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Kacky's/カッキーズ(学芸大学)は70年代のレコードがかかるノーチャージの音楽バー。ソウル、ロック、ポップ、アイドル、なんでもあって、聴いたことはなくとも懐かしく、優しいマスターに癒されました。

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学芸大学駅から徒歩3分。東口を出て線路沿いを真っ直ぐ行くと、笹崎ボクシングビルという大きなビルがあります。

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ビルの角を曲がってすぐのところ、笹崎ボクシングビルの1階にKacky's(カッキーズ)というバーがあります。手打ちそば やっこの隣です。

私は音楽がからっきしなので、音楽をウリにしたバーが苦手です。別に音楽がかかっていること自体は嫌じゃない。けど、音楽で話せることがないから、行ったところで会話が弾まないし、なんだか申し訳ない気分になるのです。

こんな私が唯一、好きになってハマったのがBABYMETALなんですが、音楽バーで「BABYMETALが好きです」と答えてもねぇw あっちも困るだろうしさw

つまり、「RETRO MUSIC BAR(レトロミュージックバー)」と銘打たれたKacky's(カッキーズ)にこれまでなぜ来なかったかというと、そういうわけでして。

じゃあ、なぜ今回、Kacky's(カッキーズ)に行ったかというと、直前にtricky's(トリッキーズ)で飲んでいて、同じ筋にあるもんだから、帰り際に前を通り、ちょいとお酒が入った勢いで。

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「初めてですよね」

「はい」

「70年代の音楽が中心のバーです」

「生まれた頃合いです(笑)」

やってらっしゃるのは、ハンチングとヒゲがお似合いの62歳のマスター。店内はカウンター10席。男性と女性の先客がいらっしゃいました。

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お酒の種類はそれほどありません。一杯目はジャックダニエルのロック。余談ですが、ジャックダニエルはバーボンではありません。テネシー州で作られているのでテネシーウィスキー。バーボンはケンタッキー州。

話が前後してしまうのですが、KACKY'S(カッキーズ)はノーチャージで、つまみは食べ放題、何を飲んでも基本的には一杯1000円ということが会計時にわかりました。

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「和洋取り揃えてます。何かリクエストがあれば言って下さい」

BABYMETALの「METAL RESISTANCE」から「Tales of The Destinies」を、とはもちろん言いませんw 一応、出してる2枚のアルバムはアナログ盤でも出ていますが。

「あ、はい。レコードは何枚くらいあるんですか?」

「主にかけるのはシングルで300枚くらい。アルバムは500枚くらいですね」

もっとありそうに見えるけどなぁ。すごい。

「こちらはどれくらいになるんですか?」

「丸10年と半年です。ここはもともともバーだったんですが、居抜きで。レコードのある棚はお酒が並んでいたんですけどね」

帰って調べてわかったことですが、オープンしたのは2007年10月13日でした。

「その前はどこか他でやってらっしゃったとかですか?」

「いえ、ここが初めてです。最初の6年くらいは勤めながらでした」

「うわぁ。すごいですね」

「大変でした(笑)」

「音楽はやってらっしゃったんですか?」

「いえ、聴くだけです」

とても温かみのある、穏やかで優しいマスター。一番好きなジャンルはソウルだそう。これまた後ほどわかったのですが、お名前が柿沼なのでKACKY'S(カッキーズ)。

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「どんな音楽がお好きですか?」

当然、こういう会話になりますw

「音楽はからっきしで……。中学生の頃にちょうどレコードとCDが入れ替わっていて、レンタルレコード屋でレコードを借りたりはしてたんですけど。友&愛で」

「学芸大学にもありましたよ」

「へー、そうなんですか」

これは友&愛が学芸大学にもあったということか、あるいはレンタルレコードショップが学芸大学にあったということか。どっちだろうな。どっちでもいいんだけどw

レコード、CDを借りてきては、TDKやmaxellの46分テープに入れる。キッチリと曲を収めたいから、それぞれの曲の分数を書き出して計算するんだよね。どういう並びで入れれば効率がいいかを。

