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三久飯店(祐天寺)はいつも賑わう創業50年の街場の中華。強いチャーハン、優しい餃子、まろやかなスープはどれも絶品で、幸せがループしていました。

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祐天寺駅から徒歩3分、学芸大学駅から歩いても15分とかかりません。昭和通り沿いにある街場の中華料理店・三久飯店(さんきゅうはんてん)。昭和43年(1968年)創業の老舗です。

ずっと前から来たかった。最近、Abura Barで三久飯店の話題になった。二日酔いで胃に何かをたらふく入れたかった。日曜日の16時半だった。これらの条件が合わさり、自転車はおのずと三久飯店へと向かっていました。

Abura Barでは何でもおいしいと聞いていました。けど、街中華に関しては超保守派。初訪なので、チャーハン(700円)、焼き餃子(400円)をお願いしました。チャーハンについてくるであろうスープを飲めば、ラーメンのスープも想像できるしね。

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店内は4人掛けテーブル3つ、6人掛けテーブル1つ。

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中央に鎮座する招き猫、黒電話。大瓶を飲みながら競馬新聞にペンを走らせる常連さん。黄色い短冊に黒文字でメニュー名、赤文字で値段。ここは正統なる街場の中華だ。街場の中華の必要十分条件が揃ってる。

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もう一度、メニューを見返します。確かラーメンがおいしいと言ってたんだよなぁ。麻婆豆腐、中華丼、五目焼きそばもうまそうだ。定食もいいだろうなぁ。

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フロア担当はお母さん。厨房にはどうやら男性3人。それなりのお年の方が二人、若めの男性が一人。チャーハンのフライパンは一番ご年配とお見受けする方が振ってます。全員ご家族なんだろうな。

カンカンと鍋とおたまがぶつかる音。ジューという鍋肌が焼ける音。キュッキュっという競馬新聞にペンを走らせる音。テレビの音。小窓を介したフロアと厨房の会話。ライブだ。

どんなジャンルでも同じなんだけど、街中華はこのライブ感が命。本当は厨房も見えれば最高なんだけ……おや? 日曜日の16時半だぞ。競馬は終わってるはず。あれは競馬新聞じゃないのか? 競輪? 競艇? けど、「福島」とつぶやいていたようにも聴こえたんだけど……。月曜日も競馬やってんのかな。あるいはもう次の週末の予想に入ってるのか。

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まずやってきたのはチャーハン。八角形の高台はね。

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こう撮るのですよ。いいねぇ。

チャーハンの器がなぜ八角形なのかは不明なのですが、八角形の器と丸く盛られたチャーハンが織りなす幾何学パターンは、そこはかとなく美しい。

ひと口。うはっ。うまっ。レンゲが止まりません。一心不乱にかき込みたいんだけど、冷静に観察しなきゃ。

パラパラ系としっとり系の中間くらい。ご飯にも具にもしっかり炒(チャー)が入ってます。味付けは強めで、香ばしさと甘みがあります。チャーシューの甘みも作用してるんだろうな。具材は賽の目状に切られているから食感もいい。超うまいな。最近食べたチャーハンでナンバーワンうまい。

次にスープをひと口……。まじか。鶏のうまみがしっかり出た、まろやかなスープ。こいつは極上だ。やべぇ。二葉(学芸大学)のスープに似たニュアンスを感じます。

チャーハンを半分ほど食べ終えた頃に餃子がやって来ました。

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そのままひと口。下味はかなり控えめ。肉々しさがあります。これはタレにしっかりくぐらせよう。

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もちろんこうなりますわ。そしてこれがうまいのなんの。下味が薄めの餃子だからこそ、酸っぱくて塩味(えんみ)強めで辛めのタレでちょうどいい。ガッツリなチャーハンとの相性もいい。シンプルではあるけど、自分好みに仕上げられる勝手のいい餃子。

チャーハン、餃子、チャーハン、スープ。永久に続けたい街中華の幸せループ。けど、当然、終焉はやって来ます。そろそろ食べ終えようかという頃合いに、常連のご夫婦がやって来ました。いつものように女将さんは大瓶を出し、いつものように夫婦は大瓶を小さなコップに注ぎ合い乾杯。何十年とこれを繰り返して来てるんだろうな。これもまた幸せループだ。

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スーパー三和のある祐天寺二丁目交差点から昭和通りを入ってきたらこんな風景が広がっています。

「昭和通り」「昭和通り商交会」と書かれている街灯が新調されていました。奥の東横線高架に向かって下り、その先を上っているのは蛇崩川支流の谷。一番手前で昭和通りを横切る道はその昔、鎌倉へと向かう際に使われていた古道。そして創業50年という老舗の赤いテント。いい景色。

「三久」はどういう意味だろう。創業者の名前というパターンもあるんだけど、三代に渡って長く続くように、ということなのかなぁ。少なくとも"thank you"のダジャレではないだろうなw

昼から夜まで通しでやっています。日曜日もやっています。周囲の評判、私が食べたチャーハン・餃子からすると、おそらく何を食べてもおいしいはずです。長年愛され続けてきた街場の中華の実力を、ぜひ一度ご堪能あれ。

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