素麺3大産地のひとつ播州。今の兵庫県です。特に姫路市、たつの市、宍粟市、揖保郡、佐用郡といった揖保川流域周辺には素麺の製麺所が数多く点在しています。
播州の素麺といえば揖保乃糸。ですが、当然、揖保乃糸だけではありません。それほどメジャーではありませんが、他にもいろいろあります。その内のひとつが「鶴の糸」。ただ、これは正確には「藤塚瑞穂」。このあたりのことは後述。
販売元は"基本的には"JAハリマで製造元は不明(だったのですが、わかったので後述)。束紙には鶴のマーク。パッケージがない理由についても後述します。
茹でる前は細めでしなやかな麺。柔らかな小麦の香り。説明には茹で時間2分とありました。おそらくそれは長すぎだと思い、1分20秒ほどで上げました。
ほどよい弾力で、小気味いい歯切れ。舌触り、喉越しは滑らか。小麦の風味もしっかりしています。少々のバイアスがかかった上での感想ですが、生産地が近いせいなのかなんなのか、確かに揖保乃糸っぽい素麺です。
とてもおいしいです。限りなく5に近い星4。
名称 | 藤塚瑞穂 |
原材料名 | 小麦粉、食塩、食用植物油 |
販売者 | カドヤ |
製造者 | 藤塚瑞穂 |
評価 | ★★★★☆ |
3大産地の素麺を食べ比べ
実はこの素麺、東急ストア 駒沢通り野沢店で販売されていた「手延素麺 めんくらべ 島原 播州 小豆島」という3種セットの内のひとつです。
こうなっていたから、それぞれのパッケージはありません。また、このセットには播州手延べ素麺としか説明がなく、商品名がわかりませんでした。そこで、兵庫県手延素麺協同組合に問い合わせたところ、いろいろ調べて頂き、鶴のマークからJAハリマが販売している「鶴の糸」だと判明しました(製造者・生産者は不明)。兵庫県手延素麺協同組合さんありがとうございました。
追記:その後、「藤塚瑞穂」という商品名/ブランド名だと判明しました。確かにこのマークは「鶴の糸」ではありますが、単品で販売されている「鶴の糸」とまったく同じかどうかは不明です。追記以上。
ちなみに、このセット自体を販売しているのはカドヤ株式会社(東京都町田市)という乾物の製造・販売会社です。後日、残り2種の素麺およびこの3種セットに関するレビューも紹介します。
素麺と素麺組合
ところで、なぜ私が揖保乃糸の"メーカー"である兵庫県手延素麺協同組合に問い合わせたかと言うと、この鶴マーク素麺の生産者が同組合の組合員である可能性もあると考えたからです。
「どういうこと?」
と思いますよねw ここが実に面白いところでして。すなわち、「素麺と素麺組合」という話です。
すっごく簡単にざっくりと大ざっぱに、一般的なフローを図にしてみます。
生産者が素麺を作り、販売する(or 卸業者に卸す)。これがAパターン。
複数の生産者が作った素麺を素麺組合が取りまとめ、ひとつのブランドとして販売するというパターンもあります(B、C)。その最たる例が揖保乃糸です。
揖保乃糸は大きな工場でダーンと作られているわけじゃありません。揖保川流域を中心に500近い揖保乃糸の生産者がいて、厳格な規程の下、各生産者が素麺を作り、これを兵庫県手延素麺協同組合が取りまとめて管理し販売しています。
ただ、素麺組合に属している生産者は組合用の素麺だけを作っているというわけでもありません。組合用以外のオリジナル素麺を作り、独自に販売しているという場合もあります(Cパターン)。
前出の「鶴の糸」の場合、播州の素麺だということはわかっていましたから、もしかしたらこの素麺の生産者は揖保乃糸も作っているかもしれないと考え、兵庫県手延素麺協同組合に問い合わせてみたというわけです。
では、なぜ素麺の生産者は組合というシステムを採っているのでしょう。ここを説明し出すとめちゃくちゃ長くなるので、機会を改めてまた。