「どんなものを聴いてました?」

「ごくごくオーソドックスなポップスとかロックです。マドンナとか、アイドルだと中森明菜とか……」

かかっていた70年代と思しき曲が終わると、一瞬でそれとわかる曲が流れて来ました。

「『ラ・イスラ・ボニータ』だ」

音楽はからっきしなんですが、まったく聴いていなかったわけではありません。薬師丸ひろ子、中森明菜、REBECCA、マドンナなどなど。基本的には女性ボーカルばかり。楽曲の好みもさることながら、声が好きなんだろうなぁ。

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もうお一人、私と同じく、一見という方がいらっしゃいました。私より少し上くらいかと思ったら、8つも違ってた。ひえぇ。てか、私が一番年下だ。居酒屋ではあるけど、バーでこういうのは、この歳になるとなかなかないなぁ。

続いてかかったのも、出だしですぐわかりました。中森明菜。「北ウイング」「スローモーション」。

「中森明菜だなんて、おませさんだったんですね(笑)」

と、私よりひと回り上という、ひと回り上には見えないお姉さん。ふむ。よくよく思い返してみると、アイドルだった中森明菜は私の小学生時代。これらの曲は後年聴いたんだろうな。当時、リアルタイムで聴いていた記憶が強いのは「DESIRE」「難破船」あたりか。声も容姿もかわいらしさがなくなって大人っぽく(?)なり、どんどん闇に、それこそまっさかさまに堕ちて行く予兆があった頃w

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二杯目は甘めのダークラムでも飲みたかったのですが、バカルディのホワイトしかなかったので、バーボン・フォアローゼズ。久々に飲んだフォアローゼズが記憶より辛く感じたのは、直前に甘めのジャックを飲んだせいかな。

歌手名も曲名もわからないけど、聴いたことはある曲がお客さんのリクエストで次々とかかります。

それにしても不思議なもんです。音楽に興味がないってのに曲は知っている。そして、もしかしたら生まれる前の曲かもしれないんだけど、懐かしい。

「お客さんの会話をヒントに、スッと曲をかけてくれるんです」(女性)

こんな私の心にもスッと入ってくる70年代、80年代の音楽。音楽の力というか、マスターの力というか。

ただ、これは知りませんでした。

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オランダのロックグループ、ショッキング・ブルーの「悲しき鉄道員」。

「ショッキング・ブルー、悲しき鉄道員……これは知りませんでした」

「『Venus(ヴィーナス)』という歌が有名ですよ」

「すごいタイトルだな。『悲しき鉄道員』って……。え? 鉄道員と結婚しちゃいけないって内容なんですか? 原題が『Never marry a Railroad man』って……」

「歌詞の内容は気にせず聴いてますから(笑)」

帰って調べてみたところ、浮気性の男と付き合っちゃいかん、って内容でした。浮気性の男が鉄道員にたとえられてるんです。ひでぇなw

最後のほうにかかって覚えているのは麻丘めぐみの「わたしの彼は左きき」。私が生まれた年の曲。ん? 別に誰かがリクエストしたわけじゃなかったような。てことは、もしかして……。いや、それは考え過ぎか。確かに私の生まれ年は先ほど言った。けど、さすがにそれに合わせたってわけでは……。たまたま、たまたま。

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「お会計をお願いします」

「2000円です」

「チャージはないんですね」

「はい。一杯1000円で、スナックは自由で」

「わかりやすいですね(笑) ごちそうさまでした」

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こんな私でも楽しかったというのは、マスターのお人柄とか他のお客さんが素敵だった、つまりはKacky's(カッキーズ)がそれだけよかったということなんだけど、興味がないなりに、もう少し上手に立ち回れればなぁ。バーの側からすると、つまんない客だったろうし、やっぱりなんだか申し訳ない気も(^^;

40代以降の音楽が好きな方であれば、絶対に楽しいはず。私のように音楽に興味がないという方でも、なーんか懐かしい気持ちになれます。Kacky's(カッキーズ)でちょいと思い出の扉を開いてみてはいかがでしょうか。

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