります。"学大の中目化"もそのひとつなんですが、他の街から人が来るようになりました。人が多くなり(特に若者)、人が動く。こうなってくると立ち飲みにもチャンスが出てきます。

ichibanboshiの画像

ですから、学大に立ち食い寿司ができたというのは必然だと思いますし、面白いチャレンジだとも思います。

ただ、一花星に関してはひとつ気になることがあります。カウンターに椅子を2脚置いていること。テーブル席を設けていること。

難しいところだなぁ。もし立ち食いで通したいなら、私だったら椅子をひとつも置かない。「座りたい方はどうぞ」でやっていたら、ずるずると椅子の店になってしまう。という事例を学大であまた見てきたから。椅子があるとわかると、「座りたい」と言い出す客がどうしても多くなるんですよねぇ。さて、客の甘えに毅然と立ち向かえるかどうか。うーん、難しい。

いずれにせよ。

学大が変わったから一花星は立ち食い寿司でやっていけるはず。

とも言えますし、

一花星が立ち食い寿司で成功したら、それは学大が変わったという証でもある。

とも言えるでしょう。

学芸大学の現状が透けて見える一花星。学芸大学という街を愛する人間としては、一花星がどうなるのか、一花星が立ち食いを貫き通せるのかどうか、非常に興味がそそられます。

※2019年6月16日追記:基本的には立ち食いなんですが、予想通り、徐々に椅子が置かれる機会が増えているように見えます。やっぱそうなるんですよねぇ。椅子を置くとなると、またいろいろ話が違ってくるのですが、とりあえず今後どうなっていくのか見守りたいと思います。追記以上

学芸大学の全飲食店リストバナー